事業場外みなし労働時間制~アインシュタインがみなしたモノ~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 営業マンです。
  外回りが多いので,勤務時間,がよく分かりません。
  残業代はもらえないのでしょうか。

自然過ぎて?よく分からないことが多いでしょう。
まさにそのような場合の制度があります。

誤解ありがち度 3(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 事業場外みなし労働時間制,が適用されます。

通常,会社で事業場外みなし労働時間,という制度が適用されています。
ちなみに,「みなし労働時間制」シリーヅの兄弟商品,「裁量労働制」は別の話し(こちら)

順に行きます。

【事業場外みなし労働時間制とは】
労働時間の把握が困難な職種について一定の労働時間を設定する制度です。

典型的なものは,外勤のように会社や上司が,正確な稼働時間,を把握できない場合です。
このような場合に「正確な労働時間は分からないけど,この仕事には概ね8時間くらい必要だから,1日あたり8時間働いた事とみなそう。」とする制度のことです。
これを,「みなし労働時間制」と言います。
1日中客先回りをする営業マンのように,特定の職場(事業場)以外で労働する場合が典型例です。
この場合,「事業場外みなし労働時間制」と言います。
労働基準法に規定があります。

【労働基準法第38条の2第1項】
労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において,労働時間を算定し難いときは,所定労働時間労働したものとみなす

※興味のある方以外,この部分はスキップ推奨。
みなす,と言えば ”光を光子とみなす”
ひかる君が女性の「みつこ」になった,ではなく。
光という「波」(電磁波)を粒とみなす考え方。
光子は「こうし」。
アインシュタインが考えたややこしい話しで・・・
結果的に,光がぶつかった時に電流(電力)を作れることになって・・・
結論は太陽光発電という商品として完成されます。
ところでアインシュタインの考えた特殊相対性理論。
E=mc^2(←2乗のことね)
(↑当事務所の「MC」との関係があるかないかはこちら
特殊相対性理論は質量が消えるとエネルギーが生まれる,ってやつ。
これ実は原子炉(原発)の原理。
アインシュタインの考えた原理が原発にも太陽光発電にも活かされているとは!
むしろ「活かした」「実用に持って行った」エンジニアに拍手したい!


【事業場外みなし労働時間制が適用できる場合】
事業場外の労働+労働時間の算定が困難,ということが条件です。

事業場外みなし労働時間制を適用して労働時間を算定するためには,以下の要件を満たさなければなりません。
1 事業場の外での労働であること。
2 使用者の具体的な指揮監督が及ばず,労働時間を算定することが困難であること。

【事業場外みなし労働時間制の「みなされる労働時間」】
原則は就業規則で決められます。
「所定労働時間」が8時間を超過する場合は,労使協定+労働基準監督署への届出,が必要です。

「所定労働時間」が8時間以内の場合でも,労使相互の理解を十分とするために労使協定を結ぶこともあります。

【事業場外みなし労働時間制が適用される典型例】
典型例は,外回りの営業職や新聞記者などです。

外回りをしている営業職や,新聞記者などは,正確な労働時間の把握が困難です。
勿論,1日中外回りをしても,オンラインなどのタイムカードで勤務時間を管理している場合は,適用されません。

【在宅勤務(SOHO)の場合でも事業場外みなし労働時間制が適用される?】
法律上の要件を満たせば適用されます。

「事業場外」と言えるためには,「私的空間」である必要があります。
「労働時間の算定が困難」と言えるためには,管理が不十分(=労働者の裁量が大きい)である必要があります。
最近流行りつつある,在宅勤務(いわゆるSOHO)について,事業場外みなし労働時間制を適用する要件を詳しくまとめると次のようになります。
1 業務が,起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。
2 情報通信機器が,使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。
3 業務が,随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。

【NOMADの場合は?】
法律上の要件を満たせば適用されます。

NOMADとは,放牧民,から来ています。
喫茶店や公園などで仕事をすることです。
ノートPCで執筆したり,移動しつつ電話の営業・得意先訪問をする,など,場所的に自由な仕事の形態です。
将来は情報化社会,高度のIT化が進んで広まっていくと思います。

で,事業場外みなし労働時間制,の話しでした。
自宅勤務(SOHO)と同様に適用されます。
喫茶店・公園などは,明らかに「事業上」ではありませんので,より事業場外みなし労働時間制に適しているでしょう。

【事業場外みなし労働時間制を適用する場合の注意点】
オンラインのタイムカードで管理するなど,労働時間の把握が可能である場合には適用されません。

スマートフォンやノートパソコン等で会社(のサーバ)に常時アクセスするなど,労働時間の把握がされている場合は,事業場外みなし労働時間制は適用されません。
あくまでも,原則=実際の労働時間で賃金を計算する,ということが前提なのです。
どうしてもこれが不可能な場合のみ,みなし労働時間制が適用できるのです。

【1日の労働時間のうち,一部が会社内,その他は社外で営業,という場合は?】
適用されます。

労働時間の一部について事業場外で業務に従事した場合,事業場内の労働時間を含めて,所定労働時間労働したものとして扱うことになります。
「労働時間の把握が困難」という結論は「1日中事業場外」という場合と同じだからです。
例えば,所定労働時間が8時間で午前中は事業場内で仕事し,午後から事業場外で営業活動を行った場合を考えます。
結局,1日の労働時間の算定が困難と言えます。
そこで,その日事業場内で労働した時間を含めて全体として所定労働時間の8時間労働したものとして扱います。

【間違えやすい例】
労働時間の算定が可能であるのに,みなし労働時間を適用している誤った例が散見されます。

<事業場外みなし労働時間制が適用にならない場合の具体例>
1 グループで事業場外労働をする場合で,その中に管理者(労働時間を管理する者)がいる場合。
2 無線や携帯電話等で随時管理者の指示を受けながら労働に従事している場合。
3 外出の前に訪問先や帰社時刻など当日の業務について具体的な指示を受け,事業場外で指示どおりに業務をこなし,その後事業場に戻る場合。

【事業場外みなし労働時間制が適用されても,残業代が発生する例】
原則として残業代は発生しません。
しかし,一部の仕事を会社で行った場合,残業代が発生することもあります。

例えば,みなし労働時間制が適用される営業マンが帰社して,会社でも仕事をしてから帰ったという場合です。
具体例として,定時を午後5時30分,帰宅時刻を午後7時とします。
状況によって次のように変わってきます。
・営業マンが定時前に会社に戻ってきて,社内で書類整理をして7時に帰社した場合
 →定時以降に仕事をした時間(1時間30分)について残業となります。
・営業マンが定時以降(午後6時30分)に会社に戻ってきて,社内で書類整理をして7時に帰宅した場合
 →会社で仕事をしていた30分について残業となります。

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