精神障害受刑者には 人格障害が多い
他人に見捨てられる事を極端に恐れ
いつも不安に襲われている
対人関係の変化が激しく安定しない
気分や感情のコントロールが苦手で
感情のブレーキがきかず暴走する

『妄想性人格障害』らしい
最近読んだ本に 詳しく解説されていた

いつも空虚な気持ちを抱きながら
世間を動揺させるような行動をとってしまう

専門的な事は神崎にも よくわからないが
日々 その〝現場〟にいる彼しか
わからないことも 少なくはない

毎日 〝実物〟に接しているうちに
神崎は 興味や好奇心以上の感情が生まれていた

冗談で 自称 『精神犯罪研究家』などと
思っていたが、最近リアルに研究してしまう

『境界性人格障害』というのもいる
親からあまり褒められず欠点ばかり指摘され
育ち、親の価値観ばかり気にして優等生を
続けた人間は自己否定が強くなる

それなりの会社に勤めていて 猥褻罪で
服役してくる受刑者がそうだ

研究するには対象者が豊富なのが
ここ医療刑務所だからこそなのだ

つづく