東京電力福島第1原発事故による損害賠償を審議している文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長・能見善久学習院大教授)は16日、警戒区域(原発から半径20キロ圏内)など現在の避難指示区域が3区域に再編されることに伴う追加の賠償指針を決めた。現時点で年間被ばく線量が50ミリシーベルトを上回る「帰還困難区域」に住居がある人には、避難に伴う慰謝料として1人当たり600万円を一括して支払い、住居などの不動産については事故前の時価で賠償する。
避難区域の再編は4月の予定。再編後は個々の被災者の慰謝料の大枠が審査会の指針に基づいて決まる。これにより、政府指示で避難した原発周辺の人たちへの賠償作業が本格的に始まる見通し。審査会はこの指針を「最低限の目安」としており、東電がより具体的な賠償指針を策定する可能性もある。
現在の慰謝料は、昨年8月に審査会が決めた中間指針で定める「1カ月10万円」を基に、1人あたり30万円が3カ月ごとに東電から支払われている(月払い方式)。
新しい指針によると、自宅が帰還困難区域に含まれる人には、5年分(60カ月)に相当する600万円を一括して払う。線量が十分下がるまで5年以上帰還できないとされる被災者が、別の場所で生活を再建するためには、月払い方式よりもまとまった金額を受け取った方が適当と判断した。
年間被ばく線量が20~50ミリシーベルトで、5年以内に帰還できる可能性がある「居住制限区域」については、帰還時期が地域によって異なるため、2年分(240万円)を一括で支払い、帰還が延びるごとに追加で受け取る。年間被ばく線量が現時点で20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」については、月払い方式を続ける