昨夜、近くのスーパー銭湯で

刑務所移送待ちで同部屋だった仲間と偶然に会った

私が洗い場で髪を洗っていると後ろから
「五分前〜」と囁いてきたのだ

刑務所の入浴時間は15分、10分経過した段階で刑務官が「五分前〜」と叫ぶのだ

15分で髭を剃り、髪を洗い、身体まで洗わなければならない、浴槽に浸かる頃に、この言葉を聞ける段階になってないと間に合わないのだ

髪を洗っている私にとっては、皮肉なイタズラだ

顔を見ると移送待ちの仲間だった

髪が伸びてるのですぐにはわからなかったが、懐かしい笑顔で思い出した

湯上りに休憩コーナーで久しぶりに話した

私は医療刑務所という特殊な場所だったが、彼は一般の初犯刑務所に移送されたとのことだった

初犯刑務所では、私の医療刑務所では考えられない刑務官の厳しさや受刑者同士のイジメが日常だったようだ

作業工場も規則が厳しく、雑居(4〜5人部屋)での集団生活も大変だったようだ

初犯刑務所では虚勢を張って威張る奴がいる為、ハズレの雑居にあたると居心地は最悪となるらしい

彼は幸運にも早い段階で独居になったようで人間関係に苦しむことは少なかったという事だ

それでも「二度と行きたくない」印象を強く受けたと口にする

初犯刑務所は、再犯を少なくする為に、この「二度と行きたくない」と思わせるように、累犯(二度目や常習犯向け)刑務所より厳しくなっていると聞いた事もある

私たちの話題は、聞かれると恥ずかしいので、時には小声になりながら、それでも二時間近く盛り上がった