緑の党グリーンズジャパンの丸尾牧でございます。私は自民党県議団、ひょうご県民連合から提案された「元県民局長の文書問題の内容調査」つまり百条委員会設置に関する動議に賛成の立場で討論致します。

 

本件は公益通報に対し、県が報復人事を行った可能性のある極めて重大な問題です。和歌山市では公益通報後に異動になった職員が自殺するなど、公益通報に関し、社会的に重大な課題が投げかけられています。

 

兵庫県は、5月7日前西播磨県民局長が今年3月、議員やマスコミなどに配布した内部告発文書について、知事や一部幹部職員を誹謗中傷し、多方面に流出させたことで、県政への信用を著しく損なわせたとして、その他の問題と併せ、停職3月の懲戒処分を発表しました。県民局長は、内部告発文書について、4月に公益通報しているにも関わらず、その判断を待つことなく、人事課は、告発文書を「核心的部分が事実ではない」として、誹謗中傷文書と判断し、処分を下しました。

一方、産業労働部長は、告発文書に記載がある6万円相当になるコーヒーメーカー、トースターを、知事に無断で受け取っていましたが、その説明として知事が目の前で受け取りを断ったにもかかわらず、「知事が受け取るかもしれないと思い、僕宛に送って下さいと自分の判断で依頼した」と、信じがたい説明をしています。個人での物品受け取りは、単純収賄の疑いがあり、免職になる可能性もあるにもかかわらず、それは処分対象にはならず、「長期に渡り返還を怠っていた」ことのみの責任が問われ、実質的には何のペナルティもない訓告処分でした。産業労働部長の行為の方が、重大だと私は思います。

これらは、不公正で、知事などに逆らったことへの報復人事の可能性があります。

 

 まずは、告発文書の事実確認を行います。

告発文書については、産労部長でしたが、コーヒーメーカーの受け取りは事実として存在していました。同じく文書にあるスポーツウェアについては、知事は、兵庫県内のスポーツメーカーから、Tシャツ3枚、ポロシャツ3枚、夏用・冬用トレーニングウェア上下1セットずつ、ベンチコート1枚、ベンチコートハーフサイズ1枚、シューズ3足を提供され、イベント時等に着用しています。県民局長は、告発文書の中で「貸与と言えるかどうか」と疑問を示していますが、事実関係は概ね間違いありません。

貸与ということですが、ロードバイク、などを受け取っているのも事実。アイアンセットについては事実関係がわかりません。

また、私のアンケート調査では、21人中6人から物品受け取りに関する記載があり、「贈答品の記載は全て正しいのではないか」との記載や、告発文書で指摘された以外のもので、段ボール箱1箱の海苔や日本酒、(チェアだったか)手作り家具などの供与を受けたと聞いているなどの記載があります。事実関係は不明です。

 

そこで、私は、告発文書から、斎藤知事もしくは県が、様々な物品提供を受けているのではないかと、2021年度~2023年度に知事、副知事、秘書課が受け取った物品(贈与、貸与)の管理簿、知事室及び知事応接室に展示してある物品リストの情報公開請求をしましたが、公文書は不存在ということで非公開決定が出ました。つまり提供された物品を、誰かが無断で持ち帰ったとしても、わからない状態が存在していたということでもあります。

併せて、コーヒーメーカーについて、アンケートでは、産業労働部総務課職員から、向かいの会議室(倉庫のことだと思いますが)で、見たことがないと聞いた。別の職員は、秘書課の倉庫から出てきたと聞いたようとの記載もあります。産労部長が受け取ったコーヒーメーカーのやりとりの再調査は不可欠です。

 

事実確認を継続しますが、「優勝パレードの陰で」と書かれた告発文書では、「そこで、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った。」と記載されています。

 私が、地域産業経済課に確認したところ、10月頃に中小企業への事業継続支援として、事業者への伴走支援を実施する金融機関に対する補助を継続することを決め、実際の支出はまだ先ですが、既に4億円の交付決定が行われています。その補助を受ける金融機関20社中12社が優勝パレードで寄付をした金融機関です。パレードの寄付金申し込みは、10月18日からなので、同じ時期に話がスタートしています。

 県人事課は、「前年度よりも補助総額が下がったから問題なし」と本件について説明していますが、明らかに論点ずらしの説明であり、翌年度に継続が決まっていない事業が、なぜ継続されるようになったのか、その経緯について、誰が発案者で、担当者は、誰からどのように指示をされたのか、金融機関への聞き取りを含め、全てを明らかにする必要があります。しかし、本件は、担当者などが真実を語らなければ、全て闇の中に葬り去られる可能性があります。

 

パワハラについては、私が行った県職員向けアンケート調査において、匿名であり事実関係は不明ですが、7人から知事のパワハラについての記載がありました。パワハラ部分は県民局長の記載は正しい、知事のパワハラ気質は事実、局長文書の20m手前で公用車から降りて怒鳴り散らされたエピソードは多くの職員が知っている有名なもの、事実関係は不明ですが、アンケートでは、庁外での公務イベント時には目的地に15分前に着かないと激怒との記載もあります。

 

hunterというネット記事では、5月に本件に関連し、「内部告発に名前の出ているうちの2人から、私はハッキリと『知事選は斎藤で頼む。商工会でも応援してほしい』という趣旨のお願いをされました」「優勝パレードに寄付した信用金庫がうちの会社の取引金融機関です。昨年12月の忘年会で信用金庫の幹部と話した時に、『兵庫県は、小さな信用金庫にまで寄付を求めてくる。すぐ返事しないでいると補助金がついた。そのお礼で寄付した。いい宣伝にはなったが、露骨だ』との記載もありました。それらの事実関係も確認する必要があります。

 

以上のように、告発文書全体について、明らかな事実の記載があり、パワハラ疑惑、その他の疑惑も存在しています。

 

上智大学の奥山俊宏教授は、Xや新聞記事等において、「通報内容に誤りや思い込みが若干含まれていても、刑法に抵触すると信じるに足る相当の理由があれば、法的保護の対象となる公益通報に該当する可能性がある」「文書の内容が嘘八百ではなく真実相当性がそれなりにあるのであれば、『公益通報』に該当し、文書を作成した県幹部職員への報復的処遇が違法性を帯びる可能性がある。」とコメントしています。少なくとも、その可能性があるのであれば、本件については、公益通報の判断を待ち、その上で処分を検討しても遅くはなかったでしょう。

県幹部職員が、知事が発言した「嘘八百」に沿う形で、影響力を行使しやすい人事課の調査を先行させ、公益通報委員会の結果も、外形的に縛ろうという意思があったのではないかと疑ってしまいます。

 また人事課の調査について、告発文書にある信用保証協会の顧問弁護士が関与しており、第3者性、中立性、客観性に疑問が残るものでした。

 

以上のことを踏まえ、私はこれまでの県の対応について、次のように判断致します。

前県民局長は、決して少なくない職員の中で当たり前に語られていたことを、文書に記しただけではないかと考えます。現時点における県の事実確認が不十分であり、正確性に欠ける部分はあるが、大まかな事実はあっているものが、かなり存在しているのではないでしょうか。

前県民局長の内部告発文書について、パワハラ問題などを含め、まだはっきりしていないものや、新たな情報が明らかになってきている中で、誹謗中傷文と断定するのは、時期尚早です。また、告発文書は本来であれば、公益通報と考えるべきで、100歩譲っても、公益通報委員会の判断が出た後に、意図的な虚偽が明確になれば、その段階で処分を検討すべきでした。事実確認が不十分な中での懲戒処分は、極めて大きな問題があると考えます。

そこで、百条委員会において

・告発文書が公益通報と評価しなかった経緯を調査すること

・人事課の調査が適切だったかどうか調査すること

・告発文書が事実かどうか調査すること

・産業労働部長のコーヒーメーカー等受け取りについて再調査すること

・丸尾のアンケートにもあるパワハラを含め、パワハラ行為が繰り返し行われていたのかどうか調査すること

・企業などから物品提供が当たり前に行われていたのかどうか、個人的な持ち帰りが無いのかどうか調査すること、またその管理の仕方を調査すること、を求めます。

 

 なお、百条委員会設置の反対意見として、第3者委員会と百条を並行して設置することが疑問、県政に混乱を招き、職員に負担をかけるという意見が聞かれます。

それについては、本件が公益通報の報復措置が行われた可能性のある重大な問題だと理解していないということなのでしょう。

 

最後に、第3者委員会を設置しても、今の知事の姿勢を考えると、真実が明らかになるのか、不安を感じています。

もう一度繰り返しますが、前西播磨県民局長が告発文書を一部のマスコミなどに公表してから、嘘八百と批判し、逆に嘘八百の根拠や、ご自身のパワハラなどの疑惑については、説明をせず、逃げてきました。知事の対外的な発信は、県の方針に変わります。そのため、人事課の調査は、知事の嘘八百発言に合わせる形で、結論が導かれたのではないかと思います。10調べればわかる話を1しか調べなければ結論は変わります。

そこで、公正中立な調査をするためには、嘘八百を撤回すること、人事課の調査が妥当という発言は、最低でもペンデング(留保)すること。そして、県職員に皆さんが感じた真実を第3者機関及び百条委員会で話して欲しいと県職員に発信することです。

 

併せて、百条委員会を回避する手立ては、副知事が自民党などに働きかけることではなく、百条委員会が始まり前に、知事が疑惑をかけられている全てにことに、誠実に事実を語ることです。

 

以上、百条委員会の設置に賛成致します。議員の皆さんのご賛同をお願い致します。