公益通報者保護法の対象となる不正行為の主体~公益通報者保護法~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
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Q 公益通報者保護法では,「誰の行為」について,通報することが適法となるのでしょうか。

誤解ありがち度 4(5段階)
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A 会社の業務に関係する者はほとんどカバーされます。

【公益通報者保護法の対象となる不正行為の主体】
公益通報者保護法では,「誰の行為」について,通報することが適法となるのでしょうか。

→会社の業務に関係する者はほとんどカバーされます。

「会社の行う業務」というのは,細かく個々の作業を見ると,個人が扱っています。
具体的には,従業員だけではなく,役員や,場合によっては外部の者が「代理人」として遂行していることもあります。
公益通報者保護法では,これらの「関与している者」を幅広く対象者として列挙しています(公益通報者保護法2条1項)。

<「誰の行為」の通報が保護されるか>
・労務提供先(会社)
・労務提供先に従事する次の者
 ・役員
 ・従業員
 ・代理人
 ・その他の者

[公益通報者保護法]
(定義)
第二条  この法律において「公益通報」とは、労働者(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者をいう。以下同じ。)が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、その労務提供先(次のいずれかに掲げる事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)又は当該労務提供先の事業に従事する場合におけるその役員、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該労務提供先若しくは当該労務提供先があらかじめ定めた者(以下「労務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該労務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第三号において同じ。)に通報することをいう。
一  当該労働者を自ら使用する事業者(次号に掲げる事業者を除く。)
二  当該労働者が派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。第四条において「労働者派遣法」という。)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)である場合において、当該派遣労働者に係る労働者派遣(同条第一号に規定する労働者派遣をいう。第五条第二項において同じ。)の役務の提供を受ける事業者
三  前二号に掲げる事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合において、当該労働者が当該事業に従事するときにおける当該他の事業者
2(以下略)

【公益通報者保護法の対象となる不正行為の内容】
公益通報者保護法では,「どのような行為(こと)」について,通報することが適法となるのでしょうか。

→「犯罪」に該当する行為のほぼすべて,と,不正行為(犯罪未満)のうち,一定の範囲の行為です。

公益通報者保護法で通報することが適法とされる「通報内容」は,次のようにまとめられます。

<「何」の通報が保護されるか>
・一定の法律で規定される「犯罪行為の事実」(2条3項1号)
 犯罪に該当する必要がある。
 法律は別表で定められているが,ほとんどすべてカバーされている。
・不正行為(犯罪以外)が成立し,これが発覚した後,適切な処分や是正がなされていない事実(2条3項2号)

[公益通報者保護法]
(定義)
第二条(略)
3  この法律において「通報対象事実」とは、次のいずれかの事実をいう。
一  個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。次号において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実
二  別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)
4(以下略)

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