株主代表訴訟~弁護士の混合NG→理系的~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 会社の株主に派閥争いがあります。
  かろうじて多数派のトップが私で代表取締役です。
  注意すべきことは何ですか。

株主からいろいろ要請・意見が出る!
非公開会社では昔からよくありました。
先日は公開会社の東電でもめていましたね。
原発は安全には稼働できないのか,再生可能エナジーの利用の実現可能性,などなど,考えられることを徹底的に考える・・・という大前提がなぜがぽっかりできていないような気がしています。あ,これまた別の話し。

誤解ありがち度 2(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 株主総会の招集手続き,運営方法に不備がないようにすること。また,法令順守です。

  少数派からのアクションとして考えられるのは,株主総会の手続き違反を理由とした総会の無効や取消の請求があります。
  また,株主代表訴訟において,取締役の責任追及をしてくることも考えられます。

  これらの対策としては,株主総会については,招集手続きをしっかりと不備がないように行うことや,事前のリハーサル・想定問答を用意するなど,議事進行にも不備がないように準備することが重要です。
  記録としての議事録も適正に作成することも欠かせません。

  また,日常業務における法令遵守(コンプライアンス)は当然として,重要な会社の経営判断も,その判断材料となる資料を保管しておくなど,後から責任追及をされた際に説明できるようにしておくことも重要です。

付随的な話し,行きます。

まず付随トップ!
ネーミング。
「株主代表訴訟」と皆は言うけれど。
会社法では「責任追及等の訴え」。
出たっ!文系的発想(?)
てか,訴訟って一般に何らかの責任を追及するのがフツーなんだけど。
対象を短い言葉で表すちう「呼称」の使命を果たせていない・・・
ということで俗称である「株主代表訴訟」の方を勝たせて(採用して)先に進みます。

次。
内容入って行きます。

株主代表訴訟を提起できる株主。

公開会社では6か月以上という持株期間の制限があります。非公開会社はこの制限はありません。
公開会社でも持株期間について,6か月という会社法の規定よりも短い規定を定める(短縮する)ことは可能です。

株主代表訴訟提起のプロセス。

最初は,株主が会社に対し「役員に対し責任追及の訴訟を提起せよ」と請求します。会社が訴訟を提起しない場合に,株主が代表訴訟を提起できます。
本来,この請求の内容は「会社から特定の役員に対し,会社が被った損害の賠償を求める」というものです。
まずは原則形態である,会社自身が原告として訴えを提起する,という方法をトライする必要があるのです。
この提訴の請求は書面で行う必要があります。
その後60日以内に会社が役員を提訴しなかった場合に,時間切れとして株主自身が会社に「代わって」提訴できるようになります。

嫌がらせで株主代表訴訟を提起されたらどうすべきでしょうか。

提訴が簡単になってきたので,あるんですねー。「合法的?総会屋」への対策。

妨害的提訴に対しては担保提供命令を出すよう裁判所に申し立てます。
株主代表訴訟は手数料の低額化やその他の要件緩和により提訴が容易になっています。
仮に,妨害的な意図により提訴された場合は,裁判所が原告に金銭の担保を提供するよう要請する制度があります。
これは,被告となった役員が裁判所にその旨申立をしなくてはなりません。

細かい対策はあっても,未然に責任かぶるのを防ぎたい。そう思いませんか。

役員としての責任が生じるリスクは避けるためには。

法令順守を徹底すること。
これ当然。
でもこんなんもあります。「役員賠償責任保険」という商品。
保険屋さんの回し者ではございませぬ,拙者。

個々の行為について,法令順守を心がけていれば責任が追及されることはない,というのは机上の理論です。
実際に法令自体への違反がなくても,経営判断のミスとして責任が認められる例もあります。
実際の経営判断においては,後から責任を追及される可能性を感じながら,大胆に舵を切る,ということもありましょう。
株主代表訴訟提起が容易になるにつれて,役員にも「委縮効果」が現れている傾向を感じます。
心理的な支え,としては「役員賠償責任保険」は有意義だと思います。

最後に,間違えやすい場面。

株主代表訴訟を提起された役員個人。日頃からよく相談している会社の顧問弁護士に依頼しようかな。
と思う人多いですよね,最近。

しかし!

あかんねんて。

会社の顧問弁護士は被告となった役員の代理人にはなれません。
株主代表訴訟は,原告=会社自体,被告=役員,という構図です。
原告の裏に居るのが株主,ということになります。
会社の顧問は,原告の顧問です。
被告から依頼を受けると,利益相反,ということになり,違反となります。
会社とはそれまで係わりのなかった弁護士に依頼するしかないです。
ここいらのリジッドなあたり,理系的ですね。文系的感覚だとスルーしそうになっちゃいます。

要は,ただですらややこしいので,さらにややこしうせんどいて,ということです。
相撲や野球・サッカーのように,日本ティームの中に外国人が居ててはダメゆうことなんです。


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