「屋内」の著作物撮影~動画配信サイト~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 町並みを撮影した動画を投稿しました。
  1つのシーンをよく見たら,美術館の入口が写っていました。
  エントランスの銅像も映っていました。
  これは違法でしょうか。


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A 軽微な映りこみであれば,適法でしょう。

【「屋内」の著作物撮影】
町並みを撮影した動画を投稿しました。
1つのシーンをよく見たら,美術館の入口が写っていました。
エントランスの銅像も映っていました。
これは違法でしょうか。

→軽微な映りこみであれば,適法でしょう。

形式的には,「美術の著作物」(著作権法2条2項)の「複製権」「公衆送信権」が侵害されている状態と言えます。
美術館という建物の内部なので「屋外設置物の権利制限」(著作権法45条2項,46条)の適用もありません。
そうすると,原則どおりに,著作物の撮影→公表なので,著作権侵害となるはずです。
しかし,ごく一部に映ってしまった,という場合まで違法とするのは不合理です。
そこで,一定の軽微な「映り込み」については,違法としては扱わない,というルールが規定されました(著作権法30条の2)。

<「映り込み」の適法規定>
・分離困難
・付随的
・軽微な構成部分

複製,翻案が適法となる

まさに,町並みの撮影中に動画に一瞬写りこんだ美術品,というのはこれに該当するでしょう。
結局,適法ということになります。



[著作権法]
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二~二十三(略)
2  この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。
3~9(略)

(付随対象著作物の利用)
第三十条の二  写真の撮影、録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)の方法によつて著作物を創作するに当たつて、当該著作物(以下この条において「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該創作に伴つて複製又は翻案することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2  前項の規定により複製又は翻案された付随対象著作物は、同項に規定する写真等著作物の利用に伴つて利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

(美術の著作物等の原作品の所有者による展示)
第四十五条  美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる。
2  前項の規定は、美術の著作物の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には、適用しない。

(公開の美術の著作物等の利用)
第四十六条  美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
一  彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合
二  建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合
三  前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
四  専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合

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