これは飲食店さんとしてはたまりませんよね。これについては、誰もがそう思っていることでしょう。
既に大臣は撤回されていますが、もし金融庁から要請をされたら、金融機関さんとしては100%無視することは難しいと思います。だけど、金融機関さん(特に現場担当者)の立場としてはどうなのか?
金融機関さんは、貸出先の飲食店さんの売上高が激減しているのは知っています。要請に従わず、お酒を出している貸出先もあることでしょう。しかしながら、その飲食店さんに営業担当者さんはどう言えばよいのでしょうか?
倒産して貸出金の回収ができなくなってしまったら、金融機関さんだって困ります。保証付きだから問題ない!という意見もあるでしょうが、そもそも、たとえば、まだお若い20~30代の営業担当者さんが、お父さんくらいの飲食オーナーさんに「お酒を出さないでほしい」なんて言いにくいでしょ!
貸した資金に関することやそれに関わる経営、財務などに関することについては、強く進言することは当然あるでしょうが、「お酒を出すな」なんて・・・どういう根拠や確信をもって担当者は飲食オーナーさんに言えばよいのか・・・。
政治家の皆さんは、そういう現場の担当者のことなども考えて欲しいと思います。銀行員さんだって気の毒です。
西村大臣は、「金融機関は多くの飲食店を含む多くの事業者と接点があって、何か法律に基づく要請とかではなくてですね、一般的な日常の中で、そうした働きかけを行っていただければ」と言っていましたが、あまりにも民間企業を舐め切っていると感じました。
それに小さな個人飲食店さんなどは、日本公庫からの借入だけの事業者も多いですよ。公庫さんは「一般的な日常の中で、そうした働きかけ」なんてしていませんよ(できませんよ)。公庫さんにも営業させる気だったのでしょうか・・・。
そもそも、今回のコロナ禍で借入金ゼロで、はじめて日本公庫から借りた!という零細飲食店さんだって多いんです。
それでは、そこそこ店舗規模があって、公庫さん、信金さんから借入があるという単店の飲食店さんはどうでしょうか?
確かに創業当時に信金さんから保証付きで借りて、コロナ保証も利用しているかもしれませんが、大臣の言うように信金さんが「一般的な日常の中で、定期的に訪問して、コンサルティング機能を発揮しているのか?」っていうと、そんなことできていませんよ(困難ですよ)。
そういう現実を確認せずに、このような発想をするのは酷い話だと感じました。飲食店さんは常にとても辛い立場ですが、今回の発言においては、金融機関さんも気の毒だと感じました。
事業者、企業が成長するためにも、金融機関さんは大切なパートナーです。ただ、債権者と債務者の関係ですから、力関係があることを否定はしません。
しかしながら、今回の要請が実際になされたとしたら、分断を促進したと思います。現場で営業している金融機関の担当者さんは胃の痛くなる思いをしたかもしれませんよね。
ちなみに、酒の販売業者に対して「酒の提供をやめない飲食店には取引停止をしてほしい」と求めている件に関しては、すでに国税庁酒税課からお酒を売る業者の業界団体に対して要請文書が7月8日付で配られているようです。(ネットにアップされていますね!!)
つまり、こちらに関しては、菅総理も麻生大臣も承認済みということですよね。だけど、金融機関への要請については、菅総理は「承知していない。そうした趣旨での発言は絶対にしないと思う」と言ってました。また、複数の政府関係者も「総理は発言内容を知らなかった」と言っているようです。
しかしながら、これも疑わしいです。だって、「お酒は売るな」に関しては、8日付けで既に「国税庁酒税課」から文書が発せられています。「金融機関への要請」については撤回されましたが・・・、本当に西村大臣が一人で勝手にやったことなのでしょうか?
もうよく分からないし、滅茶苦茶ですねー。
何しろ、早くコロナ禍が収束してほしいです!!
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