裁判にするしかないと思っています。
ふと思ったのですが,「遺産分割」と「共有物分割」という2種類の方法(裁判)がありますよね。
どちらも選べるのでしょうか。
ややマニアックな質問です。
答えは簡単なのですが,掘ってみると深いですよ!
誤解ありがち度 3(5段階)
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A 遺産分割未了であれば,まずは遺産分割調停や審判を行うことになります。
内容が深いので,遺産分割or共有物分割,というトコに絞ってお話しします。
そもそもこの2つの手続きはどう違うのか,についてはまた別の話しにします。
遺産分割未了の状態の共有は,「遺産共有」と言われています。
要は,暫定的な共有状態であり,その後,遺産分割協議(や調停・審判)によって,内容が変わる可能性がある,という意味です。
ですから,遺産分割専用の手続きである遺産分割調停(審判)の方が,共有物分割訴訟よりも優先されるのです。
注意1
遺言に「A不動産を長男と次男に2分の1ずつ相続させる」と記載されていた場合。
→共有物分割(訴訟)
この場合,遺言の効力発生により,兄弟の共有は確定的になっています。
協議によって決めるという状態(=暫定),ではないのです。
ですから,遺産分割調停や審判ではなく,共有物分割という方法になります。
注意2
遺産分割未了の状態で,相続人の1人が遺産の不動産持分を第三者に譲渡した場合。
→共有物分割訴訟
確かに,確定的な共有ではない!と言いたいですが。
しかし,第三者と相続人との間では,「遺産共有」ではないです。
遺族(相続人)ではないので。
そうすると,一般の共有関係解消の手続きである「共有物分割訴訟」の手続きを利用することになります(判例は末尾に引用)。
注意3
遺産分割未了の状態で,相続人の1人が,不動産の「共有持分」を第三者に譲渡した場合。
→遺産分割(調停・審判)
分」であった場合は,譲渡後も「遺産共有」状態になります。
従って,第三者も含めて「遺産分割調停(審判)」を行うことになります。
間違えやすいので注意が必要です。
注意4(というか別の話し)
夫婦間での「財産分与」 と 共有物分割
これは参考としてですが。別の日の話しです。
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<裁判例(抜粋)最高裁判所 昭和50年11月7日>
しかし、共同相続人が分割前の遺産を共同所有する法律関係は、基本的には民法二四九条以下に規定する共有としての性質を有すると解するのが相当であつて(最高裁昭和二八年(オ)第一六三号同三〇年五月三一日第三小法廷判決・民集九巻六号七九三頁参照)、共同相続人の一人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者は、適法にその権利を取得することができ(最高裁昭和三五年(オ)第一一九七号同三八年二月二二日第二小法廷判決・民集一七巻一号二三五頁参照)、他の共同相続人とともに右不動産を共同所有する関係にたつが、右共同所有関係が民法二四九条以下の共有としての性質を有するものであることはいうまでもない。そして、第三者が右共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、民法九〇七条に基づく遺産分割審判ではなく、民法二五八条に基づく共有物分割訴訟であると解するのが相当である。けだし、共同相続人の一人が特定不動産について有する共有持分権を第三者に譲渡した場合、当該譲渡部分は遺産分割の対象から逸出するものと解すべきであるから、第三者がその譲り受けた持分権に基づいてする分割手続を遺産分割審判としなければならないものではない。のみならず、遺産分割審判は、遺産全体の価値を総合的に把握し、これを共同相続人の具体的相続分に応じ民法九〇六条所定の基準に従つて分割することを目的とするものであるから、本来共同相続人という身分関係にある者または包括受遺者等相続人と同視しうる関係にある者の申立に基づき、これらの者を当事者とし、原則として遺産の全部について進められるべきものであるところ、第三者が共同所有関係の解消を求める手続を遺産分割審判とした場合には、第三者の権利保護のためには第三者にも遺産分割の申立権を与え、かつ、同人を当事者として手続に関与させることが必要となるが、共同相続人に対して全遺産を対象とし前叙の基準に従いつつこれを全体として合目的的に分割すべきであつて、その方法も多様であるのに対し、第三者に対しては当該不動産の物理的一部分を分与することを原則とすべきものである等、それぞれ分割の対象、基準及び方法を異にするから、これらはかならずしも同一手続によつて処理されることを必要とするものでも、またこれを適当とするものでもなく、さらに、第三者に対し右のような遺産分割審判手続上の地位を与えることは前叙遺産分割の本旨にそわず、同審判手続を複雑にし、共同相続人側に手続上の負担をかけることになるうえ、第三者に対しても、その取得した権利とはなんら関係のない他の遺産を含めた分割手続の全てに関与したうえでなければ分割を受けることができないという著しい負担をかけることがありうる。これに対して、共有物分割訴訟は対象物を当該不動産に限定するものであるから、第三者の分割目的を達成するために適切であるということができるうえ、当該不動産のうち共同相続人の一人が第三者に譲渡した持分部分を除いた残余持分部分は、なお遺産分割の対象とされるべきものであり、第三者が右持分権に基づいて当該不動産につき提起した共有物分割訴訟は、ひつきよう、当該不動産を第三者に対する分与部分と持分譲渡人を除いた他の共同相続人に対する分与部分とに分割することを目的とするものであつて、右分割判決によつて共同相続人に分与された部分は、なお共同相続人間の遺産分割の対象になるものと解すべきであるから、右分割判決が共同相続人の有する遺産分割上の権利を害することはないということができる。このような両手続の目的、性質等を対比し、かつ、第三者と共同相続人の利益の調和をはかるとの見地からすれば、本件分割手続としては共有物分割訴訟をもつて相当とすべきである。