長所がいっぱい
ブラシレスDCモータの最大の特長は、メンテナンスフリーです。ほかにもDCモータと比較して、いくつかの違いがあります。
その一つが、モータの小型化です。高性能ブラシレスDCモータは、図2.29 のように、従来のDCモータ回転子より小さなスペースに高性能磁石を収容しています。
おかげで固定子には、磁石がなく、その分小型化が図れます。
強力な磁束密度が得られれば、モータの効率が高く、熱発生が少なくなります。
また、モータではコイルが一番発熱しますが、DCモータはコイルがモータ内部にあるので、発熱源はモータ内の空気層にくるまれ、放熱には不利な構造です。これに比べ、ブラシレスモータはコイルがステータ側にあるので放熱能力が高くなります。
ブラシレスモータがほかのモータと比べて決定的に有利なのは、形状の自由さです。
偏平なロータ、外側にロータを配置した設計、細長い形状など、用途に適応した設計ができます。
欠点もある
DCモータは、コイルを環状に結合し、コイルの通電を回転に伴って少しずつ切り替えることで、トルクムラが出にくいよう工夫されています。
ブラシレスDCモータでも、DCモータのようにコイル数を多くすれば回転は滑らかになるのですが、通電制御には、コイル一つ一つを半導体素子で切り替える必要があります。
しかし、それではコスト的に引き合わなくなるので、ほとんどのブラシレスDCモータでは、コイルを3組にして半導体素子を節約します。
ただし、3つのコイルだけで、回転位置によるトルクの違いを減らすには、DCモータとは異なる工夫が必要になります。
モータシャフトを手で回すと、ロータ磁石とステータ歯との間の吸引力のため、カクッカクッというトルクムラ(コギング)が出やすい傾向があります。
コギングの少ないモータを作るには、磁気回路に関するきめ細かな解析が必要です。
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