夫はこれを理由に離婚を請求してきています。
でも聞いて下さい。私が怒ってしまった理由は夫の不倫なのです。
それでも離婚は認められてしまうのでしょうか。
認められたら「踏んだり蹴ったり」ですね。
類似の判例がありますよ。
誤解ありがち度 3(5段階)
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A 暴力は大きな問題ですが,このような特殊事情があった場合は,離婚が認められない場合もあります。
順に行きます。
暴力で離婚が認められるか。
認められる可能性が高いです。
大前提です。
暴力は,夫婦関係を極端に悪化させます。
暴行や傷害といった犯罪にも該当するくらい大きなことです。
ですから,これだけで離婚が認められるということが多いです。
ちょっと変形パターン。
暴力を加えてしまった方から離婚を要請した場合も離婚が認められるでしょうか。
裁判では認められる可能性は低いです。
いわゆる「有責配偶者からの離婚請求」という問題です。
自分から原因を作って,離婚が認められるのは不合理です。
さらに言えば,離婚をしたかったら自分から攻撃すれば良い,ということになり,暴力その他の理不尽な行為を助長することになります。
そこで,原則として,有責配偶者からの離婚請求は否定されています。
勿論,仲が悪くなったからこそ暴力を行ってしまったというケースがほとんどです。
しかし,先に手を出したら不利に扱われてしまうのです。
前提終わり。
本題へ。
妻から夫に暴力を加えた→夫から離婚請求→これだけだと認められそう
↓しかし
暴力の理由=夫の不倫が許せなかったから
特殊事情満載です。
ここで判例紹介。
その名も「踏んだり蹴ったり裁判」(末尾引用)
ネーミングすごいなぁ,と思っていたら,なんと判決文でそう言っているのです。裁判官が。
要約します。
「情婦」を妊娠させといて離婚を請求するとは何事か!けしからん!認めん!
はよアタマ冷やして奥さんのとこに戻りなさい!
なんか,時代を感じさせる,と思いませんか(ド誘導)。
そう,その時代は昭和27年。
終戦後のサンフランシスコ平和条約が昭和26年(1951年←遠く来いサンフランシスコへ,と覚えました)。
終戦直後じゃないか!
と思ったら,件の裁判官は判決文中でそう言っています。
判例要約入ります。「」部分は直接引用です。【】は私のコメント。
(妻が夫に)水をかけたりホウキで叩いたのは「誠にはしたない」
【↑6年前に公布された日本国憲法9条の「戦争放棄」にかけてるのか。掴みが効いてる】
不倫相手の妊娠は「いわば上告人(夫)自ら種子をまいたものであるし」
【↑これは例えではなく,遺伝子工学的な性的なもの?】
「被上告人(妻)の行き過ぎは全く嫉妬の為めであるから、嫉妬の原因さえ消滅すればそれも直ちに無くなるものと見ることが出来る」
【↑本当か!うむ。攻撃手段が「水・ホウキ」というとこからすると愛情の裏返し的な「手加減」を読み取ったか】
夫は「もう戻れない心境」と言うがそれは夫の「我儘である」
夫の離婚請求が認められるならば妻は「全く俗にいう踏んだり蹴たりである」
「法はかくの如き不徳義勝手気儘を許すものではない。」【憲法の番人,ではなく「義理人情の番人」ちうところか】
情婦の不幸は自ら招けるものだ
【このあたりからテンションが高まって「けしからん!!!」のオンパレード。長く続くので勧善懲悪セリフは末尾をご覧下さい】
「戦後に多く見られる男女関係の余りの無軌道は患うべきものがある。」
【↑うーむ。戦後はゴタゴタで何か破廉恥なことが横行していたのか??歴史の裏側があるんか??】
と,非常に興味深いディテールなのですが。
1つだけピックアップ
「妻ある男と通じてその妻を追い出し、自ら取つて代らんとするが如きは始めから間違つて居る。」
この点,理系・科学の世界はえげつない。無軌道はものすごいです。
酸素原子・電解液中の電子が無軌道極まりない!
酸素原子→金属と化合するが,より強く酸素を好いてくれる別の金属が現れると,元金属と分かれて(還元)して,新金属と化合する
電解液中の電子→元金属から離れて(イオン化),別の金属イオン(元金属よりイオン化傾向が小さい)と合体して金属原子となり固まる
そうです,規則的に乗り換える奴らなのです。無軌道,というか規則的と言うべきか。
件の裁判官がこの現象を見たら卒倒するでしょう!
話し,戻ります。
科学の世界はともかく,人間の世界では「無軌道」はアカンゆうことです。
ちなみに。その後,「有責配偶者からの離婚請求はアカン」という理論が確立されました。
それ以降は,わざわざ「けしからん!」のオンパレードを出さなくても,短い文章で同様の離婚請求を棄却できるようになったとさ。
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【最高裁判所 昭和27年2月19日】
論旨第一点に対する判断。
被上告人が原判決判示の如く上告人に水をかけたとか、ほうきでたたいた等の行為をしたことは誠にはしたないことであり、穏当をかくものではあるが右様のことをするにいたつたのは上告人が被上告人と婚姻中であるにかかわらず婚姻外のAと情交関係を結び同女を妊娠せしめたことが原因となつたことは明らかであり、いわば上告人自ら種子をまいたものであるし、原審が認定した一切の事実について判断すると被上告人の判示行為は情において宥恕すべきものがあり、未だ旧民法第八一三条五号に規定する「同居に堪えざる虐待又は重大なる侮辱」に当らないと解するを相当とする、従つて右と同趣旨である原判決は正当であつて論旨は理由がない。
同第二乃至第四点に対する判断。
論旨では本件は新民法七七〇条一項五号にいう婚姻関係を継続し難い重大な事由ある場合に該当するというけれども、原審の認定した事実によれば、婚姻関係を継続し難いのは上告人が妻たる被上告人を差し置いて他に情婦を有するからである。上告人さえ情婦との関係を解消し、よき夫として被上告人のもとに帰り来るならば、何時でも夫婦関係は円満に継続し得べき筈である、即ち上告人の意思如何にかかることであつて、かくの如きは未だ以て前記法条にいう「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するものということは出来ない、(論旨では被上告人の行き過ぎ行為を云為するけれども、原審の認定によれば、被上告人の行き過ぎは全く嫉妬の為めであるから、嫉妬の原因さえ消滅すればそれも直ちに無くなるものと見ることが出来る)上告人は上告人の感情は既に上告人の意思を以てしても、如何ともすることが出来ないものであるというかも知れないけれども、それも所詮は上告人の我儘である。結局上告人が勝手に情婦を持ち、その為め最早被上告人とは同棲出来ないから、これを追い出すということに帰着するのであつて、もしかかる請求が是認されるならば、被上告人は全く俗にいう踏んだり蹴たりである。法はかくの如き不徳義勝手気儘を許すものではない。道徳を守り、不徳義を許さないことが法の最重要な職分である。総て法はこの趣旨において解釈されなければならない。論旨では上告人の情婦の地位を云為するけれども、同人の不幸は自ら招けるものといわなければならない、妻ある男と通じてその妻を追い出し、自ら取つて代らんとするが如きは始めから間違つて居る。或は男に欺された同情すべきものであるかも知れないけれども少なくとも過失は免れない、その為め正当の妻たる被上告人を犠牲にすることは許されない。戦後に多く見られる男女関係の余りの無軌道は患うべきものがある。本訴の如き請求が法の認める処なりとして当裁判所において是認されるならば右の無軌道に拍車をかける結果を招致する虞が多分にある。論旨では裁判は実益が無ければならないというが、本訴の如き請求が猥りに許されるならば実益どころか実害あるものといわなければならない。所論上告人と情婦との間に生れた子は全く気の毒である、しかしその不幸は両親の責任である、両親において十分その責を感じて出来るだけその償を為し、不幸を軽減するに努力しなければならない、子供は気の毒であるけれども、その為め被上告人の犠牲において本訴請求を是認することは出来ない。前記民法の規定は相手方に有責行為のあることを要件とするものでないことは認めるけれども、さりとて前記の様な不徳義、得手勝手の請求を許すものではない。原判決は用語において異る処があるけれども結局本判決と同趣旨に出たもので、その終局の判断は相当であり論旨は総て理由なきに帰する。(本件の如き事案は固より複雑微妙なものがあり、具体的事情を詳細に調べて決すべきもので、固より一概に論ずることは出来ない。しかし上告審は常に原審の認定した事実に基いて判断すべきものであり、本件において原審の認定した事実によれば判断は右以外に出ない)