相手の住居に侵入して獲得した証拠の証拠能力~違法収集証拠と証拠能力;メールの盗み見など~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 夫との関係が悪化し,別居しています。
  不倫していると思うのですが,証拠をつかんでいません。
  夫の住居に忍び込んで手帳・ノートなどを撮影しました。
  これは証拠として使えますか。


誤解ありがち度 4(5段階)
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A 証拠能力が否定される可能性があります。

【相手の住居に侵入して獲得した証拠の証拠能力】
夫との関係が悪化し,別居しています。
不倫していると思うのですが,証拠をつかんでいません。
夫の住居に忍び込んで手帳・ノートなどを撮影しました。
これは証拠として使えますか。

→証拠能力が否定される可能性があります。

夫婦とは言え,別居している場合は,私生活は基本的にセパレートになります。
それぞれのプライバシーは,一般的な同居の親族よりもより保護されることになります。
そこで,侵入して証拠を獲得した場合,その違法性は一定程度高いと言えます。
裁判例においては,「侵入」の点に加え,次の点をも考慮した結果として,証拠能力を否定しました。

<違法性の1つとして重視された点>
入手された物が「訴訟遂行について,依頼した弁護士との打ち合わせ用のメモ」という機密性(密行性)の高い物であった点

[東京地方裁判所平成9年(ワ)第20985号慰謝料請求事件平成10年5月29日]
1証拠について
 被告訴訟代理人は、原告本人の反対尋問において、何度か、原告本人の作成した大学ノートに書かれてあった内容を引き合いにして質問を行ったので、当裁判所は、そのような書証が提出されていないことに疑問を抱き、被告訴訟代理人に対し その大学ノートとは何か」と質問したところ、被告訴松代理人は、後に提出する予定の書証の写しとして、乙四の大学ノートを提示したうえ、後に提出する書証として原告本人に提出し、これに対し、原告訴訟代理人は、そのような窃取したような文書は証拠として提出することに異議があると主張しているので、判断する。
 わが民事訴訟法は、刑事訴訟法と異なり、証拠能力については規定しておらず、すべての証拠は証拠能力を付与されるかのごとくであるか、当該証拠の収集の仕方に社会的にみて相当性を欠くなどの反社会性が高い事情がある場合には、民事訴訟法二条の趣旨に徴し、当該証拠の申出は却下すべきものと解するのが相当である。
 これを乙四の大学ノートについてみると、同文日の記載内容・体裁、甲六の原告の陳述書の記載内容との比較対照の結果、原告本人の、述を総合すると、乙四は、原告本人が甲六の陳述書の原稿として弁護士に処し差し出したものか又はその手元控えてあることが明らかであり、そのような 日は、依頼者と弁護士との間でのみ交わされる文目であり、第三者の目に触れないことを旨とするものである。乙四は、おそらく春子が原告と別居後に原告方に入り、これを密に入手して、被告を介して、被告訴訟代理人に預託したものと推認される。そうすると、乙四は、その文書の密行性という性質及び入手の方法において、書証として提出することに強い反社会性かあり、民事訴訟法二条の掲げる信義誠実の原則に反するものであり、そのような証拠の申出は違法であり、却下を免れないというべきである。特に、乙四には、これを子細にみると、被告に有利な点もあれば、不利な点もあり、被告は、突然として、後出の書証として、提示し、そのうち有利な点をあげつらって、反対尋問を行おうとしたものであって、許容し難い行為である。

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