2020年7月2日

By Mark Savage(BBC music reporter)

翻訳元:https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-53249063

 

McFly

ポップグループのMcFlyが2009年以来初となるレコード会社との契約を結んだ。今年中にはBGMからニューアルバムを発表予定だ。

 

レコード制作を取りやめ、友人のBustedと「スーパーグループ」を結成し、最後のシングルを発表してから7年経つ。バンド内での緊張が高まったことで、2017年にバンドが活動再開する試みは頓挫してしまった。「McFlyが2度と元どおりにならない可能性の方が高かった。どうやってもう1度軌道に乗せたらいいのか、僕たちの誰にもわからなかったから」(トム)。ある時期には、4人はバンドの問題を解決しようと、グループセラピーを受けることも考えたそうだ。

 

「僕らの中でいろいろと少し変になってたんだよね。そんな風になるとは思ってなかったけど。その頃、数年にわたってみんなで何度か話し合ったものの、すごく非生産的だった。だから、そうだね、『セラピストの部屋にみんなで入って、記録に残した方がいいのかな?』なんて話したりしたこともある」 (ハリー)。

 

Harry Judd and Aliona Vilani

 

皮肉なことに、各メンバーがMcFlyの活動休止中にセカンドキャリアを成功させた時に緊張が生じたのだ。トムとダギーはウンチする恐竜についての子ども向けの本のシリーズを成功させ、ハリーはStrictly Come Dancingの第9シリーズで優勝、ダニーはリアーナやワンダイレクションなどの楽曲制作とプロデュースを続け、ダギーはAやINKといったロックバンドで活動した。

 

McFly at the O2

自分たちがバカだったと気づいた

「多くのことが口に出されない問題になった。親友がいて、一緒にステージに立ちたいのに、その親友が自分以外の人となにかをやっているのを見るって、本当に向き合うのが難しいことなんだよ」(トム)

バンドの復活のきっかけは、過去18年間McFlyのマネジャーを務めてきたマット・フレッチャーだった。

「僕たちに内緒でO2をおさえてきて、『やるの?やらないの?』って言ったんだ。僕たちの答えはもちろんイエスさ。『McFly O2公演』って手帳に書かれたのを見て、僕ら全員が、ああ、自分たちがバカだったんだということに気づいたんだ」

 

数分でチケットが完売したことも、昨年11月に4人でステージに駆け上ってAll About You、Star Girl、5 Colours In Her Hairなどのヒット曲を演奏して、割れんばかりの歓声の中あいさつをしたことも、すべて良い経験だった。「あれが僕らの次の章の始まりだったなあ」(トム)。

 

熱が入り、元気づけられたMcFlyは、「失われた」6枚目のアルバムのデモをリリース。新しい素材を入れる前に手札をきれいにしてから、2020年初めに2ヶ月間レコーディングスタジオを予約した。

誰かにあとは歌うだけの完璧なカムバックソングを準備してもらうのを期待するではなく、バンドとして本腰を入れて全員で一緒に作曲をするというのが、彼らの考えだった。「以前は問題だらけだったけど…曲が答えになることを望んでいる。自分のファン全員に愛されるようなヒット曲を思いつかなきゃって、作曲家としてのプレッシャーを強く感じるよ。だけど、バンドがまた集まって、関係を修復する作品にもなる。初めにそれをすべて解決する必要があったし、すごく新鮮だったよね」(トム)

 

McFly

 

そうして、またバンドはいつもの流れに落ち着いた。トムは起床後2人の幼い息子を学校に連れて行き、スタジオへの運転中にメロディーやリフを思いつく。スタジオに到着すると、あとの3人にピアノで聴かせ、すぐに制作にとりかかる。まずハリーがドラムトラックを録音し、他のメンバーがギターやボーカルを重ねていく。それが日没まで続いた。

「脳が元気になって、なにもないところから曲を作るプロセスがよかった。メンバー全員がフルで関わった、っていうのは初めて感じたな。協働っていうか、エネルギーに溢れたプロセスだった」(ダニー)

 

McBlyがBBCのために演奏する新曲4つは、The Boo RadleysのWake Up Boo、またはDodgy's Staying Out For the Summerのような、ブリットポップらしいぎこちない前向きさを即座に思い起こさせる。

そんな感想を述べると、McFlyは笑顔を抑えられない。「まさにそれが僕たちが作りたかった感情だった」(ハリー)。

「そんな風に言ってもらえて本当にうれしい。当時のブリットポップには何か特別なものがあったからね。それらもすてきな曲だったけれど、ジャンルを飛び越えられるBlurみたいなバンドもいたよね。Song 2はすごくロックでクレージーだったのに、Parklifeは不思議なサウンドだった。境界がなかったんだ。それが僕たちのやりたかったこと。その日に感じていること次第で、いろんな方向に進むようなことだよ」(ダギー)。 

 

McFly

 

McFlyの新しいサウンドは今月末には聴ける予定だ。カムバック曲のタイトルは未定だが、皆が楽しめる中毒性のあるアップビートで、メンバーいわく「フェスっぽい雰囲気」だそうだ。

「例えば、お酒を飲んだり、バーベキューをしているときに、手を上げて楽しみたくなるような曲だよ。手を上げて楽しんでたら、子どもたちはその曲に合わせて踊って、奥さんも踊ったりして、おじいちゃんとか、他のみんなも楽しんじゃうようなね。サッカーのサポーターみたいな若い子たちも。FIFAのサウンドトラックで聴けたらいいなあって思ってる」(ダニー)

 

カーニバル調のリフは南アメリカの大勢のファンからインスピレーションを得ており、かなりのサンバサンプルも取り入れられている。

「アーティストの家族と連絡を取る必要があってさ。みんなSpotifyとかそういうページを何にも持ってなかったんだけど、僕らが使ってるのを知ってすごく喜んでたよ。『僕らの音楽は何年も演奏されてないなんて!信じられない!』って感じだったね」(ダニー)

「すごく退屈」

アルバムの他のハイライトは、"you're my special(君は特別)"という歌詞を中心にしたバラードだ。未来のウェディングソングとしてAll About Youに匹敵するかもしれない。ただ、トムによると、他の曲は「すごく重いかちょっとエモ、安っぽいパワーバラードと本当に風変わりなものもある」とのことだ。

肝心なことだが、このアルバムはBMG(カイリー・ミノーグ、キース・リチャーズ、クランベリーズなどの著名なグローバルアーティストとのコラボレーションで知られるようになったドイツの会社)とのレコード契約に署名する前にほぼ完成していたのだ。

「僕らと契約を結びたがったジェイミー・ネルソンとは本当にすぐにつながった。僕らのところにやってきて、何曲か聴いて、名刺をテーブルに置いて言ったんだ。『良い曲が聞こえてきている。McFlyには注目してきたし、McFlyがやってきたことを楽しませてもらってきた。』ジェイミーは基本的に僕たちのエゴを楽しんで、正しいことを言ってくれた」(ハリー)。

ネルソンはMcFlyの元のレーベルであるユニバーサルからバンドを獲得できたことを「喜んでいる」と語った。「ユニバーサルとの最初の方のやりとりがなんであれ、すごく退屈なものだと思うよ」(ネルソン)

 

他のあらゆるもの同様、バンドの復活は新型コロナウイルスの感染拡大のため滞っている。イギリス国内とブラジルでのツアーは遅れており、メンバーは家族と自粛生活中である…まあ、ほとんど。「トイレに行く回数が4割くらい増えたかな」とハリーは笑う。

「わかる。12時間オンライン会議するなら、うち8時間はトイレからだもんな」とトムがからかう。

だが、Zoom会議でも、McFlyは新しいサウンドに対する正真正銘の友情と高揚感を見せている。マネジャーが昨夏にサプライズでコンサートを用意して以来、長い道のりを歩いてきた。

「後から考えると、僕らに本当に必要だったのは、僕たち自身がMcFlyをどれだけ必要としているのかを理解するための休憩時間だったんだ。

僕たちは大人になってからずっと、McFlyのトムとかMcFlyのダニーと呼ばれて生きてきてる。でも自分の中のなにかが、その名前で僕を定義づけないで欲しいって叫んでるんだ。でも真実はMcFlyが僕ら自身を完全に定義しているんだよね。McFlyは僕たちのDNAにあるから」(トム)。