まじさんの映画自由研究帳 -4ページ目

まじさんの映画自由研究帳

映画とお酒と手品が好きです。
このブログは、主観100%の映画レビューです。
時々、ネタバレあります。
Twitterやってます。☞@mazy_3
※コメント歓迎ですが、内容に一切触れないコピペコメントは、貼らないでください。

{96B95CE4-9B93-4986-A972-60E6BB214CCE:01}

この映画を観終わった後、頭の中は…


{EDB782BE-B02B-4C47-97A2-91A180779CF3:01}


こんな感じ…。

劇場を出た後、30分は呆然としてた。どこを歩いたのか覚えてないが、隣の駅まで歩いてた。
頭の中で、ずーっとドラムが鳴り響いていた…。


『セッション』…そんな生温いタイトルではなかった。
まさに鞭!“Whiplash”だった。
なんとスリリングな「キャラバン」!心臓が64ビート鼓動する、号泣した。このサウンドは、劇場で体験するべき鼓動だ!
今年見た映画の中では、ぶっちぎりでNo.1だ!


この映画で描かれる音楽は、いわゆる我々の知る演奏ではない。
音楽コンクールの演奏である。名門音楽大学の名門クラブは、コンクールに優勝する事のみが存在意義となっている。難易度の高い曲が課題曲として選ばれ、合奏の中でのミスを審査員によって減点式で採点される。観客は、審査員とスカウトマン以外は、ほぼ出演者の親族のみ。音楽を楽しく聴くような環境ではない。オイラも小学生時代、器楽部に入部してトランペットを吹いていた。超おっかない先生にシゴかれ、夏休みは冷房のない体育館で、汗だくになって毎日練習に明け暮れた。変な音を出そうものなら、容赦なく指揮棒が飛んで来たものだ。上達しない者が脚を引っ張ると、仲間から嫌われ者になってしまうような、重たい空気もあった。間違いなく、運動部よりも厳しい文化部だった。
{13D73BF2-C8D3-4844-8E3C-3D66270C36F6:01}

また、社会に出て、舞台音響の仕事を始めた時の師匠もスパルタだった。文字通り殴る蹴るで育てられた。仕事中に発言する言葉も「はい」と「すみませんでした」以外の言葉は必要ないと言われた。「アレやれ」「コレやれ」と言われれば出来なくても「はい」やってみてできなければ叱られて「すみませんでした」となる。そうやって精神力を鍛えられた。
そんな訳でこの映画は、オイラにとっては、ツライ思い出を呼び覚ます強烈な映画だった。

「教鞭」という言葉の本当の意味を再確認させる一本だった。
フレッチャー先生は、まさに「教鞭」を振るう教師だ。
{B27A13C6-4D6E-47A3-A2F4-85016645719E:01}
スパルタ教育は今でこそ批判されるが、この映画はスパルタの大切な部分をしっかりと見せていた。スパルタ教育でなければ生まれない精神がある。怒るのではなく叱るのである。スパルタの大切な所は、悔しがらせる事だ。人は挫折して這い上がる事で成長する。這い上がるには、落とさないと上がれない。頂点を超えるには、尊敬だけではダメなのだ。泣いて、悔しがる事。そして、それを克服するには練習あるのみだ。
「褒めて延びる」と言うが、マニュアル通りの事を教えるのならそれでいい。誰でも出来ることを教えるやり方だ。だが、それでは頂点を超える事はできない。
エゴで怒るのではない。叱る方も、相当なエネルギーを使う。だから、誰彼構わず叱ったりしない。見込みのある奴ほど叱るものだ。

「怒られてる内が華だ」と、よく先輩に言われた。細かい事で理不尽に殴られた。何度、師匠を殺してやろうと思ったかは、数知れず。だが、それでも叱られなくなるよりマシだった。叱られなくなった時は、認められてイッパシになったか、見捨てられたかのどちらかだ。何度も殺意を抱いた師匠だが、今ではとても感謝している。仕事のテクニックを教わったと言うより、生き方を教わった。
{456990F9-A54C-4B1C-9865-35BA15F37CDF:01}
この映画では、生徒の目線で描かれているが、オイラはアンドリューの気持ちもよくわかるが、それよりもフレッチャー先生の方に感情移入してしまった。よく見ると、教鞭を振っている時の彼は、エゴで怒っているのではない。成長を促す叱り方をしている。全くブレない彼の教育信念は、一流のアーティストを生み出すという強い意志に裏付けられていた。

耐える事が出来ない若者が増えた世の中で、今、再びこういう教育が必要なのではないか?と考えずにはいられない。「ゆとり」が悪いとは言わないが、全てが画一的な「褒める教育」でいいのかと、疑問を持ってしまう。現代の教師は、もっと信念を持って教鞭を振って欲しいし、モンスター・ペアレンツは、黙って教師を信頼して欲しいしものである。
{1009D2E8-CC13-4507-8F42-BF0EE6F4B8CF:01}

大好きな曲「キャラバン」で、あんなに泣けるとは思わなかった。
ラスト10分の素晴らしさは、震えた!
サノバビッチなモンスター・ペアレンツどもは、この太鼓の鼓動を聴きやがれ!!

あっ。また聴こえてキタ…

{807EEA83-2F1E-4894-91C7-9A5749D851B5:01}



{E820C0C3-5997-4C88-BEE5-AFC8D607A05B:01}

ウッディ・アレン作品に登場するマジッシャンで思い出すのは『タロットカード殺人事件』だ。探偵の亡霊から「捜査していた事件を解決して欲しい」と依頼される事から始まる、奇想天外なラブストーリーだ。その中で、ウッディ・アレン自身が冴えないマジシャンに扮し、狂言回しとして登場する。
{4E0A6170-4622-4618-80F4-0914C2667CC1:01}
『タロットカード殺人事件』のウッディ・アレン

ウッディは「オカルト」と「マジック」という、相容れない存在を同居させている。
「オカルト」は、トリックを使っている「マジック」をインチキと言い、「マジック」は「オカルト」こそがトリックを使ったインチキだと言う。どう考えても共存不可能である。だが、どう考えても共存不可能な存在を同居させるのが、ウッディ・アレンの魔法なのである。

さて、今回の『マジック・イン・ムーンライト』は、20世紀初頭を舞台にし、まさに「マジック」と「オカルト」の対決を描きつつ、ウッディ・アレンが魔法をかけて、素敵なラブストーリーに昇華させている。

マジック愛好家のオイラにとっては、極めて「俺得」な作品だった。


あらすじ
舞台は20世紀初頭。マジックが、エンターテイメントの頂点に君臨したボードビル時代。ウェイ・リン・スーという芸名で、中国人に扮装し大魔術を行う英国出身の人気マジシャンがいた。ある日、彼の元に、友人のマジシャンが訪ねて来て「自分が見破れなかった霊媒師のトリックを暴いて欲しい」と依頼され、霊媒師と対決にする事になる…。

{F1576F37-F2E0-4710-94FA-49D183C932A0:01}

一見、荒唐無稽にも思えるようなストーリーだが、この話にはモデルとなった実話が存在する。

19世紀末から20世紀初頭にかけて、マジックはエンターテイメントの頂点だった。その時代には、多くの偉大なマジシャンがいた。その中でも、最も有名だったのが、ハリー・フーディーニである。
{9755FC8F-0BE1-434B-8205-0BBBA811CB29:01}
[ハリー・フーディーニ 1874-1926]

コリン・ファース演じるスタンリーは、明らかにフーディーニをモデルとしている。脱出マジックを得意としたフーディーニだが、多くの霊媒師たちに恐れられたサイキック・ハンターとしての顔を持つ。

19世紀末、多くの死者が出た第一次世界大戦後、家族の死を受け入れられず霊媒師にすがる者たちが殺到し、降霊会が大ブームとなっていた。フーディーニは、彼の妻が引くほどのマザコンだったので、母親の死は彼を苦しめた。なかなか受け入れられず、人の勧めもあって、降霊会に通った。しかし、一流のマジシャンであるフーディーニには、霊媒師が行うトリックが見えてしまう。霊媒師もマジックを見せる同業者だった事が、彼にはわかってしまったのだ。人に楽しんでもらう為のトリックを、人の弱みに付け込む為に使う「同業者」を、彼は許せなかったのだ。こうして彼は、霊媒師たちのトリックを暴いて回るようになった。

ある時、科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」が、本物の超常現象に懸賞金をかけた。フーディーニは「科学者ばかりでは騙されやすい」と、自ら審査員に参加した。勿論、彼が審査員となった期間に、懸賞金が支払われる事はなかった。ただ、一度だけ支払いを宣言して、後に取り消された例がある。

それが、フーディーニが最も苦戦したと言われる、霊媒師マージェリー・クランドンだ。
{CA9319F8-4E99-411A-A309-F09D695F90FA:01}
[フーディーニ(右)とマージェリー(左)]

フーディーニですら、そのトリックを見破るまでに、何度も降霊会に赴いたという。彼女は、特別なトリックを使っていた訳ではないが、誰一人として客観的な視点で見る事を許さず、降霊術の輪に参加させ、完全な暗闇の中で不思議な現象を見せた。一時、サイエンティフィック・アメリカンは、彼女が本物であると発表するが、すぐに取り消しの会見が開かれ、彼女の行ったトリックが、そこでフーディーニによって暴かれた。
フーディーニが見破った後も、彼女を本物だとの主張する声もあった。「フーディーニが証拠を捏造した」とか「調子が悪い時に、たまたまトリックを使ったのがバレただけで、彼女の能力は本物である事は間違いない」などの、苦しい弁護論が記録に残っている。まぁ、真偽はさて置き、ここから彼女も相当な人気者だった事がわかる。

さて、この歴史に残るマジシャンvs霊媒師の対決を、ウッディ・アレンはなんと、素敵なロマンティック・コメディに仕立て上げてしまった!

コリン・ファースが演じる主人公のスタンリーは、いかにも英国人らしいカタブツのマジシャンだ。
{72856A62-2A44-404E-AABA-7709FB2C940C:01}
論理的で目に見えないものを信じない。口を開けば、呆れるほど流暢な皮肉が次から次へと出てくる。実在のフーディーニはドイツ系ハンガリー人だったのだが、皮肉屋であった点は共通している。
また、ウェイ・リン・スーという名の中国人に扮装しているのは、フーディーニのスタイルではないが、これは、同時代に活躍した別のマジシャン、チャン・リン・スーの名前に由来する。だが、ステージで彼が演じた「象を消す」マジックと「人体切断」は、紛れもなくフーディーニが考案し、演じていたネタである。
{FEF4799A-7D61-4C75-AA37-383B6EA06495:01}
現代風なアレンジを加えず、当時のトリックを再現していた所にも、ウッディ・アレンのこだわりがわかる。
(実在したチャン・リン・スーについては『プレステージ』の感想で詳しく触れているので参考にして欲しい。この映画がいかに当時のマジックを研究しているかがわかる筈だ)
ショーのラストで演じた「瞬間移動」は、映画オリジナルのネタだが、コレが見事な伏線となっている。

このように、フーディーニを崇拝するオイラにとって、霊媒師マージェリーは、憎っくき悪役なのだが、それをエマ・ストーンで演られたら…
{721ABB3B-1821-4048-989B-8E656A490088:01}
もう、憎めないじゃないですかぁ~♡
ずるいよウッディ~!

彼女の吸い込まれるような大きな眼は、何でも見透かす霊媒師の様にも見えるが、純真な少女の輝く瞳にも見えてくるから不思議だ。あんな瞳に一瞬でも見つめられたら、誰だってウクレレ弾いて歌とか捧げちゃうって!
{F55C4E47-8134-4417-95D7-A4584A1A3EAA:01}

カタブツのマジシャンと、純真無垢な霊媒少女という、可笑しなアレンジは、ラブコメの天才ウッディ・アレン
独特の世界を見せてくれる。
{AFFB48AF-9FDE-4159-9D51-7D7AECF9139A:01}
そんな二人が対決の中で、お互いの影響を受けていくうちに、価値観が逆転してしまうのが面白い。恋とは、理論もトリックもない不思議な現象である事を描いている。

当て馬のウクレレ御曹子くんも、とてもコミカルで憐れだ。こういう三枚目って、なぜか憎めないんだよね。金持ちのボンボン以外に何の取り柄もないんだけど、一途な思いだけは本物だ。
{142982EE-7B3C-494B-94A1-199DA021B605:01}
馬鹿だけど、悪人じゃない。一瞬でも、ソフィーの心を動かしただけ、立派だと褒めてあげたい。この俳優さんは知らない人だけど、ジェフ・ゴールドブラムの演技にそっくりだ。彼の生徒だったのかな?

{1A4C2FAB-227C-403E-9252-D27188901258:01}
何にせよ、南仏のロケーションは素晴らしく、衣装もゴージャス。素敵なクラシック・カーも出てきて、さすがオシャレ映画のトップ・デザイナー!ウッディも、もうすぐ80歳だけどが、まだまだ元気に映画を撮ってくれている。
いつまでも、愛のマジックを語って下さい!
{99108E6D-F128-4AAB-8E21-B5D0C437223A:01}
2004年に公開され話題になった、ロシアのヴァンパイア映画『ナイト・ウォッチ』を観たかったので有料動画サイトにて初鑑賞。

ロシア映画は数本しか見ていなかったが、娯楽作が少ない印象だ。だが、そんな中でも、この作品はロシアの興行記録を塗り替えるヒットとなった。

驚いたのは、ロシア映画なのに、英語吹替でなく、流暢な英語を喋るロシア人俳優を揃えていて、最近のロシア映画もインターナショナルなんだなと関心し、それで世界でヒットしたのかと納得した。

ニック・ノルティそっくりな警部が出て来て、猟奇殺人事件を追う。
{5B0D33AF-23C9-457E-9170-683F1A712799:01}
ロシアでもこの手の顔は警部とか似合うキャスティングなんだなと思った。

現代の吸血鬼映画にしては、やけに設定が現実的で、連続猟奇殺人事件から始まり、死体安置所夜警のバイトを始めるユアン・マクレガー似の主人公が、前任者から説明を受けているシーンからなかなか意味深だ。
{2FF2033E-A6CB-49B5-A5E6-54FD06ADAE71:01}
詰め所では、常にラジオを聴いていろとか、バットを持ってりゃ安心とか言い出す。解剖された遺体標本室や、のようなモノが安置された、入っては行けない部屋がある。
{C47F2FEE-4F7C-4D5A-AA95-766A6F84AB1E:01}

死体置き場
には、がぶら下がっており、生き返った奴が引っ張ると非常ベルが鳴るシステムとか、ここら辺りからホラーテイストがジワジワ入って来て、ワクワクしまくりだ!新しいラジオを買って、じぃさんに貰ったバットで武器も揃った。
{5A4ECB8C-7AB3-4B97-B9FC-2936DE9BC690:01}
きっと、この死体置き場は、ヴァンパイヤの餌場なのだ!さぁ、殺人犯は誰なのか?死体安置所に隠された秘密とは?いったいどこからヴァンパイヤが現れるのか?推理ドラマ形式なのも、ヴァンプ映画には新しい!!猟奇殺人事件から、闇の世界の扉が開く斬新なヴァンプ映画とは、凄げぇアイデアだ!ロシア映画恐るべし!!

そして遂に非常ベルが鳴り、主人公は、死体が蘇って歩いた証拠を目撃!
{5F15A175-E8FF-411E-9C68-50D14ED91BAD:01}
だが、警察を呼ぶと、その証拠は消えて、誰も相手にしてくれないとかいう、いつものホラーの王道展開が来てテンションが高まるぅ!!

{32974AC0-10DB-4633-9CD8-9D7F20D7B580:01}
ジョシュ・ブローリンに似たヤバイそうな友人も、血の気が多いがどこか無気力で、何か常人とは違う感性を持っているようだ。
事件の鍵を握る謎の娼婦も、虚ろな受け応えしかせず、吸血鬼の使い魔のように顔が青白い
{EBF0EAEB-C2AB-43A6-A35B-76859E0DA732:01}

さぁ、
闇の世界の扉はいつ開くんだ?焦らされながら期待に胸高鳴る中、『ダレン・シャン』を吸血鬼にした、ヴァンパイヤ師匠ジョン・C・ライリーにそっくりな警部補も登場し、いよいよヴァンプ映画らしくなって来たと高まった!
{D1C30B6E-6C89-4B5C-BCAA-AAA14A0F8FF7:01}
クライマックスが訪れ、主人公が追い詰められる!遂に棺が開かれた!いよいよ闇の世界の扉が開き、犯人がヴァンパイヤとしての正体を現すぞ!
{1B2F7701-C2BD-4CEC-8539-234F198E19E2:01}
…と思いきや、最後まで闇の世界の扉は開かれず、事件は解決して終わった…。




あれ?闇の世界どこ…?


…そうか。シリーズものって言ってたもんな!きっと一作目は序章で、続編の『デイ・ウォッチ』で、この事件は実はヴァンパイヤに纏わる闇の世界の、ほんの一部でしかなかった!的な斬新なリアル→ファンタジーな構造なのか!
さすが、インターナショナル・ロシアン・ムービー!凄いじゃないか!!ロシア映画のネクスト・レベルを観たぜ!!

と、ロックが流れるエンドロールを、余韻に浸りながら眺めていると、

キャスト

ユアン・マクレガー
ニック・ノルティ
ジョシュ・ブローリン
パトリシア・アークエット
ジョン・C・ライリー
etc……

の名前を確認…。

え?全部、ご本人様なの?

えーっと、ロシア映画にハリウッドの俳優が総出演……???


いや、それはない…。


あっ


ここで賢明なオイラは気が付いたのである!

コレは、ひょっとすると、ハリウッドのよくあるサスペンス映画なのではないのかな?


サスペンス映画だった…。


そう、コレは、ロシアのヴァンプ映画『ナイト・ウォッチ』よりも以前の1997年に作られた、ハリウッドのサスペンス映画『ナイトウォッチ』という作品だったのだ。
{171141B6-08DF-4F17-BEAB-34A390E415B6:01}

死体安置所の夜警のバイトを始めた学生が、娼婦を狙った変質的な連続殺人事件に巻き込まれてゆく、ごく普通のサスペンス映画だったのだ。つまり、ハナからヴァンパイヤは出てこない。前半のホラー映画的演出に、オイラはまんまと騙されてしまったのだ…。

だが、ヴァンパイヤの登場にワクワク期待しながら観る、評価の低いサスペンス映画は、新感覚でとても楽しめた!

また新しい映画の見方をひとつ発見したと、今日も喜ぶ、まじさんなのであった。


それにしても…
『ナイトウォッチ』『ナイト・ウォッチ』が違うとは…。

紛らわしいんだよ!