みずほ中央法律事務所の三平です。
最近ニューズを見ると,高校・大学で学んだ物理学の「原子」の分野を想い出します。
「もう分けられない」というギリシャ語からきているアトム=原子。
何と,分けられるのです。分けると中性子と熱エナジーが発生し・・・脱線失礼。
引き続き震災時の雇用関係のサポート情報です。

にほんブログ村
今回はまとめ的Q&A 解説付き です。
Q 計画停電を含む震災の影響で従業員が仕事を休んだ場合,通常の賃金が払われる場合・休業手当が払われる場合・何も払われない場合があることが分かりました。どのように区別したら良いかまとめて教えて下さい。
A 重要な要素は,「不可抗力」と言えるかどうか,また,雇用主が経営上の努力を怠っていないか,です。
分かりやすく分類します。
1 「不可抗力」の場合
(=当該休業が,事業の外部的要因により発生した,また,雇用主が企業経営において要求される最大の努力を尽くしても休業を避けられなかった)
→休業に対する休業手当・賃料は発生しない。
例:事業所の建物が倒壊した,工場の機械が損壊して製造不可能,停電によりパソコン・機械を使った作業が不可能
2 「不可抗力」とまでは言えない(就業が不可能ではない)が,雇用主が経営判断として休業を選択した(命じた)場合
→休業手当の支給義務あり
例:交通機関の遅延や政府の通勤抑制勧告・操業短縮勧告を受けて雇用主が自宅待機(休業)を命じた場合
3 休業を避ける容易な手段・方法があるにも関わらず,雇用主が経営上の努力・注意を怠たり,休業を選択した(命じた)場合
→通常の賃金支払義務あり(民法536条2項)
例:原料の仕入先のうち1社が被災し製造不可能になった。他の代替的な仕入先がいくらでもあるのに敢えて雇用主が当面操業を中止することにした場合
以上,Q&Aでした。
さらに補足説明。
ポイントは「2」です。
休業が「不可抗力」ではない場合は,雇用主は休業手当を支給する必要があります。
ここで,政府から通勤抑制「勧告」,操業短縮「勧告」が出されて,これに素直に応じた場合でも,休業手当を支払う義務があるのです。
要は,「勧告」であり「命令」ではない → 強制ではなく,任意=勧告に従わない自由もある=雇用主の判断により休業にした
ということです。
勿論,従業員想いの会社は任意に休業手当を支払うことは自由ですし理想的なことです。
(※そのような「理想」を掲げるとともに,就業規則などで「不可抗力による休業でも休業手当を支払う」と規定している会社も少なくありません。その場合は基本的に規定が優先(有効)です。例外的に変更が可能なケースも今回の震災で生じていますが)
一方で,実際に収支を悪化させることがその後の事業継続に影響を及ぼすような企業も現実に多く存在します。
そのような企業では,「事業を継続するために少しでも収支悪化を抑える必要がある→「勧告」に従ってはならない」となります。
東京・埼玉では(現時点では?)ないですが,放射能リスクのため,避難勧告がある地域ではどうなるのでしょうか。
事業を守るためには勧告に従っちゃダメ??
リスクの中で仕事を続けなくてはならない??
従業員は休業を命じられていない以上出勤しないと「怠業」??
安心して勧告に従える状態にして欲しいですよね・・・
(実際には,そのような地域では各種の公的支援(助成金など)のフォローがなされるのでしょうけどね)
震災関連法律相談Q&Aはこちら
個別的ご相談,助成金申請に関するお問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
http://www.mc-law.jp/yoyaku.html
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
03-5368-6030
050-5538-5030