ディレクターとして仕切らせてもらい、スタッフの皆さんキビキビと動いていただき、事故・トラブルもなく無事に終えることができました。
もともと今回のイベントでは撮影を担う予定だったのですが、急きょディレクターも兼務ということで、撮影については後半の落ち着きがあるまでは他の方にお願いし、私は全体指揮に専念。あれもこれもやろうとすると、必ずほころびが出てしまうので、この辺りはスパッと判断です。
そのぶん…後半の20分だけ、撮影モードに気持ちをチェンジして対応。時間に限りがあるし、トラブルなど発生したら撮影も中断です。焦りもあって、撮影開始からものの5分で額に汗。まぁ…なんとか要所は撮れたかな。
こうしたイベントのディレクターって、これが初めてというわけではなく、何度か経験したことがあります。200名規模のものから、多いときは2000名規模のものまで。まったく、私は何屋なんでしょう?笑
どれくらいの規模のイベントであっても、私が大事にしている共通したポイントは…実行計画書というものです。
実行計画書って聞くと難しいですが、内容は単純で、いつ、誰が、何をするかをまとめたものです。この精度が高ければ、基本的にディレクターはイベント中、何かと動くことなく一番後ろで進行を眺めておくだけ。あとはそれぞれの配置スタッフの方にお任せするスタンスです。
基本、ディレクターは動いてはダメ。なのです。
このことを学んだのは数年前に大阪の道頓堀で行われたイベントのディレクターを任された際のことです。何に対しても気になり動き回り、自分でなんとかしようとする私を、先輩が川の向こう側に呼びます。その先輩は川の向こう側に設置されているベンチに座ってコーヒーを飲まれていて、私にも座って飲むよう勧められました。
イベントが気になる私は、やんわりとお断りして戻ろうとするのですが、戻ることは許されず、とにかく座るよう指導されます。多少イライラしながら指示に従い、イベントの模様を見ているのですが…やはり気になるところが出てきます。思わず川の柵まで走り寄って、川の向こう側のスタッフに大声や身振り手振りで指示しようとするのですが…イベントBGMの大音量で声はかき消され、忙しいスタッフはこちらに気づきません。
どうしようか…と思いながら先輩の座るベンチに戻ったときに、その先輩は私に優しく教えてくれました。
「野球、サッカー、ラグビーという競技があるけど、その中で一番難しい監督業はなんだと思う?」
「野球は監督も選手と同じユニフォームを着てる。それは監督も選手になり得るという名残から。選手兼監督というのがあるだろう。それと、野球は選手交代が、ベンチ入りしている選手の人数だけ可能。だから、選手がエラーしたり、怠慢プレーがあったとしたら、監督の気分次第で”交代!”をすることができる。
サッカーとラグビーの場合、監督はスーツ姿。ただ、サッカーは監督もベンチ入りして、試合中は3人までは交代させられる。それ以外はTVで観るように、大声で選手に指示を出している。あの広いフィールドで。声が届かないのはわかっているはずなのに。
ラグビーの監督は…試合中、観客席に座っている。選手にゲキをを飛ばすとかはしない。試合状況を眺めているだけ。選手と交われるのは、ハーフタイム中だけ。それ以外は、試合中の監督は眺めるだけで、あとは選手を信じるだけ。」
「お前がいろいろ動いたり、あれこれ干渉ながら手を出して歩き回ったりすると、皆んな出来ることすら出来なくなってしまう。だから、イベント中のディレクターは何をするでもなく、こうして眺めておいてあげるだけで良いんだ。あとは皆んなが状況判断で上手くやってくれる。」
「ただし…そのためにもディレクターは事前にすべてのことに対して想定した答えを持っておかなければならないし、すべての出来事に対しての準備と周知徹底をしておかなければならない。それが出来なければ、そもそもイベントなどやってはいけない。」
こうしたお話を聞いて、本当に目が覚めた思いがしました。
いま目の前の、川の向こう側で動いているスタッフを信用しているのか。
失敗を恐れて、責任がとれない自信のなさで自分が動こうとしているのではないか。
そもそも自分は監督をしているのか。それともプレーヤーでいようとしているのか。
そのとき教わった教訓が「準備8割、実行2割」という言葉でした。
それ以来、イベントでディレクターをする際はとにかく想定できる限りの事前準備と、イベント時には基本なにをするでもなく、イベントを眺め、ときにはふらりと各配置を回る程度にすることを心がけるようになりました。
今回のイベント…1週間前まで何も決まってない状態からのディレクター就任となり、正直なところストレスを感じてしまったところもあります。しかし、何はともあれ私はあのとき先輩に教わったとおり、今回も私は何をするでもなく、眺めるだけ。スタッフからの質問に対しても、すべて想定内の問題として、即返答と指示に徹しまして、無事終了となりました。
めでたし、めでたし。
今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。

