「神崎〜    」
「保護室に今、一人入ったから頼むな!」

保護室は、四畳程度の広さで
床に直接、便器と洗面所があり
室内に全く、凹凸のない安全?な部屋だ
所内には珍しく冷暖房が完備され
裸でも暮らしていける

しかし食事は全て発泡容器に移し替え
箸も紙スプーンとなる
拘禁者の安全のための処置が施されている

意識が普通でない状態のものは
排泄は垂れ流しとなるため
担当の経理係は掃除が大変だ

憂鬱な顔をしている神崎にむかって
「宇宙人、こんどは何日もちますかね」
「今朝の汚物の洗濯がまだ溜まってるんだ
    早いとこ準備して終わらせなきゃな」

後輩の酒井にはまだまだ教えなければ
ならない業務が山積みだ
この異常な世界に入って間もない後輩は
今は何もが珍しいようだ

オレオレ詐欺の受け子で捕まった酒井は
日々のこの異常な出来事が面白くて
毎日、日記に書いてるらしい…

「まだまだ日常の一部分だから
                  逃げ出して、飛ぶんじゃないぞ」

飛ぶというのは、就業拒否のことで
この施設では珍しくない
普通の刑務所とは違い工場で働くのとは
世界が一変する

慣れる前に耐えられなくなり懲罰覚悟で
飛んでしまうものが後をひかない

一日中、汚物処理に費やされる時もあり
そんな日は、部屋に帰っても
うん◯の匂いが消えない

つづく