労災保険;費目間流用の禁止~交通事故×労災保険~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 交通事故について労災保険を使うと「費目間流用の禁止」で有利になる,というのはどのような意味ですか。

誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
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3 知らない新人弁護士も多い
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A 労災保険の既受領額の控除,の際に,「項目別」に算定します。被害者側に過失割合がある場合,「一括算定」よりも有利になります。

【労災保険;費目間流用の禁止】
交通事故について労災保険を使うと「費目間流用の禁止」で有利になる,というのはどのような意味ですか。

→労災保険の既受領額の控除,の際に,「項目別」に算定します。被害者側に過失割合がある場合,「一括算定」よりも有利になります。

交通事故による損害を大きく分けると次のようになります。

<損害の項目(分類)>
・積極損害(治療費など)
・消極損害(休業損害など)
・慰謝料

そして,労災保険給付金既受領額の控除,については「項目別」に行うこととされています(判例後掲)。
「項目別」に算定すると,(一括して算定するよりも)有利になることがあります。
被害者に過失があり,過失相殺により損害賠償請求額が減額するケースで,「差」が生じることがあるのです。
具体例で示します。

<費目間流用禁止が効力を発揮する例>
前提;被害者の過失割合=20%,加害者=80%
・積極損害(治療費)
 100万
 ↓×0.8 ;被害者分の過失割合20%を差し引く
 80万円
 ↓-100万円 ;労災保険既受領額を差し引く
 -20万円
 ↓
 プラスマイナスゼロ ;他の項目から差し引くことは禁止=費目間流用の禁止

・消極損害(休業損害)
 100万
 ↓×0.8 ;被害者分の過失割合20%を差し引く
 80万円
 ↓-50万円 ;労災保険既受領額を差し引く
 30万円

・慰謝料
 100万
 ↓×0.8 ;被害者分の過失割合20%を差し引く
 80万円
 ↓差引なし ;労災保険支給対象外なので既受領額ゼロ
 80万円

・合計
 労災保険 100万円+50万円=150万円
 加害者への請求額 ゼロ+30万円+80万円=110万円
 合計 150万円+110万円=260万円

・合計(※仮に一括計算した場合)
 損害額合計300万円×0.8(被害者の過失割合20%を差し引く)=240万円


[最高裁判所第3小法廷昭和55年(オ)第82号損害賠償請求事件昭和58年4月19日]
労働者に対する災害補償は、労働者の被つた財産上の損害の填補のためにのみされるものであつて、精神上の損害の填補の目的をも含むものではないから(最高裁昭和三五年(オ)第三八一号同三七年四月二六日第一小法廷判決・民集一六巻四号九七五頁、同昭和三八年(オ)第一〇三五号同四一年一二月一日第一小法廷判決・民集二〇巻一〇号二〇一七頁参照)、前記上告人が受領した労災保険による障害補償一時金及び休業補償金のごときは上告人の財産上の損害の賠償請求権にのみ充てられるべき筋合のものであつて、上告人の慰藉料請求権には及ばないものというべきであり、従つて上告人が右各補償金を受領したからといつてその全部ないし一部を上告人の被つた精神上の損害を填補すべきものとして認められた慰藉料から控除することは許されないというべきである。

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