古田謙の放った3rdショットは奇麗な弧を描きながら、ピン横50センチにぴたりと止まった。
その瞬間、大きな歓声と拍手がゴルフ場を包み込んだ。

障害者ゴルフ世界選手権、国別対抗戦の最終日。
2日目を終えて、日本チームは3位に付けていたが、後ろの4チームは数ショット差の団子状態。今日の成績いかんでは、どんな結果にもなり得た。その意味でも、今日の試合に出場した古田、小林、小池の3選手にかかるプレッシャーはいかばかりだっただろうか。
最終日の最終組。
私はチームキャプテンとして、そして古田謙のキャディとして18ホールを回った。
ヨーロッパNo.1とNo.2プレーヤーの二人とのラウンド。古田さんは本当に良く粘り、2人についていった。日本のゴルフ場では考えられない程の風と真夏なのに凍えるような寒さ。時折降る冷たい雨。全英オープンは、1日に四季があると言われるが、スウェーデンのこの地もまさに同じだった。
厳しいコンディションの中での息の詰まるようなラウンドは18番を迎えた。
そこには信じられないような光景があった。グリーンを囲む多くのギャラリーとテレビカメラ。障害者ゴルフの大会でこんな光景を見たのは初めてだった。
パー5の3打目。古田さんがはなったショットがピン横に着いたとき、大きな歓声に、鳥肌が立つのを感じた。最終ホール、古田さんは見事バーディーで締めくくった。
先にラウンド終えた小池さん、小林さんの両選手も18番で古田さんのプレーを見守ってくれていた。
この厳しいコンディションの中、二人は思ったようなプレーができなかったようで、すまないという言葉が出ていた。少し固い表情の中、でも精一杯やったんだとお互いに励まし合ったものの、皆の顔は冴えなかった。
最終組が終わると、すぐに表彰式が始まった。
3位から読み上げられる国名。
そこで最初に呼ばれたのは「Japan」だった。
名前を呼ばれた瞬間に、日本チームから歓声が上がり、ぱっと皆の顔に満面の笑みが広がった。
私はこみ上げるものをこらえるのに必死だった。

4位との差はたったのワンショット。その1打で3位を死守することができた。
チームプレー。一人がみんなのために、みんなが一人のために戦った。その結果が鈍い光を放つブロンズのメダルとして我々の首に下げられることになった。
チームのみんな、ありがとう。そして応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました。
