遺言内容と相続人による処分の抵触;事後的な遺言執行者選任~遺言執行者を付けるメリット~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
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Q 遺言では,遺産である不動産がBに遺贈されています。
  しかし,その前に,その不動産はAに売却されていました。
  遺言には遺言執行者についての記載がありません。
  家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらえば,Aへの売却を無効にできますか。


誤解ありがち度 3(5段階)
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A Aへの売却を無効にすることはできません。最低限遺言に遺言執行者の指定(の委託)がないと抵触する行為を無効にすることはできません。

【遺言内容と相続人による処分の抵触;事後的な遺言執行者選任】
遺言では,遺産である不動産がBに遺贈されています。
しかし,その前に,その不動産はAに売却されていました。
遺言には遺言執行者についての記載がありません。
家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらえば,Aへの売却を無効にできますか。

→Aへの売却を無効にすることはできません。最低限遺言に遺言執行者の指定(の委託)がないと抵触する行為を無効にすることはできません。

民法1013条で,遺言執行者の執行の「妨害」となる行為はできないと規定されています。
具体的には,抵触する行為が「無効」となると解釈されています。
この点,遺言執行者(候補者)が就任承諾をする「前」であっても,この条文は適用されるとされています(判例)。
では,遺言に抵触する行為(売却等)があった場合,その後,家庭裁判所に申し立てて,遺言執行者を選任すれば,抵触行為を無効にできると誤解しがちです。
しかし民法1013条が適用される限界は,「遺言に遺言執行者の指定(またはその委託)」が記載されている場合だけです(判例後掲)。
この記載がない場合は,「後出し過ぎる」→「覆すのは行き過ぎ」と考えると良いでしょう。

[民法]

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

[最高裁判所第2小法廷昭和36年(オ)第338号第三者異議事件昭和39年3月6日]
受遺者は登記がなければ自己の所有権取得をもつて被上告人に対抗できないものと解すべきであり、原判決認定のように競売申立記入登記後に遺言執行者が選任せられても、それは被上告人の前記第三者たる地位に影響を及ぼすものでないと解するのが相当である。

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