逮捕から3年半、うち医療刑務所での1年半
短いようで 長い時間だった

拘置所、刑務所では 様々な人間に出会った
多くの涙もみてきた
服役中に母親を亡くした者の悲しみの涙
面会で家族と会った後の後悔の涙
親しい知人に裏切られた者の悔しさの涙
大切な人からの手紙を読む者の感動の涙
幼い子供からの手紙に貰い泣きした事もあった

合縁奇縁 本当に奇妙な縁があった
出所後は まったくの赤の他人…
多分、もう二度と会うことはないだろう

人間の経験とは 人との出会いでもある
過去の人生では決して出会うことのない
出会いばかりであった

様々な〝人生〟に接することができた
最初は 特別な眼でしか見ることが
できなかった〝障害受刑者〟への
考え方も大きく変わっていった

価値観や世界観も大きく変わり
他人の痛みが少しずつわかる人間に
なれたような気がしている

社会で最低なところで過ごす意義が
今は、あったと感じている

社会の歪みとしか思っていなかった
〝この世界〟にも
意義があり、価値があった

自分は必ず 復活できる
今、新たにその自信が確信に変わる

これを〝糧〟にしなければ
残りの人生を生きる意味がない

ここは、過去の神崎にとっても
精神(こころ)の監獄だったのかもしれない

おわり (第2章につづく)