貸地をする場合の話し合いではどうやって決めることになりますか。
兄が私に無断で「借地権の譲渡」を承諾してしまった場合はどうなりますか。
共有と借地(賃貸借)が絡むと・・・ややこしいんです。
誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る
↓お陰様でランキング1位継続中!↓


↑文系弁護士のブログも見てみよう!↑
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
A 持分の過半数,つまりA・B2人で決める必要があることが多いです。
借地権無断譲渡への対抗策はありますが,さらに相手にも対抗策が生じます。
【共有不動産の賃貸借(まとめ)】
共有不動産を賃貸している場合,賃料は誰が受け取るのでしょうか。
→共有不動産から生じる賃料は,最終的に,共有持分割合に応じ,各共有者が受け取ります。
共有物を対象とする賃貸借の賃料債権は可分とされています(最高裁平成17年9月8日;前出)。
そこで,各共有者が自己の持分割合に相当する金額を賃借人に請求できます。
ただし,賃貸借契約書での「支払方法」の指定によっては,契約書が優先となる場合もあります。
その場合,共有者のうち特定の者が賃料全額を賃借人から受け取り,他の共有者は受領者に対し,自己の持分割合分の金額を不当利得金として請求することになります。
【共有不動産の賃貸借に関する意思決定方法】
私(A)と兄Bで2分の1ずつ土地を共有しています。貸地をする場合の話し合いではどうやって決めることになりますか。
→決める内容によって,決定方法が変わります。
<賃貸借契約締結>
→持分の過半数が必要
民法602条の範囲内,かつ,借地借家法の適用がない賃貸借契約については,「管理行為」の1つとされています。
持分の過半数の賛成が必要です。
A・Bいずれも単独では決定できません。
上記条件に該当しない賃貸借契約は「変更行為」となり,共有者全員の同意が必要です。
いずれにしてもA・Bいずれも単独では決定できません。
<賃貸借解除(をすることの意思決定)>
→持分の過半数が必要
「管理行為」の1つとされています。
A・Bいずれも単独では決定できません。
<解除の意思表示の通知>
→単独で実行可能
仮に共有者間で「解除について決定」がなされた場合は,「解除の意思表示(通知)」自体はA・Bいずれかが単独で実行できます。
実行できるのは「通知」というアクションです。
解除の意思表示を通知する前提である,「解除する」という「意思決定」には,実行(解除通知発送)の実行権限は各共有者が全員持っているという解釈が主流です。
勿論,先行する「解除することの意思決定」の際に,「Bが通知を発送する権限を持つ」と決めていれば,Aには通知発送の権限はないことになります。
この「解除する」という「意思決定」は持分の過半数の賛成が必要です。
結果的に,次のようになります。
意思決定はA・B2人で行う→通知というアクション(作業)自体はどちらか1人で良い
<不法占有者への明渡請求>
→単独で実行可能
「保存行為」の1つとされています。
A・Bいずれかが単独で不法占有者に対して明渡請求を行うことができます。
<借地権譲渡承諾>
→持分の過半数が必要
「管理行為」の1つとされています。
借地権譲渡によって新たな方が借地人になります。
借地のスタート,つまり賃貸借契約締結と同じ考え方です。
【共有者の1名による独断での借地権譲渡承諾】
以前,A(私)・BでCに貸地をしました。ここまではA・Bで両方納得していました。
しかし,最近,BがAに無断で借地権譲渡(C→D)を承諾してしまいました。
Aはどんな対処法を取れますか。
→無断譲渡として明渡請求ができます。ただし,Dから建物買取請求権を行使される可能性もあります。
複雑な権利関係となります。
以下,原則的な解釈に基づく結論を,順に説明します。
なお,実際には,個別的な事情によって,多少イレギュラーな解釈がなされる可能性もあります。
<明渡請求>
→AからDに対する明渡請求が可能です。
確かに,DはCから借地権譲渡を受けたので,「借地権」を持っているように見えます。
しかし,借地権譲渡のためには地主の承諾が必要です(民法612条1項)。
土地が共有の場合は,地主が複数存在することになります。
その場合,持分の過半数が賛成しないと,正式な「承諾」にはなりません。
このケースではAが賛成していないので,Bだけでは過半数になりません。
そこで,結論としては「無承諾」の状態です。
そこで,Aから見るとDは,占有権原のない者,となります。
いわば不法占有者です。
不法占有者への明渡請求は,持分の過半数がなくても,共有者が単独で行えます。
結果的に,Aは単独でDに対して明渡請求を行うことができます。
<借地契約(賃貸借契約)の解除>
→A単独では借地契約の解除はできません。
借地契約の解除を決定するためには,土地の持分のうち過半数の賛成が必要です。
Aだけでは解除を決定することはできません。
<建物買取請求権>
→解除なし,だと,建物買取請求権を行使されることがあります。
借地権譲渡について,地主が承諾しない場合,借地人(借地権譲受人)は地主に対し,建物を買い取るよう請求することができます(借地借家法14条,借地法10条)。
「無断譲渡」という,ちょっと非常識なことをした者を保護することになっているので,一見おかしな条文だと思えます。
この点,「無断譲渡」をされた地主として,対抗措置として「無断譲渡による解除」を行えば,借地権自体が消滅するので「建物買取請求権」を封じることができそうです。
しかし,判例では,解除したとしても,「無断譲渡の譲受人」までは「建物買取請求権」を行使できると判断しています(最高裁昭和39年6月26日;後掲)。
解除をして封じることができるのは「無断譲渡の譲受人」がさらに借地権を譲渡した,という,さらに傍若無人な場合のみです。
なお,仮に賃貸借契約書に「建物買取請求権の行使はできない」と書いてあっても,その条項は無効です(借地借家法16条;強行法規性)。
<結論>
→A単独でできることは次のとおりになります。
明渡請求→○
解除→×
建物買取請求権を防ぐ→×(防げない)
[借地借家法]
(第三者の建物買取請求権)
第十四条 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
(強行規定)
第十六条 第十条、第十三条及び第十四条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。
[最高裁判所第2小法廷昭和37年(オ)第294号建物収去土地明渡請求事件昭和39年6月26日(抜粋)]
借地法一〇条は、借地権譲渡につき土地賃貸人の承諾があれば適法に従来の借地権を取得しうる地位にある第三者が、賃貸人の不承諾のため借地権者となることができない場合に、建物保護のために第三者に買取請求権を与えた規定である。従つて、同条の適用があるのは、賃貸人の承諾があるならば第三者において従来の借地権を取得しうる場合、換言すれば借地権の存続中において第三者が建物等を取得した場合であることを要するものといわなければならない。原判決の引用する第一審判決の確定した事実によると、本件土地の賃借人である上告人の所有する地上建物が滞納税金のため公売に付され、訴外Aがこれを買得したので、本件土地の賃貸人Bは昭和二八年五月九日上告人に対し借地権の無断譲渡を理由として賃貸借契約を解除した後である同年九月Cが右地上建物の所有権を取得したというのであるから、右Cに買取請求権の存しないことは原判示のとおりであつて、借地法一〇条の解釈を誤つたとの論旨は理由がない
<<告知>>
みずほ中央リーガルサポート会員募集中
法律に関する相談(質問)を受け付けます。
1週間で1問まで。
メルマガ(まぐまぐ)システムを利用しています。
詳しくは→こちら
<みずほ中央法律事務所HPリンク>
PCのホームページ
モバイルのホームページ
特集;高次脳機能障害
↓お陰様でランキング1位継続中!↓


↑文系弁護士のブログも見てみよう!↑
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
不動産に関するすべてのQ&Aはこちら
震災特例法に基づく被災者(会社)の負担軽減策。税金の還付請求など。by国税庁
弁護士による不動産の法律相談
個別的ご相談等のお問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
お問い合わせ・予約はこちら
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
03-5368-6030
050-5538-5030