みずほ中央法律事務所の三平です。
今日は原発の話し。というかマニアック?物理学。

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クイズ
原子炉が空焚きになり,水の温度が上がり過ぎて水素が発生した Yes/No
建屋上部が爆発した後,出てきた白い煙の正体は水蒸気だ Yes/No
答え
両方No
まずは爆発は水素がとんでもない勢いで燃焼したから起きたのです。
では,水素はどこから。
水のモト(素)いうくらいだから水からできた。
これは合っています。
では,水がものすごい高温になってできた?
ニューズではこのようなニュアンスのことが言われていました。
理系人間(元?)としてはすごく違和感がありました。
ちょっと調べてみて分かりました。
結論はこれ。
Zr(ジルコニウム)+2H2O(水)→ZrO2(ジルコニア)+2H2↑(水素)
ジルコニウムって何?
良い質問ですね。これは燃料棒の「棒」部分。被膜管とか言われてます。
(正確にはジルカロイという合金です。合金というのは・・・例によって細かすぎるとこははしょります)
冷却水が減って,燃料棒が水面上に露出→めちゃくちゃ熱くなる(摂氏2000度以上)→周りの「空間」に漂う水蒸気と反応→水素発生(化学反応式は↑に書いた)。
この時点で,
ジルコニウムの融点は融点3371度ですが,それ以下の温度で↑のような反応が起こってしまいます。
そして化学反応が起こると物質がジルコニアに変わるので物理的に損傷します。
壊れて隙間ができるということです。
ここで,おさらい。
原発の安全性。5重の安全装置。
・第1の壁:ペレット(燃料のウランを固めたもの)
・第2の壁:燃料棒(被覆管)
・第3の壁:圧力容器(原子炉)
・第4の壁:格納容器
・第5の壁:建屋
燃料棒が損傷した(水素が発生する化学反応が生じた時)時点で,第1・第2の壁は崩れていると考えて良いです。
ペレット(第1)はウランを固めただけです。ちなみにウランは摂氏2800度で融解します。
次に行って。
水素が発生するとどうなるでしょう。
本来,圧力容器(原子炉)(第3)から漏れ出ないはずなのです。
元々圧力に強い容器ですが,水素が発生しまくり圧力が想定の範囲を超えたり別の要因(GEに関係する・・・はしょります)で漏れ出てしまいました。ここで第3の壁崩れ去る。
次の格納容器(第4)はどうでしょう。
そう!文字通り,「圧力」ガマにはなっていないのです。
圧力が上がっていくと・・・
爆発しかねないのです。
ところが実際は・・・
格納容器の接合部分(上部の「帽子」みたいなとこと「胴体」の間)が歪んで,隙間から水素が漏れ出てきました(と推測されます。接合部で破談,というとJAL123を想い出す・・・)。
漏れてくれて助かった。格納容器(第3)自体が爆発して損壊する,に発展しなくて済んだので。この話は後で出てきます。
で格納容器(第4)から建屋(第5)の内部へ出てきた水素が爆発→建屋(第5)崩れ去る。
となりました。
そう,結論として,壁として残っているのは第3の格納容器だけ。
爆発しなくて済んで良かったですね!
これが爆発していたら5つの壁オール崩壊→高レヴェル放射能垂れ流し 恐ろしい・・・
ということで今日,残る第4の壁を死守しよう!ということで第4,つまり格納容器内に窒素(N)を入れよう,ということになったようです。
窒素は反応しない気体です。燃焼しないのです。そう,爆発しないのです。
次。
放水したら白い煙が出た話し。
建屋の上から水を入れるとどこに水が行くのか。
逆に,建屋の上から見ると何があるのか。
1 使用済み燃料プール
2 格納容器の頭の部分→実は格納容器の本体(胴体)の上に帽子状の「フタ」がリベットで接合されています。
で,1の使用済み燃料は冷却水が漏れて熱くなっていたと予想されます。
2の格納容器も燃料棒→圧力容器→格納容器 と熱が伝わっていたはず。
放水した水は1・2のあっついとこにぶつかったはず。
水が温められて,液体から気体になる。水の期待のことを「水蒸気」と言います。
では,白い煙=水蒸気なのか?
違います。水蒸気は無色透明です。白とかの「色」はありません。
え?沸騰している水が入っているやかんの口から白い煙を見たことがあるって?
それは水蒸気ちゃいます。
水滴,です。
気体になった水(水蒸気)が外気で冷やされて,再び液体に戻ったのです。
実際にはこまっかい液体の水の粒です。
液体の水は純粋な透明ではありません。
曇って見えるのです。
というか,雲がまさにこまっかい水滴の集まりです。霧も同じ原理です。
後半は小学生の理科のコラム的トピックでした。
とにかく,誤解を招く表現,を伝えているニューズに違和感を覚えました。という話しでした。
ちょっと話し戻って。
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