この権利は従業員・会社どちらになるのでしょうか。
いわゆる「職務発明」に関する質問です。
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A 原則として会社が無償でその技術を利用できます。
ただし,細かい注意が続きます。
まず前提としてその発明が「職務発明」であることが前提です。
特許法35条1項に書いてます。
35条は今日の話しで出まくりなので末尾に引用しておきます。
35条1項に書いてある「職務発明」の定義を翻訳します。
社に勤務している従業員が,会社の業務として,研究・開発した結果完成した発明のことです。
要は,会社のコスト(設備や人件費)の下に誕生した技術なのだから,会社が使える,という理屈です。
外部で研究の業務について委託を受けた独立の機関が発明した,というケースとはまったく異なります。当然ですが。
注意点!
そのままでは,会社は,他の会社とライセンス契約を結んでライセンス料をもらう,とかはNGです。
ここまでやるのなら,会社は,発明した従業員から権利を買い取らなくてはならないのです。
会社が永年投資し続けた末の発明なのに!
従業員は投資してないじゃん!数千万円の機材を自分で持ち込んだ(マイ機材)わけではないのに!株主でもないのに!
と思うかもしれません。
でも,従業員の個人的な能力で発明が成立したとも言えます。
逆に言えば,「技術者は,会社の一員でも,ヒット作を出せば巨額の報酬がもらえる!がんばろう!お茶の水博士!」というメッセージが込められています。
日本政府としても,子供達に理科系の興味を持ってもらおうと,理科・算数系に力を入れる方針だそうな。
昔,チェルノブイリ原発事故in1986で,それ以降,原子力関係(量子系)の専門分野の人気がガタ落ちになったことがあります。ふくいちin2011もさらに追い打ちがかけられそう・・・
職務発明に対する相当の対価,という特許法が,世の理系離れのリカバリー源になーれー!
話しを戻して。
とにかく,会社と発明者個人のバランスが重要なのです。
法律にも,いろんな事情を考えて「相当の対価」を算定しましょう,と書いてます。
特許法35条3~5項です。
条文上は,「その発明により使用者等が受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業者等の処遇その他の事情」を考慮すると規定されています(特許法35条5項)。
当然ながら,電卓叩くように簡単に金額が算定されるわけではないです。
この評価で開きが出て,もめて,訴訟になることもあります。皆様ご存じでしょうけど。
個人的には,訴訟になってニューズになったりすると,ある意味「新技術の宣伝」になるかな,と思ったりしちゃいます。
判決が出た後でも,敢えてプラスアルファの金額を支給しちゃったりすると報道の勢いは急上昇でしょう。後々まで歴史として残ったり。
・・・と,法理論とマーケティングを同時に考えてしまいました。
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<参照条文 特許法35条>
(職務発明)
第三十五条 使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。
2 従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ又は使用者等のため仮専用実施権若しくは専用実施権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。
3 従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ、若しくは使用者等のため専用実施権を設定したとき、又は契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等のため仮専用実施権を設定した場合において、第三十四条の二第二項の規定により専用実施権が設定されたものとみなされたときは、相当の対価の支払を受ける権利を有する。
4 契約、勤務規則その他の定めにおいて前項の対価について定める場合には、対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況、策定された当該基準の開示の状況、対価の額の算定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められるものであつてはならない。
5 前項の対価についての定めがない場合又はその定めたところにより対価を支払うことが同項の規定により不合理と認められる場合には、第三項の対価の額は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。