裁定和解;不服申立手続→原則なし~判決と和解の中間的手続〜裁定和解,17条決定〜~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 裁定和解の手続で,裁判所が和解条項を定めました。この内容に納得出来ない場合,キャンセルできるのでしょうか。

誤解ありがち度 4(5段階)
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A 裁判所の告知後は,和解成立の効果を覆す制度は原則的にありません。

【裁定和解;不服申立手続→原則なし】
Q裁定和解の手続で,裁判所が和解条項を定めました。この内容に納得出来ない場合,キャンセルできるのでしょうか。

A裁判所の告知後は,和解成立の効果を覆す制度は原則的にありません。

裁定和解の手続き上,最初に当事者が「裁判所の和解条項案を承服する」ことを書面において提出しています(民事訴訟法265条2項)。
文字どおりに,裁判所が示した和解条項に従うことになります。
「判決」であれば控訴や上告により,判決の効果を覆す制度があります。
しかし,裁定和解は「判決」ではないので,控訴や上告によって解消することはできません。
裁判所が和解条項案を提示(告知)する前であれば,キャンセルは可能です(民事訴訟法265条4項)。
しかし,提示(告知)後は,キャンセルできません(文献後掲)。
結局,この制度利用上重要なことは↓です。

<裁定和解利用上の注意点>
裁判所の提示する和解条項が不利なものである場合でも,「効果を解消できない」

このような性格上,裁定和解は利用する際,当事者に躊躇が生じることが多いです。
逆に,利用する前提として,↓のような工夫をしておくと良いです。

<裁定和解利用上の工夫>
裁定申立の時点で「和解条項の「条件」「範囲」」を協議の上,合意→書面に明記しておく

[民事訴訟法]
(裁判所等が定める和解条項)
第二百六十五条  裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な和解条項を定めることができる。
2  前項の申立ては、書面でしなければならない。この場合においては、その書面に同項の和解条項に服する旨を記載しなければならない。
3  第一項の規定による和解条項の定めは、口頭弁論等の期日における告知その他相当と認める方法による告知によってする。
4  当事者は、前項の告知前に限り、第一項の申立てを取り下げることができる。この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。
5  第三項の告知が当事者双方にされたときは、当事者間に和解が調ったものとみなす。

[コンメンタール民事訴訟法Ⅴ 297頁]
本条による和解条項の定めについては不服申立ての規定はなく,この場合も通常の和解の場合と同様,原則として期日指定を申し立て,裁判所の判断を求めることになろう(略)。なお,単に裁判所の定める和解条項が予想に反したというだけでは,和解が無効とならないのは当然である。

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