複数の土地にまたがる法定地上権~隣接土地の「庭」も入る?~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 法定地上権が成立する建物を所有しています。
  建物の直下部分は1筆に収まっています。
  ただ,現況として,隣接する1筆が庭となっているのです。
  隣接地にも法定地上権が成立するのでしょうか。


誤解ありがち度 5(5段階)
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A 類似裁判例から考えると「成立しない」可能性が大!


【複数の土地に法定地上権が成立するか】
法定地上権が成立する建物を所有しています。
敷地は2つの土地(2筆)にまたがっています。
両方の土地について法定地上権が成立するのでしょうか。

→両方の土地について成立します。

法定地上権の成立範囲は「建物の利用に必要な範囲」です。
1筆の一部,ということもありますし,また,2筆以上にまたがる,ということもあります。
この解釈自体は,判例の考え方から当然とされています。

【隣接地(庭)にも法定地上権が成立するか】
法定地上権が成立する建物を所有しています。
建物の直下部分は1筆に収まっています。
ただ,現況として,隣接する1筆が庭となっているのです。
隣接地にも法定地上権が成立するのでしょうか。

→成立しない可能性が高いでしょう。

法定地上権が成立する範囲は「建物の利用に必要な範囲」と解釈されています。
「庭」というものは,確かに,建物をより有効に利用する,利用効率を高める,という機能があります。
ここで,法定地上権という制度の根底的な考え方は,「不合理な建物の撤去を避ける」というものです。
つまり,原則論で考えると,「利用権を設定していない以上は利用権がない」ということになります。
その例外として,土地利用権を特別に・救済的に創設する,というのが法定地上権の制度趣旨なのです。
このような趣旨から「法定地上権の成立範囲は『最小限』にすべき」という方向性が導かれます。
このテーマそのものについての判例は見当たりませんが,同趣旨のテーマについての判例はあります(後掲)。
これは,建物保護法における,「対抗力」の範囲,の解釈に関するものです。
結論としては,「庭となっている隣接する土地」については借地権の範囲としては認めない,というものです。

(参考)
[最高裁判所第3小法廷昭和38年(オ)第372号地上物件収去土地明渡請求事件昭和40年6月29日]

本件(A)(B)両地の賃借権は、当該土地を前示のような庭として使用するための権利であつて、同条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル土地ノ賃借権」に該当せず、また、「土地ノ賃借人ヵ其ノ土地ノ上ニ登記シタル建物ヲ有スル」場合にも当らないから、同条の要件を充足しないのみならず、同条は、地上建物を当該宅地上に存する状態において保全することを根本趣旨とするものであるところ、本件において、(A)(B)両地の賃借権に対抗力を賦与しなくても、上告人の所有居宅の敷地の使用権は、特段の事情がない限り、喪われることはないから、該居宅の保全には毫も欠けるところはなく、このような場合にまで同条の適用を肯定することは、かえつてその立法趣旨を逸脱すると考えられるからである。

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