解約申入と明渡料~「無条件」ではない!~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 期間を定めないで建物を賃貸しました。
  いつ退去してもらえるのでしょうか。


誤解ありがち度 3(5段階)
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1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 解約予告期間は,賃借人から=3か月,賃貸人から=6か月,となります。
  賃貸人からの解約申入の場合,明渡料が必要になることが多いです。


【解約予告期間(建物賃貸借)】
期間を定めないで建物を賃貸しました。
すぐに解約できるのでしょうか。
≪解約申入;建物賃貸借≫

→解約予告期間は,賃借人から=3か月,賃貸人から=6か月,となります。

解約申入をすることにより,賃貸借契約は終了します。
原則として,解約予告期間は次のようになります。

<解約予告期間>
・賃借人からの解約申入
 →3か月(民法617条1項2号)
・賃貸人からの解約申入
 →6か月(借地借家法27条1項)
  ※正当事由が必要

[民法]
(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第六百十七条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 一年
二  建物の賃貸借 三箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 一日
2 (略)

[借地借家法]
(解約による建物賃貸借の終了)
第二十七条  建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
2 (略)

【解約申入と明渡料】
期間を定めないで建物を賃貸しました。
一方的に通知すれば無条件に契約は終了するのでしょうか。
≪解約申入;建物賃貸借≫

→賃貸人からの解約申入については,明渡料が必要となることが多いです。

賃貸人から解約申入をする場合,「正当事由」が必要です(借地借家法28条)。
賃貸人,賃借人の状況が考慮されますが,基本的には,明渡料,が必要となることが多いです(同条「財産上の給付」)。
一方,賃借人からの解約申入の際には,このような「前提条件」は不要です。
賃貸人・賃借人,いずれからの解約申入についても,相手方の同意は不要です。
ただ,実務上は,まずは,双方の納得できる退去時期を決めるべく協議をトライするのが一般的です。

[借地借家法]
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条  建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

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