法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表 -4ページ目

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 建物譲渡特約付借地において,譲渡する際の建物の代金,
  はどのように決めておけば良いのでしょうか。


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A 契約締結時に,算定方法とその理由,根拠を契約書上明記しておくと良いでしょう。
  具体例も示します。


【建物譲渡特約付借地;建物譲渡代金額;設定例】
Q建物譲渡特約付借地において,譲渡する際の建物の代金,はどのように決めておけば良いのでしょうか。

A契約締結時に,算定方法とその理由,根拠を契約書上明記しておくと良いでしょう。
具体例も示します。

建物譲渡の代金額については,「相当の対価」から逸脱→無効,というリスクが内在します。
そこで,このような想定外のイベントが生じるリスクを可能な限り低減しておくと良いでしょう。

まずは,算定方法や金額を契約書に明記しておくと良いです。
次に,その「算定方法や金額」の理由や根拠も明記しておくとよりベターでしょう。
仮に有効性判断をなされる場合の大きな判断材料となるからです。
いずれにしても,有効性判断については,長期間であることから,個別性が高いものとなるでしょう(文献後掲)。
以下例を示します。

<建物譲渡代金についての条項内容の例>
・譲渡時の建物の時価とする
・建物の時価に場所的利益を考慮した価格とする
・建物の時価に譲渡時の借地権価格を加えた額とする
・不動産鑑定士の鑑定評価額による
・基本的な算定額に,一定の加減を行う

<理由や根拠の表記事項の例>
・条件交渉において,一方の希望を他方が承服,譲歩した経緯
・意図的に一方に有利な条件とした内容とその対価として他方が有利な条件とした内容

[借地借家法]
(建物譲渡特約付借地権)
第二十四条  借地権を設定する場合(前条第二項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
2  前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
3  第一項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第三十八条第一項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。

[水本浩他編『基本法コンメンタール第2版補訂版/借地借家法87頁]
これらの特約が有効となるか否かは,実際問題としては,借地権設定後30年以上経過した後の建物の状況,建物譲渡時の社会経済の状況,判例の動向などにより相当性の判断基準がどのようになるかにかかっているものと思われる。ただ,理論的にいえば,建物譲渡特約付借地権であることの前提に立ち,かつ,権利金の支払の有無その他の借地条件を考慮して相当の価格を求めなければならないので,これらの特約の有効性の判断ならびに相当の対価の算定はかなり個別的になると思われる。

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A 当事者間の合意で定めます。
  裁判所が算定する手続(非訟)はありません。
  ただし,金額が相当性の範囲を逸脱すると無効とされることがあります。


【建物譲渡特約付借地;建物譲渡代金額;「相当の対価」】
Q建物譲渡特約付借地において,譲渡する際の建物の代金,はどのような金額を決めても良いのでしょうか。

A当事者間の合意で定めます。
裁判所が算定する手続(非訟)はありません。
ただし,金額が相当性の範囲を逸脱すると無効とされることがあります。

借地借家法上,譲渡時の代金額について,「相当の対価」と規定されています(借地借家法24条1項)。
一方,裁判所が決定するというような規定はありません。
結局,当事者の合意で定める,ということになります。
そして,合意額が「相当の対価」の範囲を逸脱していると無効となることがになります。

ここで,「相当の対価」(相当性)については,次のような解釈論があります。

<「相当の対価」の解釈論>
1 建物買取請求権の場合の「時価」に関する↓の判例と同様と考える説
→稲本洋之助他編『コンメンタール借地借家法』(第3版)日本評論社186頁
 <流用する判例>
 昭和35年12月20日最高裁(後掲)
  <概要>
  建物買取請求権の価格=建物の現存する状態での評価額+場所的利益

2 24条における特殊性を考慮すべきとする説
→澤野順彦『論点借地借家法』青林書院154頁
「単に,建物の現存価格に場所的環境を参酌すればよいわけではなく,借地権の残存期間,法定借家権が発生すること及び法定借家権の賃料(想定額)その他建物譲渡特約付借地権であることなどを考慮した相当な額でなければならないと解せられる」
 <24条における特殊性;建物買取請求権の場合との違い>
 ・建物譲渡が当初から予定されている。
 ・建物譲渡時期と借地権の存続期間が必ずしも一致せず,そのことが当初から明らか。
 ・法定借家権の発生がありうること。

現時点で,判例等による解釈の統一はなされていません。
ただ,「1」は非常に硬直的ですので,「2」の説が有力であると考えられます。
その場合に,「相当性」判断で考慮される各種の要素は次のとおりです。

<相当性判断要素の例>
・権利金授受の金額(有無)
・借地契約の残存期間
・法定借家権の賃料
・建物を地主が買い取ることによる経済的な負担
・譲渡時の建物の状況
・譲渡時の社会経済の状況
・その他の借地条件

[借地借家法]
(建物譲渡特約付借地権)
第二十四条  借地権を設定する場合(前条第二項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
2  前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
3  第一項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第三十八条第一項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。

[昭和35年12月20日 最高裁第三小法廷 昭34(オ)730号 建物買取代金請求事件]
借地法一〇条にいう建物の「時価」とは、建物を取毀つた場合の動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格である。そして、この場合の建物が現存するままの状態における価格には、該建物の敷地の借地権そのものの価格は加算すべきでないが、該建物の存在する場所的環境については参酌すべきである。

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Q 建物譲渡特約付借地の契約があります。
  期間満了時に,建物に賃借人が入居している状態です。
  賃貸借契約の期間が長く設定されています。
  建物が譲渡され,地主の所有となった後,建物の賃貸借はどうなるのでしょうか。


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A 建物譲渡について(仮)登記がなければ,
  建物賃貸借契約を地主も承継することになります。
  建物譲渡の(仮)登記が,建物賃借人の入居より前からあれば,
  建物賃貸借契約はなくなります。この場合,法定借地権の対象となります。


【建物譲渡特約付借地;建物譲渡×建物賃貸借の承継】
Q建物譲渡特約付借地の契約があります。
期間満了時に,建物に賃借人が入居している状態です。
賃貸借契約の期間が長く設定されています。
建物が譲渡され,地主の所有となった後,建物の賃貸借はどうなるのでしょうか。

A建物譲渡について(仮)登記がなければ,建物賃貸借契約を地主も承継することになります。
建物譲渡の(仮)登記が,建物賃借人の入居より前からあれば,建物賃貸借契約はなくなります。この場合,法定借地権の対象となります。

建物賃貸借,と,建物譲渡,の優劣の問題です。
大原則のルールは「対抗要件」です(民法177条)。
具体的には,「建物賃借人の入居」と「建物譲渡の登記」の早いほうが優先になる,ということです(借地借家法31条1項)。
仮に建物賃借人の入居,の方が早ければ,建物賃貸借契約の内容を建物の新所有者=地主が引き継ぐことになります。
一方,建物譲渡の(仮)登記の方が早ければ,建物新所有者との間では「建物賃貸借契約」は適用されません(文献後掲)。
ただし,すぐに明渡し請求が可能な状態,というわけではありません。
法定借家権の対象となるので,適法な手続がなされれば一定の範囲で借家権が成立します。
直ちには明渡し請求ができない状態となります。

[民法]
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

[借地借家法]
(建物賃貸借の対抗力等)
第三十一条  建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
2~3(略)

[コンメンタール借地借家法(第3版)]
188頁
建物譲渡により建物所有権が借地権者から借地権設定者に移転しても,借家人は対抗要件を備えている限り,借家権を新家主たる借地権設定者に対抗できる。もっとも,通常は建物完成を待って所有権移転(またはその請求権保全)の仮登記がなされるであろうから,その後に登場すべき借家人が土地所有権者にその借家権を対抗しうる場合は例外にとどまる。そこで,本項は,借地権設定者に対抗しえない借家人にも,期間の定めのない法定借家権を認めて一定の保護を与えることにしている。

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