従来の産業用ロボットは、人の代わりに単純作業を行うことが主な用途でした。しかし近年では、より高度で柔軟さが求められる作業を人と共に行う「協働ロボット」に注目が集まっています。その要因として規制緩和に加え、安全技術やアプリケーションの進化が挙げられます。今回のコラムでは、協働ロボットの基礎知識や安全対策、導入方法、導入後のメリットなどをわかりやすく紹介します。

協働ロボットの基礎知識

“人”と協力しながら働く人間協調型の産業用ロボットを「協働ロボット」と呼びます。従来の産業用ロボットは、安全を確保するために柵で囲い、隔離された条件下での作業に限定され、協調作業ができませんでした。この“人”と“ロボット”の間にある“柵”を取り払い、同じ空間で作業できるように工夫したものが「協働ロボット」です。

従来の産業用ロボットは、設備が大掛かりになるので大規模かつ大量生産のラインを中心に用いられてきました。一方で協働ロボットは、より柔軟な作業に対応するために生まれ、同じ産業用ロボットではありますがコンセプトが異なります。以下に従来の産業用ロボットと協働ロボットの一般的な違いについてまとめてみました。

協働ロボットの実用例
自動車組立ラインでのウインドウ搭載作業


協働ロボットの実用例として自動車組立時のアシストロボットを紹介します。「最終的な品質確認は人、力作業はロボットが行う、人と共存する『協働』化」を目指して、これまで作業者2名で行っていたウインドウ搭載作業を作業者1名で対応できることがメリットです。従来のウインドウ搭載作業は、車体を停止して人の手によって行っていましたが、ロボットのサポートによってラインを止めることなく作業でき、作業効率が飛躍的に向上します。ウインドウを持ちあげる力と高い精度が要求される工程でしたが、ロボットのアシストがあれば女性でも軽々と作業可能です。負担の大きかった「力」をロボットに、精度が求められる「技能」を人に振り分けた好例と言えます。あくまで一例ですが、人とロボットで作業を分担することで、それぞれの得意分野を活かすことができます。

協働ロボットが注目を集める理由
80W以上の産業用ロボットを利用する場合、以前は柵を設け、人の作業スペースと隔離する「80W規制」がありました。しかし、2013年12月の規制緩和により、「ロボットメーカーやユーザーが国際標準化機構(ISO)の定める産業用ロボットの規格に準じた措置を講じる」等の条件を満たせば、80W以上の産業用ロボットと人が同じ空間で働くことが可能になりました。この規制緩和により、国内で協働ロボットの開発が加速しています。

規制緩和と同時に安全技術の進化やリスク評価手法も整備され、安全性が確保できるようになったことも注目を集めている要因です。また、協働ロボットを活用するアプリケーション開発が進み、プログラミングやインテグレーションの手間が軽減。実装期間の短縮や効率化、導入コスト削減が進み、大企業のみならず中小企業でも導入できる環境が整いました。「80W規制の緩和」「安全技術の進化」「アプリケーション活用の容易さ」という3つのポイントに加え、「ロボット導入実証事業」や「ものづくり補助金」など、ロボット関連の補助金制度も導入を後押しする要因になっています。
-------------------------------------------------------
skysmotor.comユニポーラステッピングモータギヤードモータなどを販売している専門的なオンラインサプライヤーです。お客様に競争力のある価格、または効率的なサービスを提供しております。