しかし,私は借金がたくさんあるので,せっかくの遺産が差し押さえられてしまいます。
良い方法はありませんか。
これが,あるんですがちょっと間違えると大変なことになります。
誤解ありがち度 3(5段階)
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1 一般の方でもご存じの方が多い
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A 相続放棄が有効です。
結論だけ見て「よしゃ!」と言わずに聞いて下さい。最後まで。
プレゼント・・・はないのですが,注意事項がありますんで。
引っ張った以上,責任を持ってダッシュで行きます!
相続放棄をすることにより,相続人でなかったことになります。一種の擬制です。
これにより,遺産は別の相続人に承継されることになります。
債権者としてはガッカリですが,仕方ないことです。
で,相続放棄の手続きは家庭裁判所で行います。
弁護士が依頼を受けた場合は,郵送だけで済むことも多いんですが。実は。
ちょっと良くやりがちなミス,を説明します。
「相続受けなけりゃええんや」というて,こんなことをやりはる人が居てます。
兄弟(相続人)の間で,遺産分割協議書を作って,借金持ちの人だけ「相続しない」ということにしちゃう。
一瞬,「さっき,それで良い,有効,と言ったやんけ」と言われそうですが。違うんです。
実際に,不動産が遺産に入っている場合,遺産分割協議書を付ければ,兄弟のうち1人を抜かして相続登記を行うことはできます。
このような痛いケースが後を絶ちません。
というのは・・・
詐害行為として取り消されるリスクがあります!
債権者を妨害したとして,「詐害行為」ということになり遺産分割協議が取り消される可能性があります(末尾判例1参照)。
取り消されると,債権者が遺産である土地(の共有持分)を差し押さえることになります。
相続放棄は債権者よりも優先ですが,遺産分割協議は債権者より弱い,ということになります。
ほとんど似ているのに結果は大きく違います。
理由は複雑ですが,大雑把に言えば,相続放棄は「相続自体に一切関わりたくない」というポリシーという気持ちの問題と捉えられているので,特に尊重されているのです。
「身分行為」なんて呼ばれています。あまりよく分からないですよね・・・
もっと難しいと思いますが,これを語った判例を末尾に引用しておきます(判例2)。
自分で言ってナンですが,一般の方には分かりにくいですよね・・・
理詰めで行くと,分からなくもないですが,感覚的にしっくりこない・・・
法律は,大体,感覚と合っています。
借りたら返す,みたいに。
たまに,感覚とズレてることが起きるのです。
で,感覚だけでやっている方は,想定外のエラい目に遭ってしまいます。
あ,ダッシュに戻ります!
さらにもっと注意点を全部さらけ出します!
<相続放棄の注意点>
1 期間制限
2 不動産の場合は登記
3 法定承認をケア
まず,相続放棄は,相続があったことを知ってから3か月間だけしかできないことになっています。
延長する方法もありますが,早めに相続放棄の手続きを終わらせる方が良いです。
特に,不動産の場合,債権者が独断で相続登記を行った上で差押登記を入れる方法もあります。
こうなると,登記の修復が結構面倒になります。
早めに相続放棄を行った上で,すぐに他の相続人への相続登記を行うべきです。
また,仮に,被相続人の財産を子(あなた)が使ってしまうと,相続を承認したことになり,相続放棄ができなくなる場合もあります。
とにかく,早めに対応することが重要です。
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<判例1 遺産分割協議は取り消される>
【最高裁判所 平成11年6月11日(要旨)】
共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。けだし、遺産分割協議は、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について、その全部又は一部を、各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移行させることによって、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるということができるからである。
<判例2 相続放棄は取り消されない>
【最高裁判所 昭和49年9月20日(抜粋)】
相続の放棄のような身分行為については、民法四二四条の詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。なんとなれば、右取消権行使の対象となる行為は、積極的に債務者の財産を減少させる行為であることを要し、消極的にその増加を妨げるにすぎないものを包含しないものと解するところ、相続の放棄は、相続人の意思からいつても、また法律上の効果からいつても、これを既得財産を積極的に減少させる行為というよりはむしろ消極的にその増加を妨げる行為にすぎないとみるのが、妥当である。また、相続の放棄のような身分行為については、他人の意思によつてこれを強制すべきでないと解するところ、もし相続の放棄を詐害行為として取り消しうるものとすれば、相続人に対し相続の承認を強制することと同じ結果となり、その不当であることは明らかである。