電圧制御をより精緻に行うための方法を、長所や留意点、用途とともに紹介します。課題に応じてどの方式を採用するか検討しましょう。

ハードウェアによる速度制御
ハードウェアによる制御では、ICを使用して制御回路を構成し、速度フィードバックと位相フィードバックの2種類のフィードバックを使用します。

速度フィードバックでは、FGサーボ、または速度ディスクリミネータを使用します。いずれも、センサにより検知した速度と目標速度との差を使用してフィードバック制御を行います。

位相フィードバックでは、PLLを使用します。PLLはPhase Locked Loopの略です。センサが検知した位置のパルス信号と目標位置のパルス信号との位相差を使用してフィードバック制御を行う方式です。

速度フィードバック/位相フィードバックの2種類を使う理由は、速度フィードバックのみでは、残留偏差が大きいためです。位相フィードバックを組み入れることで残留偏差を小さくしています。

速度フィードバック/位相フィードバックの信号は、ループフィルタでアナログ電圧に変換され、PWM/PAM方式でモータに電圧を印加させます。ループフィルタは制御特性を決める役目もしており、フィルタ回路を構成する抵抗やコンデンサなどのハードウェア部品を使用して特性が調整されます。そのため制御特性は固定値となりますので、モータを使用する製品に合わせてあらかじめ調整することになります。

制御量がハードウェア部品で調整されているため、制御量が固定される用途に限られますが、市場の多くの製品は制御量の調整を個別には行わないことから、比較的安価に構成できるこの方式が採用されています。

用途
複写機など、一定の速度で動作させる装置

ソフトウェアによる制御
ソフトウェアによる制御では、マイコンを使用して制御器を構成し、PID制御が使用されています。PIDはProportion(比例)、Integral(積分)、Differential(微分)の頭文字を取ったものです。実際の速度と目標とする速度との差およびそれを積分・微分したもの、計3要素をフィードバックします。積分は位置差(位相差)に対応し、残留偏差を小さくする役割を果たします。微分は加速度差に対応し、応答性改善の役割を果たします。マイコンを使用しているため制御特性の調整が可変です。そのためモータが使われている製品ごとに制御特性の調整を行うことができます。

マイコンを使用するためモータは高価になりやすいですが、近年では安価なマイコンが普及し、この方式を採用するモータは増えています。

用途
より多くのパラメータ調整が必要な用途。ロボットなど。
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