仮処分申請,ってやつ。
東電の主張が報道されています。
このブログでは珍しく,裁判を斬る!
というか,裁判所の判断ではなく,当事者(東電)の主張ですが。
あと,あくまでも報道されている内容が前提となっていることをお断りしておきます。
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前提整理。
原子力損害賠償法という法律があります。
原発を運転している会社(事業者)は,その事故で損害被った人に賠償しなくてはならない。無過失だとしても。
というルールになっています。
「無過失でも」というとこは重要です。「無過失責任」とか言います。「結果責任」に近いです。その違いは・・・別の話し。
危険物を扱う以上,その結果について広く責任を取りなさい
というメッセージですね。
でも,まだルールは続くのです。
「異常に巨大な天災地変」の場合は,例外的に責任を負わない,と書いてます。
天災地変,は天変地異と読み変えてもOK。
ということで前提知識は終わり。
争点!=今回の震災が「異常に巨大な天災地変」に該当するかしないか。
今回報道されている裁判の申立人は「異常に巨大」には該当しない(→免責されない),と主張。
これに対し!
東電は,「異常に巨大」に該当する,と主張。
「異常に巨大な天災地変」は,想像を超えるような非常に大きな規模やエネルギーの地震・津波をいい,今回の大震災が該当するという主張のよう。
その理由は!とすかさず聞きたくなりますよね。
「免責が実際にはほとんどありえないような解釈は、事業の健全な発達という法の目的を軽視しており、狭すぎる」
とのこと。
はーい,突っ込みどころ満載!
東電の主張を易しく言い換えつつ,突っ込みます。
その1
東電:「免責が実際にほとんどありえない」がおかしい
↓言い換えると
法律に「免責」のルールが書いてある以上,使う時があるのが普通。
↓言い換えると
今回の震災で使わないと,今後しばらく使う機会がなくなっちゃう
突っ込み:免責のルールを使う機会なんてなくてええわ!あったら困る。
免責適用場面なんてなくていいの!
余談:中だるみの中2の子がよく言うセリフ「いやー,世間では中2は中だるみ中だるみ言うさかい,たるまないと,言う方も拍子抜けしよるやろ」を思い出しました。
その2
東電:(免責を認めないと)「事業の健全な発達という法の目的を軽視」
↓言い換えると
原発の技術を発展させるためには,ある程度のミスは多めに見てくれ!
突っ込み:技術の発展が大事。それは分かるよ,分かるけど・・・(誰かの歌の中のしゃべりでこんなんあった気が)
せやな,原発の事故,それも大事故であっても,被害のことは考えず技術の進歩にまい進してくれ・・・言えるか!?
多くの人の生命・健康・生活を奪うことになります。はかない動物の命も奪います。
規模も尋常ではないです。
まとめ
一般の化学プラントであれば大爆発が起きたと仮定しても数十年間,半径数十キロの範囲が立入禁止になることは考えられません。
原発は違うのです。半径が1000キロになることも想定されます。
1つの地方・1つの国が廃墟となるリスクを負っています。
特にもんじゅ,プルサーマル(MOX燃料),六ヶ所再処理施設(←再処理できてないので名前負け)。
とにかく,原発を運用することに内在するリスクのべらぼーさを考えたら,これとリンクして安全性確保の責任ちうか,予見義務,はとてもつもなく高い。高くあるべき。
むかしべらぼーマンというヴィデオゲームがあったが,その背景は化学プラントみたいなのがあった。あれは実は原発を示唆していたのか・・・別の話しでした。
話し戻って。
今回の震災による原発事故が,本当に「異常に巨大な天災地変」に該当するのか。
要は想定外なのかどうか。
少なくとも東電や政府はこんな指摘を明確に受けていました。
・地震来たら原発施設の配管が折れるかもよ→大爆発しちゃうかもよ
・地震→停電で冷却不可能になる→大爆発しちゃうかもよ
・地震→津波で予備バッテリのタンク流され使えなくなる→大爆発しちゃうかもよ
ものっすごく明確に想定されていたのです。
ちなみに,指摘された時の反応はと言うと。
「ないこと言うなや」
東電も政府も裁判所も,異口同音にこのように言いました。
厳密には「同音」ではない。まったくこのとおりに発言するのは吉本新喜劇くらいです。
そもそも,これまでに散々言われてきた危険性『の一部』が具体的に現実になりつつあるのが現状です。
賛成派,反対派,とかではなく,冷静に起きる現象・影響の規模 と その可能性 を客観的に,冷静に考えるべき。
まずは,宣伝・イメーヂ戦略に乗せられずに,リセットして考え直すべき。
「使用済核燃料の処理方法が決まらない,分からないままボーがベラボーにたまっている」
これ自体をほとんど知らない国民の居てる国で原発が既に行われてるなんて・・・別の話しです。
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