神崎は 99.9%有罪の司法の仕組みに抗って
此処に送られた

真実よりも偽装された証拠が全てだった
正義感の強い若い弁護士は 最後まで
頑張ってくれたが、0.01%では
最初から〝勝負〟はみえていた

神崎は、
自分の信頼が裏切られた事と
自分への信頼を裏切ってしまった事を
同時に理解した
神崎を信頼してくれていた人達を
裏切ってしまった事には変わりない
その責任は重い

順風満帆だった神崎の人生は
その日から激変してしまった

神崎は大学を卒業をしてから
外資系のコンサルティング会社に入り
20年間 第一線で働いていた
その後 入社当時の上司の独立に誘われて
ボストンに勤務した後 帰国した

事件は、日本に帰った半年後に起こった
当初は、〝巻き込まれた〟
という感覚しかなかったが、いつのまにか
神崎が事件の首謀者となっていた
神崎を信頼していた多くの関係者を
巻き込んでしまい迷惑をかけてしまった

長い裁判となった
公判期間は 2年近くとなっていた
証拠は用意周到なものであり
とても覆せるものではなかった

途中、弁護士からは認めて反省を示せば
減刑、執行猶予も可能との提案があったが
神崎は 最後まで闘いに拘った
真実に背を向けて残りの人生を過ごす事が
神崎にとって赦せないからだ

出所後、必ず『雪冤』する
これが、今の神崎のエネルギーになっている

検察官の言葉が今でも忘れられない
「裁判は、証拠さえ筋書きと帳尻が
   合えばいいんだ、それだけで十分判断
   できるんだ、真実など誰も追求しない」

最近、現実的に〝それ〟が理解できてきた

しかし、神崎は闘いを再開すると
心に決めている

つづく