特別受益の基本~持ち戻し~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 長男だけに仕送りを続けていました。
  将来の相続の時に,不公平だということで問題にならないでしょうか。

特別受益,持ち戻し話しです。

誤解ありがち度 3(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

お陰様でランキング1位継続中!
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
↑文系弁護士のブログも見てみよう!↑
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑

A 相続の計算上,一定範囲の仕送りは「なかったものとして」扱われる可能性があります。

「特別受益」という制度の基本から。

【「特別受益」とは】
→相続人のうちに,遺贈・贈与を受けた者がいて不公平となる場合に,これを修正する制度です。
 一定の要件があります。

法定相続を考える際に,一定の遺贈・贈与を「なかったものとして考える」という制度です(民法903条)。
要は,計算上,遺贈・贈与された財産を相続財産に「戻す」ことになります。
そのため,「持ち戻し」と言うことが多いです。

<民法903条1項>
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

【持ち戻しの対象】
→遺贈,生計の資本としての贈与 の2つです。

遺贈はすべてが持ち戻しの対象です。
生前贈与については,「生計の資本」と言えるものだけが持ち戻しになります。
「生計の資本」の解釈・適用はある程度幅があります。
解釈としては「生計の基礎として役立つ財産上の給付で,扶養義務の範囲を超えるもの」と表現されています。

【「生計の資本」とは】
→送金した側・された側の収支状況によって決まります。

事例として,月額10万円を超えた送金だけを持ち戻しの対象とする,という審判例があります(後掲)。

といったところで基本の部,は終了!
実はこれまた 簡易キャンセラー が用意されています。
このグッズについてはまた別の話し。

<<告知>>
みずほ中央リーガルサポート会員募集中
法律に関する相談(質問)を受け付けます。
1週間で1問まで。
メルマガ(まぐまぐ)システムを利用しています。
詳しくは→こちら

<みずほ中央法律事務所HPリンク>
PCのホームページ
モバイルのホームページ
特集;高次脳機能障害

お陰様でランキング1位継続中!
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
↑文系弁護士のブログも見てみよう!↑
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑

震災関連法律相談Q&Aはこちら
震災特例法に基づく被災者(会社)の負担軽減策。税金の還付請求など。by国税庁
弁護士による相続・遺言の無料法律相談
個別的ご相談等のお問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
お問い合わせ・予約はこちら
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
03-5368-6030
050-5538-5030

【東京家庭裁判所平成17年(家)第4989号、平成20年(家)第299号、平成20年(家)第300号遺産分割申立事件、寄与分を定める処分申立事件平成21年1月30日(抜粋)】

そして,別表3記載の平成4年×月×日から平成6年×月×日までの間に一月に2万円から25万円の送金がなされているが,本件遺産総額や被相続人の収入状況からすると,一月に10万円を超える送金(平成4年×月×日12万円,同年×月12万円,×月×日60万円,平成5年×月×日10万円,同年×月22万円,同年×月25万円,同年×月×日10万円,同年×月×日25万円)は生計資本としての贈与であると認められるが,これに満たないその余の送金は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計資本としての贈与とは認められないと思慮する。また,別表1(1)の送金中の相手方が受領を認める平成8年×月×日から平成11年×月×日までの送金のうち,平成10年×月×日5万6000円,同年×月×日5万6000円,同年×月×日6万円,平成11年×月×日1万円は,いずれも一月に10万円未満であるから,親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計資本としての贈与とは直ちに認められないと思慮するが,その余の送金はいずれも一月に10万円以上の送金がなされており,平成10年×月×日に10万円返金されたとの記載を除き返済されたと認められる証拠がないことからすると,これらの一月に10万円を超える送金(ただし,上記10万円の返金を控除する。)は生計資本としての贈与であり,いずれも相手方の特別受益と認められる。