”毎日新聞”より↓
http://mainichi.jp/opinion/news/20121101k0000m070113000c.html
社説:震災関連死 認定は迅速に、柔軟に
毎日新聞 2012年11月01日 02時30分
平野達男復興相が東日本大震災の「震災関連死」が2303人(今年9月末現在)に上ると公表した。
震災後、避難生活などの影響で亡くなった人の数だ。阪神大震災の919人を大幅に上回る。
これまでの原因分析では「避難所における生活の肉体的・精神的疲労」が約3割、「避難所への移動中の疲労」「病院の機能停止による初期治療の遅れ」が各2割だ。
福島県民が1121人でトップ。福島第1原発事故が、かけがえのない命を奪った現実を改めて示した。震災1年経過後も同県民35人が亡くなった。平野復興相は「深刻に捉えねばならない」と述べ、県と合同で対策チームを発足させる。しっかり取り組んでもらいたい。
震災関連死と認められれば、災害弔慰金が市町村を通じ遺族に支給される。主たる生計維持者は500万円、それ以外は250万円だ。被災者の生活再建に重い意味を持つ。
震災関連死に当たるかどうかの審査は通常市町村が実施し、医師や弁護士らから成る審査会が判断する。制度の周知に伴い、申請件数は増加しているが、審査の遅れや拙速さを指摘する声が出ているのは心配だ。
自治体も被災した影響で、岩手県は14市町村の審査を受託した。その9月の審査会では、3時間半で約90件を審査した。一つ一つが遺族にとっては重い申請だ。3分弱できめ細かい検討ができているのだろうか。自治体側は審査体制を強化し、再審査にも柔軟に対応すべきだ。
そもそも震災関連死は、法律で明確な基準が定められていない。自治体の認定率にも差が出ている。
厚生労働省は昨年の震災直後、審査の参考にと、中越地震の際に新潟県長岡市が使った基準を通知した。震災から1カ月以内の死亡は関連死の可能性が高いが、半年以上経過した場合は関連死ではないと推定する「時間の基準」も含んでいた。
だが、避難が長期にわたる大震災の現状に照らし、自治体は適用してこなかった。政府に新たな基準作りを求める意見もあるが、地域や災害によって状況は異なり、一律の基準は難しいとの声も強い。
日本弁護士連合会は「災害がなければその時期に死亡することはなかった場合」に広く認定するのが適切だとの意見を公表した。公的な弔意との趣旨からも妥当な考え方だ。
震災関連死は、直接の災害死者ではない。自殺も含め、震災後のケアが十分ならば救えたかもしれない命である。なぜ救えなかったのか徹底的な検証が必要だ。医療体制の課題も含め、政府は今回の震災関連死の教訓をオープンにし、各地の防災計画に生かすことが求められる。