Bが先日亡くなりました。
遺言が出てきて,遺産がCに遺贈されていました。
当初,遺産(Bの財産)から返してもらえると思っていたけど,それは無理なのでしょうか。
ちょっと前の話しの延長線バージョンです。
誤解ありがち度 5(5段階)
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A 詐害行為取消権はダメだけど財産分離が使えます。
ちょっと高度過ぎる話しです。
【包括遺贈の場合】
遺言内容が,「遺産の全部をCに遺贈する」と書いてある場合です。
→Cに対して,貸金返還請求を行えます。
遺言に「遺贈」と書いてありますが,「遺産すべて」となっています。
この場合は「包括遺贈」となります。
包括遺贈の場合は,一般的な相続人と同じ扱いになります(民法990条)。
そうすると,被相続人(B)が負っていた債務(借金)も包括受遺者(C)に承継されるのです。
債権者(A)はCの財産(この中に承継した遺産も含みます)を差し押さえることができます。
【民法990条】
(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
【特定遺贈の場合】
遺言内容が「遺産のうち甲不動産をCに遺贈する」と書いてある場合です。
→原則として,Cには貸金返還請求できません。Cへの遺贈登記が未了であれば,甲不動産の差押は可能です。
まず,このように遺贈の対象が「特定の財産」である場合は,「特定遺贈」となります。
そうすると「相続人と同じ扱い→債務も承継」が適用されません。
純粋に遺贈対象の財産だけを獲得する,という形になります。
結局この場合,甲不動産について熾烈な対立関係が生まれます。
債権者Aの差押 と 受遺者Cの取得 です。
どちらが優先するかは明確な答えがあります。
それは「登記の順序」です(民法177条;最高裁判所昭和39年3月6日)。
Cが遺贈の登記をするより先にAが甲不動産を差し押さえれば,結局不動産は競売になり,Aは配当により貸金を回収できることになります。
Cへの遺贈登記が既になされていた場合,差押はできません。
【詐害行為取消権】
妨害的な行為を取り消すのが「詐害行為取消権」(民法424条)です。
→遺贈について,詐害行為取消権は行使できないと思われます。
遺贈は家族法に基づく制度です。
家族法については,「詐害行為取消権」のような財産法の制度は,原則として適用されません。
少なくとも,これを認めた裁判例,文献は見当たりません。
以上のような性質論もそうですが,他の適切な救済手段がありますので,ますます適用する解釈にはなりにくいと思われます。
【登記の壁を突破する貸金回収法】
→相続人に請求する,(第1種)相続財産分離を利用する,という方法があります。
順序を整理して回収法をまとめます。
<1>Bの相続人への請求
仮に唯一の相続財産が遺贈されたとしても,債権者AはBの相続人に対して請求することができるます。
<2>相続財産分離
相続人が無資力であり,回収が不可能ということであれば,相続財産分離によって受遺者に優先して相続財産からの弁済(配当)が受けられます(947条2項,931条)。
<3>相続財産管理人選任
相続人がいない場合(相続放棄をした場合含む)は,相続財産管理人の選任を申し立てます。
そうすれば,受遺者より優先で弁済(配当)を受けることができます。
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