強制保険が使えない場合~原子力or自動車?~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 交通事故に遭ってケガをしました。
  加害者は任意保険にも,自賠責保険(強制保険)にも入っていませんでした。
  賠償を払えなそうです。
  払ってもらえずじまいでしょうか。

そう!普通は自動車は保険に入っているはずです。
自動車運転するなら保険に入れ,自賠法でそう義務付けられているので。
だから「自賠責保険」とか「強制保険」とか言います。
似ている法律でこんなルールあります。
原発運転するなら保険に入れ。
これは原子力損害賠償法,略して原賠法です。マイナー過ぎて私のつこてるfepでは一発変換できません。

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A 自賠法72条の政府保障事業による填補が請求できます。

答えとしては,クニの救済措置を受けられるのですね。
ただし,あるべき自賠責保険の 代わり ですんで,自賠責保険と同じ賠償範囲です。

あるべき保障がなかった場合,というのは別のケースでもあります。
加害自動車が逃げてしまった場合。しかもナンバー覚えてなくて特定できない場合。

この場合も,まったく同じように救済措置として,政府が払ってくれます。

実は私自身も学生の頃交通事故で被害を受けて,加害車両が分からなかったのでこれを使ったことがありました。
豆知識。
クニに請求するから霞が関の官庁街に行くと思いませんか。
違うんです。
クニは業務を民間会社に委託してるんです。
学生だった私の場合,JAに委託されて,JA窓口で請求手続きをしました。
たまたま今日,まったく別の用事でそのJAに伺いました。ノスタルヂック!
あ,別にウチが農家とかではないです。実はJAは農業と関係ない一般の方でも入れます。
IT関連の方でも,TEPCOの社員でも入れるのです。

TEPCOと言えば原発。(強引だとか言わないで!)

原発も,自賠責みたいな感じのルールがあるのです。

原子力損害の賠償に関する法律,略して原賠法。
昭和30年生まれの自賠法の弟,原賠法は昭和36年生まれ。6歳下の子なんです。

兄弟で結構似たとこあんねんでー。

リンクとしての 自賠法 と 原賠法

・責任範囲拡大
  自賠法3条=運行供用者責任
  原賠法3条=無過失責任(但し書きは「異常に巨大な天災地変」)
・保険の強制
  自賠法5条
  原賠法6条=「損害賠償措置」=保険(8条)及び政府補償契約(10条)
・強制保険の上限
  自賠法13条→政令 例;傷害による損害は上限120万円
  原賠法7条=1事業所で上限1200億円(原則)
・最後の救済措置は政府
  自賠法72条(今日の日誌のテーマ)
  原賠法16条→1項に「政府は・・・必要な援助を行うものとする」って。
 ※「援助」というと「自発的」「任意」という語感がするのだが。それを義務付けてますよね!

このように,似ている兄弟的法律なんです。
最近は裁判所で「強制保険」と言うと「それは原子力ですか,自動車ですか?」と敢えて確認することが流行っています。
だから,「自賠責保険」「原賠保険」という名称の方を用いるようにしています。
脚色ですが。

[自動車損害賠償保障法]
(業務)
第七十二条  政府は、自動車の運行によつて生命又は身体を害された者がある場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第三条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。責任保険の被保険者及び責任共済の被共済者以外の者が、第三条の規定によつて損害賠償の責に任ずる場合(その責任が第十条に規定する自動車の運行によつて生ずる場合を除く。)も、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。
2  政府は、第十六条第四項又は第十七条第四項(これらの規定を第二十三条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定による請求により、これらの規定による補償を行う。
3  前二項の請求の手続は、国土交通省令で定める。

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