嘘がバレた斎藤は 結局 懲罰五日間となり
閉居罰で座り、その後また就業拒否をした
斎藤のように就業拒否を繰り返す受刑者は
最終的には 〝不良移送〟として
他の一般の刑務所に送られる

此処に選ばれて送られ 努力すれば
仮釈放も多くもらえるチャンスは
自ら刑務所に入ってきた
『志願兵』の斎藤には無意味だったようだ

出ても再び 万引きで暮らすか
生活保護で暮らすかである 

彼は〝努力〟という言葉が嫌いらしい
唯一 努力が存在するとしたら
万引きがバレない為の工夫とその努力だ

神崎も今回は トバッチリを食ったが
出会ったことがない人間に出会って
貴重な経験ができた

此処には オレオレなどの特殊詐欺の
受け子もいれば、その元締めもいる

受け子は 数百万扱っても
十万程度の取り分しかない
中には交通費が自腹の者もいる

元締め側は 数千万の金を手にして
毎日、豪遊していた者もいる

それで
受け子は、懲役3年で
元締めは、懲役7年で
此処で服役している

神崎は 二人と接していて
様々な事を考えてしまう
どちらかが重いというわけではない
どちらかが軽いというわけでもない

全ての犯罪は 割りが合わないのだ

受け子にも 元締めにも大切な家族がいる
3年間、7年間は 長い時間だ

もしかしたら 何も失うものがない
志願兵の斎藤が一番割りがあっている
のかもしれない

つづく