引渡命令の申立可能期間~不動産競売~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q  引渡命令は,いつまで申立をできるのでしょうか。

誤解ありがち度 3(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 通常は代金納付日から6か月です。
  明渡猶予の適用がある場合は9か月です。


【引渡命令の申立可能期間】
引渡命令は,いつまで申立をできるのでしょうか。
≪短期賃貸借≫≪明渡猶予制度≫≪引渡命令≫

→通常は代金納付日から6か月です。明渡猶予の適用がある場合は9か月です。

引渡命令の申立は次のような期間制限が設定されています(民事執行法83条2項)

<引渡命令の申立可能期間>
 通常(明渡猶予期間の適用なし)
  →代金納付から6か月
 明渡猶予期間の適用あり
  →代金納付から9か月

仮に,競売から長期間が経過した場合は,一般論として,「占有権原」に変化がある可能性が出てきます。
そうなると,明渡の可否を慎重に審査すべき,ということになります。
引渡命令は特別な例外としての簡易手続きなので期間制限が設定されているのです。

原則は6か月間,です。
ただし,明渡猶予期間が適用される場合は,原則として6か月間は明渡を請求できません。
そうすると,「やっと引渡命令申立ができるようになった瞬間に期間切れ」となってしまいます。
そこで,明渡猶予期間が適用される場合は,申立可能期間は9か月とされているのです。

[民事執行法]
(引渡命令)
第八十三条  執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上買受人に対抗することができる権原により占有していると認められる者に対しては、この限りでない。
2  買受人は、代金を納付した日から六月(買受けの時に民法第三百九十五条第一項 に規定する抵当建物使用者が占有していた建物の買受人にあつては、九月)を経過したときは、前項の申立てをすることができない。
3  執行裁判所は、債務者以外の占有者に対し第一項の規定による決定をする場合には、その者を審尋しなければならない。ただし、事件の記録上その者が買受人に対抗することができる権原により占有しているものでないことが明らかであるとき、又は既にその者を審尋しているときは、この限りでない。
4  第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5  第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。

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