前の記事で五行について触れた際、今回の記事では五行を「陰」と「陽」に分けて見ていくとお伝えしていました。しかし、本来の順序としては五行よりも「陰陽」が先です。世界の根源といえる「太極(たいきょく)」が二つに分かれ、「陰(いん)」と「陽(よう)」になります。そして、この陰陽がさらに五行である「木・火・土・金・水」に分かれるというのが「陰陽五行説」の理論です。「木」と「火」は温かい「陽」の気、「金」と「水」は冷たい「陰」の気であり、「土」はその中立を守るものとされています。陰陽が五行に分かれる一方で、五行もまた再び陰陽に分類され、「陽の木」や「陰の木」といった形でもさらに区分されます。

ここで少し予定を変更して、五行を陰陽で分けた個々の要素について学ぶ前に、まず「四柱(しじゅう)」の構成要素について確認しておくのが良さそうです。四柱推命を学ぶ目的が、自分や周りの人々の運勢を理解し悩みを解決することにあるのなら、四柱がどのような構造になっているのかを先に知った方が、より楽しく学べるからです
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四柱の構成要素
四柱とは一体何で、どのようにして人を理解し、未来への備えを助けることができるのでしょうか。人の四柱を理解するためには, 何を学ぶ必要があるのでしょうか。四柱推命では、生まれた年・月・日・時が人生の核心的な情報であると仮定します。この情報は, 私たちに馴染みのある「甲・乙・丙・丁…」や「子・丑・寅・卯…」を合わせた22個の漢字, すなわち「十干(じっかん)」10個と「十二支(じゅうにし)」12個に置き換えることができます。これらの文字の間の関係を理解すれば、その人の人生が見えてくるというのが四柱推命の核心です。
したがって、四柱分析の第一歩は, 生年月日時の情報を「十干十二支(じっかんじゅうにし)」に変換することです。これを助ける本を「万年暦(まんねんれき)」と呼びますが、過去と未来の数十年にわたるカレンダーを整理した本だと考えれば分かりやすいでしょう。最近では、インターネットやアプリでも「万年暦」を簡単に利用することができます。ある男性が陽暦2026年3月9日午後4時に生まれたと仮定し、この情報を万年暦で確認すると、次のような情報を得ることができます。

万年暦(まんねんれき)を見ると、まず多くの漢字が並んでおり、「偏官(へんかん)」や「正印(せいいん)」といった見慣れない言葉も出てきます。漢字が並び、用語も馴染みがないため、最初は難しく感じるかもしれませんが, それは初めてだからに過ぎません。必ず覚えるべき漢字も「十干十二支(じっかんじゅうにし)」の22文字だけです。この表の見方さえ分かれば、四柱(しじゅう)を解釈することができます。
命: 四柱八字
上の表を見ると、年・月・日・時の下に、それぞれ縦に二つの漢字が並んでいます。生まれた年の下にある「丙午(ひのえうま)」という文字は、この四柱の主人公が丙午年(午年)に生まれたことを意味します。四柱推命において、一年の始まりは新暦の1月1日でも、旧暦の1月1日でもありません。「立春(りっしゅん)」が一年の始まりです。毎年の初めに、テレビなどで今年は「辛丑(かのとうし)の年だ」「壬寅(みずのえとら)の年だ」といった話を耳にするかと思います。このように、二つの文字で生まれた年を表現するのです。
同じ方法で、月・日・時にも二つずつ漢字が割り当てられます。このように漢字二つが縦に配置された姿が、まるで四つの柱のように見えることから、柱を意味する「柱(ちゅう)」という字を使って「四柱(しじゅう)」と呼びます。漢字が全部で八つあるため、「四柱八字(しじゅうはちじ)」とも言われます。この四柱八字を別の言葉で表現すると「命(めい)」です。よく「八字(パルチャ)が良い、悪い」と言うのは、この八つの文字が良いか悪いかを指しているのです。
この八つの文字は、生まれる時に母親の胎内から出て、最初の息を吸った瞬間の生年月日時を基準に与えられると仮定します。自然と個体が呼吸を通じて出会う最初の瞬間の「気」が、その人が一生使う「気」になると考えるのです。では、四柱八字さえ良ければ、人生は順風満帆なのでしょうか。その確率は高いですが、常にそうであるとは限りません。ここでよく使われる比喩が「自動車」です。工場である車は高級セダンとして出荷され、ある車は小さな軽自動車として出荷されます。時には、欠陥があるまま出荷されることもあります。しかし、高級セダンが嵐の中、泥道や砂利道、山道を走るとして、果たしてその車は幸せでしょうか。軽自動車であっても、晴れた日に空いた高速道路を滞りなく走れるなら、果たして不幸せでしょうか。品質に不備があっても、深刻なレベルでなければ適切なリコールで問題を解決できるのではないでしょうか。だからこそ、次に学ぶ「運(うん)」が重要なのです。
運:人生の吉凶禍福
「運」という言葉は、私たちが普段「運が良い」あるいは「運が悪い」という形で頻繁に口にするものです。しかし、四柱推命における「運」には独自の定義があります。先ほどお話しした自動車が走るための「道路」こそが、まさに運なのです。「命(めい)」という自動車が、「運」という道路を走る全体の姿を見て初めて、その人の「運命(うんめい)」を分析することができます。変わることのない四柱八字の「命」と、変化する「運」を順に呼べば「命運(めいうん)」となりますが、一般的に使われる「運命」と呼んでも差し支えありません。
では、運が「道路」であるという概念は分かりましたが、具体的に分析する際には何を見ればよいのでしょうか。例えば、ある年が「壬寅(みずのえとら)」の年であれば、四柱八字の「命」は壬寅という道路を走っていると解釈します。ある時点というのは年だけでなく、月・日・時間まで含まれます。先ほどの例で言えば、「丙午(ひのえうま)年、辛卯(かのとうさぎ)月、壬午(みずのえうま)日、戊申(つちのえさる)時」の命を持つ人が、2036年である「丙辰(ひのえたつ)」年の時点では、丙辰という道路を走っていることになります。
それでは、万年暦(まんねんれき)に記された「大運(だいうん)」とは何を意味するのでしょうか。多くの人が「大当たりの運(幸運)」ではないかと尋ねますが、そうではなく「10年単位の運」を指します。1年の運よりも大きなカテゴリーの運という意味です。これは良い場合もあれば、悪い場合もあります。1年単位の運は「歳運(さいうん)」と呼びます。大運は10年間走る道路、あるいは道路が位置する地形的な環境を意味し、1年の運はその年に走る道路の状態を意味します。例えば2036年、先ほどの例の主人公は満10歳です。大運表を見ると、9歳から19歳までの10年間は「壬辰(みずのえたつ)」という人生の道路を走ります。2036年であれば、壬辰という大運と丙辰という歳運という環境の中で生きていることになります。大運と歳運の両方を確認してこそ、その人が特定の時期に出会う吉凶禍福を正しく理解できるのです。
要約すると、一人の運命を理解する手順は二つの段階で行われます。 第一に、生まれ持った八つの文字である四柱八字を分析し、変わることのないその人だけの特徴や長所・短所を理解します。自動車に例えるなら、出荷時に高級セダンなのか、軽自動車なのか、欠陥はないかを確認することです。 第二に、人生を歩む中で出会う10年単位の環境である「大運」と、毎年訪れる「歳運」が、本人にとって有利か不利かを時期別に分析します。月単位、日単位も大運や歳運と同様に二文字ずつの環境として分析できますが、分析の単位を細かくしすぎないことをお勧めします。非常に運が良い時や悪い時に限って月単位の分析を行うのが良いでしょう。毎日その日の運勢を計算していたら、あまりに疲れてしまうからです。もちろん、選択は個人の自由です。
生まれ持った四柱八字である「命」は、誕生した瞬間の生年月日時ですでに決まっていることが分かりました。では「運」はどうでしょうか。10年単位の大運もすでに表に計算されており、毎年の干支も決まっているのなら、運転手の思い通りに道路を選択することはできないのでしょうか。この点については専門家の間でも意見が分かれています。「運命論者」は、私たちは運転手ではなく自動車そのものであり、見えない運転手によってプログラムされた通りに走行しているだけだと主張します。「意志論者」は、人間には自由意志があり道路を選択できると主張します。「中道論者」は、大きな流れは変えられないが、嵐の激しい日に漁に出ないという漁師の選択程度のことはできると言います。皆さんはどのようにお考えでしょうか。
次回の記事では、「命」と「運」を分析するために必要な基礎理論をご紹介します。その第一歩として、まずは「十干十二支(じっかんじゅうにし)」から始めていきましょう。