深見たちが帰った後、滝本は 二人の話をもう一度 自分なりに調べることにした
(計画的な暗殺なら必ず何かがあるはずだ)
先ずは、それぞれの事件の捜査資料から何かわかることがないか、見落としていることがないか、あらゆる角度で調べる指示を出した
指示を出した後 滝本はふと思った
(〝暗殺〟されるには特別な意味があるかもしれないな…念のために 確認してみるか?)
滝本は 特別な意味を調べる為に 思いついたある場所へ連絡をした

その頃、加害者が服役していた医療刑務所を内々に調べていた野山の携帯に一通のメールが入った
件名も送信元もなく 本文のみ
「 there is no sin 」
「 直訳だと〝罪はない…〟いったい、どんな意味なんだ」
謎の作戦コードの〝not guilty〟と意味は似ている
「何かの警告か…それだけ 近づいているということかもしれないな…」
野山は ここ数日 誰かに見張られているように感じていた それに対する警告かもしれないと考えた
夕方から この夏に定年退職した 刑務官と会う約束をしていたが こちらも警戒した方が良さそうだと改めて感じる野山だった

待ち合わせ場所は都内のホテルのラウンジで会う予定だったが 野山は急遽 面会場所を変更することにした
面会相手に危険が及ばないように、彼が頻繁に通っている銭湯で会うことにした 相手も銭湯好きだと聞いている 退職後は都内の銭湯巡りをするのが楽しみだと流行りのSNSで発信しているくらいだ、   行きつけの銭湯なら常連ばかりで 怪しい奴はすぐに把握できる 裸なら襲われることもない 必要以上に警戒することが必要だと考えた

メールの件も含め 滝本に連絡を入れてから野山は面会場所である銭湯に向かった