遺産として1000万円の預貯金が残っています。
弟とこれを遺産分割する時に保険金は考慮すべきですか。
純粋な遺産以外に被相続人(父)との間で財産の動きがあった場合,不公平だから修正しよう,というのが特別受益や寄与分というものです。
今回は特別受益として考慮すべきかどうか,という質問です。
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A 原則として考慮しません。
えーー!?
とお思いかもしれません。
だって,2000万の動きは「置いといて」,残った預貯金1000万円を兄弟で500万円ずつに分けよう,ということですので。
でも最高裁で決着が付いていることなんです。
生命保険金の受取については,原則として特別受益には該当しない,というのが判例の解釈です(末尾に引用)。
理由は,「被相続人名義の財産が移転したわけではない。保険契約という第三者との契約により発生した支払だ。単にその支払のタイミングが被相続人の死亡だっただけだ」という「トリガーに過ぎない理論」と言うべきものです(copyright MC)。
正確には,例外的に特別受益として考慮する(持ち戻しをする)ことがあると判断していますが,非常に限定的です。
最高裁判決の言葉でいうと次のとおりです。
「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」
実務上は,この例外はほとんど発動しません。
だって,↑の言葉,すごいですよ。
「到底是認することができない」
とか
「著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」
とか言ってますので。
そこで,高齢の方が,将来の相続紛争を防ぐための対策の一環として,高額の保険料一括払いの生命保険に入ることがあります。
保険会社もこの効果をアピールして営業することもあるようです。
素朴に考えると,相続間際に2000万円を保険会社に払って,相続発生後,相続人の1人が2000万円を受け取るので,不公平感は多いにあるところです。
しかし,法律解釈上,特別受益にされず,遺産分割のみならず遺留分としての保護の対象からも外されることが多いのです。
「遺留分キャンセラー」とも呼べるべき働きです(copyright MC)。
ただし,税務上は,「相続税キャンセラー」(copyright MC)は許されません。
「みなし相続財産」としてバッチリ課税されます。
「税務上と法律上は別」とか言われますが開き直りのような気がします。
というか,税務も租税法律主義で,当然法律に則っているのですが。
言うなら「税務上と民事上は」なのでしょうけど,あまり流行っていません。
ついで。
平成23年度税制改正で,相続税における生命保険の非課税枠が縮小することになりました。
「非課税枠は減ったので,節税効果はやや小さくなりましたが,遺留分キャンセラーとしてはまだまだ使えますよ!民法の方は改正がないですし,最高裁も判例変更発動してませんので!」
という保険会社のセールストークが聞こえてきます。
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<判例(抜粋)平成16年10月29日最高地方裁判所>
上記の養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないと解するのが相当である。もっとも、上記死亡保険金請求権の取得のための費用である保険料は、被相続人が生前保険者に支払ったものであり、保険契約者である被相続人の死亡により保険金受取人である相続人に死亡保険金請求権が発生することなどにかんがみると、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。上記特段の事情の有無については、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである。