まじさんの映画自由研究帳 -2ページ目

まじさんの映画自由研究帳

映画とお酒と手品が好きです。
このブログは、主観100%の映画レビューです。
時々、ネタバレあります。
Twitterやってます。☞@mazy_3
※コメント歓迎ですが、内容に一切触れないコピペコメントは、貼らないでください。

紀里谷和明監督最高傑作
{404DD543-B002-4F86-ACED-43D13137E30A:01}
紀里谷監督は、意外にも真摯「忠臣蔵」を映画化していた!過去を反省し、見事な作品を作り上げていた!
断言しよう。
これは紀里谷和明監督最高傑作である!



・紀里谷和明という男
{3F83B79E-142C-4A55-A730-CD4C1575EAB0:01}
米国でアートを学び、数多くのCM,音楽PVなどを手掛けた映像作家、紀里谷和明監督は、2002年に国民的人気を誇った宇多田ヒカルと結婚し、調子こいていた。公然と日本映画界のシステムを批判「俺は俺のやり方がある」と豪語していた。こうした俺流での『CHASSHERN』(2004)は、多くの実験的手法を取り入れたスタイリッシュなアート作品に仕上がったものの、原作とかけ離れた内容に、原作ファンから大ブーイングを受ける事となった。だが、一部の映画ファンからは、彼のオリジナリティが支持された。この事が、彼を増長させる要因となったかも知れない。その後も増長し続け、日本映画界の批判を繰り返し、自らのスタイリッシュなビジュアルセンスに磨きをかけ「キリキリのキラキラCG」を昇華させて行った。
しかし2007年、宇多田ヒカルと離婚してからは空回りし始める。『GOEMON』(2009)では衣装美術は評価されたものの、奇を衒い過ぎた映像が物語とかけ離れており、軽薄な作品となり、評価を下げた。

その後、自分の学んだアートを伝える専門学校の立ち上げに尽力するが、日本映画界を批判していた事で、日本映画界から総スカンを食らっていた為に、専門学校で大切な業界への就職斡旋力がなく、生徒を集める事すら出来ずあえなく失敗に終わる。
気が付けばもう、誰からも相手をされなくなり、日本で映画を作れない状況に陥ってしまった。

だが、それでも彼の映画作りへの情熱は、まだ消えてはいなかった。今までの行いを猛省した紀里谷氏は、初心に立ち返って自分が学んだ米国へ飛び、自ら資金集めに奔走し、ハリウッドで日本のサムライ魂をぶつけた。この『ラスト・ナイツ』は、紀里谷和明監督が再起をかけて挑む入魂の一本となっている。




この『ラスト・ナイツ』「忠臣蔵」を描いている事はご承知の通りなので、今更ネタバレも何もないと思っているが『ラスト・ナイツ』での「忠臣蔵」の見所を、レビューしてみたいと思う。



・異国情緒の「忠臣蔵」
{8ECDD0F1-D730-4219-8E1E-D95DB29CF0BA:01}
この作品は、西洋の国王を中心とした架空の王国を舞台に、騎士道を通して「忠臣蔵」忠義を説いている。中世ヨーロッパ風の世界観を作り、異国情緒たっぷりに描いているのが面白い。

今回、その世界観の構築に大きく貢献しているのが、衣装である。キモノを意識した見事な衣装には目を見張る。衣装を手がけたのは『GOEMON』から引き続き、オーストラリアのファッション・デザイナー、ティナ・カリバスである。クリムトを彷彿とさせるような、ゴージャスなデザインで人気を集めている。国王や、ギザ・モットの衣装は、ティナ・カリバスらしさと、和のテイストか融合したデザインとなっていた。中でも討入りの時にライデンたちが着るコートは、赤穂浪士の陣羽織をそのまま洋風化したようなデザインとなっており、和洋折衷のゴージャスな仕上がりを見せている。
{6B2276FF-369C-4957-9108-41932E78ED42:01}

今回は紀里谷監督の作風も見直され、安っぽいキラキラCGを自ら封印し、ロケとセット撮影を中心にリアルで重厚感のある映像美で見せている。アクションでも無駄なスローを排し、リアルな映像を作り込み、テンポで魅せる映画らしい映像になっている。その中にもカット割りで見せる紀里谷スタイルは健在しており「一皮むけた紀里谷」を観る事ができる。



・キャストについて
この映画では、実に17ヶ国もの多国籍な俳優を散りばめており、架空の王国の異国情緒を醸し出している。

配役には名優モーガン・フリーマンが、浅野内匠頭に当たる領主バルトーク卿演じている。短い出演ながら、威厳あるオーラを放つ芯の通った演技を披露し、さながら年老いたオセローを彷彿とさせる貫禄を見せている。最近、チョイ役だと、露骨にやっつけ感のある演技を見せる彼だが、ここでは手を抜かない演技を見せているのが素晴らしい。紀里谷監督の熱意に答えた証拠だろう。
{A2DA9C9D-298F-490B-98BF-0C86DEE725EE:01}
吉良上野介に当たる悪徳大臣ギザ・モット卿を演じるのは、ノルウェーの実力派俳優アクセル・ヘニーだ。舞台出身らしく、様式的な演技で、悪徳大臣の嫌味なキャラクターを怪演している。特に悪徳であるがゆえの恐れの演技は注目である。

そして、本作の主人公、バルトークの家臣ライデン隊長を演じるクライヴ・オーウェンは、大石内蔵助の二面性を演じ分けており、正にハマり役だった。渋味のある彼の演技は、我々がよく知る大石内蔵助像のそれであった。まさか日本人俳優意外にもこの役ができるとは思いもよらなかった。
{BC1E04CE-29DF-456E-A173-9392DEC1AEB6:01}
また、映画オリジナルのキャラクターで、ギザ・モットの警護官を勤めるイトーに、伊原剛志が当たっている。執拗にライデンを監視し、追い詰めていく彼の演技は神がかっており、傭兵というよりは「先生」と呼ばれる用心棒の貫禄で、見事な太刀筋を披露していた。


・インターナショナルな「忠臣蔵」
この作品は、西洋の騎士道で「忠臣蔵」をスタイリッシュに描くという紀里谷監督の美学を貫いているだけでなく、ストーリーの構築にも成功している。マイケル・コニーベスドブ・サスマン脚本「忠臣蔵」の魅力をよく研究しており「忠義」をテーマに、大石の世を欺く姿を中心に据え吉良の恐れや討入りのアクションなどを取り入れ、エンターテイメント性の高い脚本に仕上げている。

基本的に「忠臣蔵」を基本とした展開になってはいるものの、インターナショナル向けの改変を行っていた。



※ココからちょっとネタバレして、西洋文化に合わせた改変部分について触れます。







・「忠臣蔵」の解釈
大きな改変が2つあった。
発端となる浅野内匠頭の刃傷に及ぶ動機も改変されており「バカにされてキレた」のを、吉良上野介側にする事で、義の所在が明確になっている。
恥をかかされる事が死よりも辛いという武士の価値観は持ち込まず、ここでは現代的な価値観に即した正義を見せている。

特に切腹をなくした事は、高く評価したい。日本では名誉の切腹であったが、西洋において切腹は「自殺を強要するクレイジーな死刑」であり、自殺を禁ずるキリスト教において自殺者は、死後も永遠に地獄で苦しみを受けると信じられている。よって切腹死後も許されぬ恐ろしい厳罰と捉えられ兼ねない。また、それは神の裁量をも越える刑罰となり、キリスト教文化圏内では、全く意味の違ったものと捉えられてしまう。切腹を表現しなかったのは正解である。単に「覚悟の上の死刑」としたのは「忠臣蔵」本質を捉えた良い脚本と言える。

ライデンに主君のバルトーク卿国王の御前で斬首させるのは、西洋の文化ではありえない事だが、あえてそれをしたのは「忠臣蔵」に於いて浅野内匠頭介錯人を頼みたかったが、それが叶わず大石内蔵助が間に合わなかった事へのオマージュであろう。

切腹の意味するところは「覚悟の死」である。その真意が伝わるのであれば、西洋の文化で切腹を表現すべきではない。この映画では、その当たりをしっかりと描いていたのが良かったと思う。

また、ライデンが娼館で酒に溺れた生活を送るのは、歌舞伎『仮名手本忠臣蔵 七段目 祇園一力茶屋の場』へのオマージュであり、多くの「忠臣蔵」でも描かれる見せ場だ。この場で、兄妹が再開を果たしたり、顔世御前からの密書を受け取るのは、歌舞伎でも有名なシーンである。今作でも、再開の場面を見せたり、重要な情報を受け取る設定を入れたのは、うまいと思った。


・「忠臣蔵」の課題
これだけでも「忠臣蔵」を知る我々日本人には、十分な作品に仕上がっていると言えるが、欧米での評価がイマイチ良くない。これにはいくつかの理由があるに違いない。ここでちょっと推察してみよう。

一つは、浪士たちを英雄視する意義が希薄だったように思われる。この映画には大衆が、悪代官の成敗を待ち望んでいるような表現がなかった。ギザ・モットが大衆に嫌われる直接的な表現を入れる必要があったのかも知れない。馬車の前を横切った子供を打ち首にしようとするのを、赤穂浪士が目撃するなど、ベタなシチュエーションが欲しかった。

西洋文化において、主君の仇を討つなら、それなりの正義と理由が求められる。原作である「忠臣蔵」には、実はなぜ仇討ちをするのかの理由が、明確に描かれていない。なぜなら、父親や主君の仇を取るのは、武士たる者の当然の勤めだったからだ。

では、赤穂浪士はなぜ英雄となったのか?
それは、世間の期待に応えたからである。松の廊下刃傷事件に端を発した、赤穂藩への一連の処遇は、江戸の町に瞬く間に広まった。主君は切腹、お家断絶という厳しい処罰に、町人たちの同情が赤穂藩に集まり、吉良への不満が一気に高まったのである。江戸の町人たちは、浅野の切腹からすぐに、彼らが仇を討ちに来ると確信し、勝手な期待から噂が広まっていた。赤穂浪士が吉良邸に討ち入った事で、大衆の期待通りの展開になり、忠義の義士として英雄視されたのだ。当然の事ながら原作の「忠臣蔵」にはそれが描かれていない。「忠臣蔵」は、既に英雄と知られた者たちの伝説を描いた英雄譚だからである。当時は、なぜ英雄となったかのかを描く必要はなかったのだ。だが、現代的な解釈で、海外に発信するならば、彼らを英雄とする、大衆目線の要因を見せる必要があったかも知れない。

そして、もう一つはライデンが酒に溺れ遊行三昧しているのを、世を欺く仮の姿だったと明かすタイミングである。実はもっと早くにバラして、ギザ・モットを欺く駆け引きを見せる方が良かったのではないだろうか?確かに、ネタバラシは、後ろに持って行った方が現代的だし「あの時は実はこうだった」とやる方がスマートだ。だが、バレそうでバレない緊張感も「忠臣蔵」には重要な要素だったと思う。そこは観客まで欺く必要はなかったのではないだろうか。「忠臣蔵」をわかりやすく砕いてはいるものの、海外に配信するには、まだ嚙み砕きが足りなかったのかも知れない。



※ネタバレはここまで




・21世紀の「忠臣蔵」
『ラスト・ナイツ』は、日本人監督による21世紀初「忠臣蔵」映画である。1994年の『四十七人の刺客』(市川崑)と『忠臣蔵外伝四谷怪談』(深作欣二)の競作以来となる。外伝としては2010年に、杉田成道監督の『最後の忠臣蔵』が製作されており、切腹しなかった2人の赤穂浪士のその使命を描いている。また、日本向けではない「忠臣蔵」としては2013年にカール・リンシュ監督による『47RONIN』があったが、起結だけ合わせた魔改造で、大切なテーマを見失い、日本以外の誰に向けたものなのか、定かでない仕上がりとなっていた。だが、今回の『ラスト・ナイツ』は、ホンモノである。難攻不落の城に、綿密な計画を立てて、音もなく討ち入る浪士たちの姿は、さながら忍者のようであり、正に「忠臣蔵」の醍醐味を見せている。本物の「忠臣蔵」を、劇場で見られるだけで、オイラは大満足である。
{408135DC-B29D-4E90-92ED-A4F59E704143:01}




・映画に込められた思い
映画公開に先立ち、紀里谷監督はTV出演を通し、過去日本映画界批判反省し、謝罪の気持ちを伝えていた。この映画のプロモーションでも、とても謙虚に活動していて、マスコミのいない一般試写会へも駆けつけ、作品へ込めた思いを熱く語っていた。
{3BB6EE54-1490-4E9C-9E7F-7F74D4133C8E:01}

謙虚に過去を反省した男は強い。人柄の良さが滲み出ており、高感度も高い。
だが、この『ラスト・ナイツ』は、過去に批判した日本映画界のやり方ではなく、ハリウッドのやり方で作られている。実は『ラスト・ナイツ』は、彼の日本映画界に対する挑戦状なのではないだろうか?彼の本音のところはわからない。だが、謙虚に名刺を配りまくる紀里谷監督の姿を見ると、世を欺きながら復讐の機会を狙う大石内蔵助心境を重ねて見てしまい、何か熱いものがこみ上げてしまうのである。
{CBE31F2B-62EB-42A3-B4A8-DD4A72ECFBC1:01}

{1E14E0DE-4B8C-4E30-9C9A-E3C985ECA5A0:01}

「キアヌ・リーヴス完全復活」の看板に偽りなし!
ここんところ(Link☞)『47RONIN』など、めっきりヒット作がなく、鳩に餌撒いてるキアヌのダメ男姿が有名になりすぎて、その姿がフィギュア化されたりと、イイトコなしのアニキだった。
{198C7A85-E1D9-4376-894C-F15038D5EE4B:01}
しかし、この『ジョン・ウィック』で完全復活!僕らのキアヌが帰ってきた!!
『マトリックス』(Link☞)コンスタンティン』などで見せた、男のコが惚れるあんときのキアヌが復活した。全身真っ黒なスーツ姿で殺りまくる、そんなキアヌの殺人マシーン姿が拝める最高のアクション映画に仕上がっている。

引退した殺し屋が、飼い犬を殺された怒りから、封印していたチカラを解き放ち復讐のモンスターとなる王道の復讐劇である。「どうやらお前は、とんでもない奴を怒らせてしまったようだ」という、お決まりのシチュエーションを孕んだ、至ってシンプルなストーリーながら(でも、男のコはみんな大好きなヤツだ!)細かな描写に魅力を秘めた作品に仕上がっている。

キアヌが演じるジョン・ウィックは、ガンアクションとカンフーを合わせた「ガン・フー」という新たな格闘技を生み出し、流れるようなアクションで敵を始末して行く。
{BF3C55CE-9BC2-42BC-97F6-F962BA33377A:01}
ガンファイトをカンフーの様式で最初に見せたのはジョン・ウー監督『男たちの挽歌』であろう。現実的な銃撃戦ではなく、徹底的にカッコイイ銃撃戦を見せた。香港映画の様式を用いて、剣劇のようなガンファイトは、リアルではないが、映画として完成されたスタイルとなり、以降の映画にも大きな影響を与えて来た。バズ・ラーマン監督『ロミオ+ジュリエット』では、フェンシングの様な華麗なガンファイトに、ジョン・ウーの影響を見る事ができる。また『リベリオン/反逆者』では「ガン・カタ」が、ディストピア世界を統治する組織の、洗練された技として登場する。専用銃であるフル・オートのクラリックガンを使い、命中精度の低い筈の2丁拳銃に、正確無比の攻撃を可能にする説得力をカンフーの動きで見事に見せ付けた。「ガン・カタ」が歌舞伎の見栄を取り入れた、外連味を重視した演武であるのに対し「ガン・フー」はより実戦的な戦闘格闘技としてリアルなガン・アクションを作っている。戦闘の中で捉えた相手の動きを封じ、遠くの敵を仕留めてから最後に拘束した敵のトドメを刺す洗練された流れを、条件反射のようにこなしていく様は、実戦を戦って来た男の背負った十字架を表現しており、この作品の最大の見所となっている。しかも復帰戦らしく、狙いを外して撃ち直ししたり、残弾を数えず弾切れし、敵の目の前でリロードするなど、5年のブランクを表現したアクションも取り入れており、怒りイライラを抱えたフラストレーションMAX激情のガンファイトとなっている。

{1701C6D7-B519-4B62-97BA-D6BA2AFC7000:01}
かつて暗黒街で名を馳せた一流の殺し屋ジョン・ウィックは、不可能な殺しを成し遂げ足を洗った。えんぴつで3人の男を殺したと言うのが、裏社会での語り草となっている。彼が裏社会に顔を出せば、多くの人から声をかけられる。「久しぶりだな」「復帰したのか?」「また会えて嬉しい」など、裏の世界に彼を知らぬ者はいない。さながらハリー・ポッターがホグワーツに入学した時のような歓迎っぷりである。実際のキアヌも、スクリーンでメインを張るのも久しい訳で、彼の復帰を我々も喜ばずにはいられない。

脇を固めるウィレム・デフォーもいい味を出している。かつて裏社会をジョンと共に生きた顔なじみとして登場。プロフェッショナルな男の鋭い眼光は60歳になるとは思えぬ輝を放っていた。
{FD9C5F4B-338A-4236-99B8-B67D9E1EB48B:01}

ロシアン・マフィアのボスを演じるのは、元祖『ミレニアム』三部作で主演した、スウェーデンの俳優ミカエル・ニクヴィスト。バカ息子を持った父親の苦悩と、ジョンの抹殺に尽力する組織のリーダーをデ・ニーロ級の貫禄で怪演していた。


ジョン・レグイザモも僅かな登場ながら、組織の一員で、ジョンと交流のあるジャンク屋を演じ、序盤のシーンを引き締める、味わい深い役を好演していた。今回も、裏社会の良心としての繊細な役を演じている。

この映画がキアヌ・リーヴスの復活作品として見事なのは、小道具や演出にもこだわりが見える。キアヌが使う銃も、そのほとんどに実戦的なカスタムが施され、闘い方に合った仕様になっている。銃身の先端に、ギザギザしたストライクプレートが付いたコンペンセイターが装着されているのは、近接戦に於いて打撃による攻撃力を高める為である。つまり、弾切れした銃は、無用の長物ではなく、殴る武器として使用する訳で、この映画にもそれを活用するシーンがちゃんと用意されていた。
{582419E7-23F0-402C-8C9A-9F8C6CA5111E:01}
他にも取り回しなどを考えた銃の選択やカスタムパーツなど、ガンマニア垂涎のこだわりを見せてくれる。

また、キアヌが颯爽と操る車も素晴らしい。69年型フォード・マスタングBOSS429を始めとした、アメリカを代表する名車がピカピカに磨き上げられて登場する。
{00779F37-F130-456D-A626-12E5E3874E64:01}
70年型シボレー・シェベル、2011年型ダッチ・チャージなど、アメリカン・マッスルカーの唸りに、カーマニアも吠えまくる事請け合いだ。銃声だけでなくV8エンジンのサウンドにもこだわった音作りとなっている。

銃や車などには、もっと詳しいレビューが出ているようなので、これくらいにしておくが、別の小道具としては、オイラは金貨の使い方に注目したい。
{BF398D79-8D72-47D4-B2C2-22ED9568C8A2:01}
ジョンが銃と一緒に封印していた金貨は、裏社会で稼いだ報酬である事は一目瞭然だ。しかし、それを換金するのではなく、裏社会ではそのまま通貨のように使われている。金貨でコンチネンタル・ホテルに泊まり、地下にあるVIP専用のBarでは、入場料となっている。
その中には様々な裏稼業の者たちが飲んでおり、異言語で会話する者たちもいる。ここで登場するホテルの支配人ウィンストンは、ホテルのゲストをもてなすだけでなく、裏社会の「掟」を中立的に管理する番人としての役割を持っている。
{6BE9479B-4847-4375-9FF7-3349B672A413:01}
その彼を演じるのはファンタジー映画の常連と知られるイアン・マクシェーンである。まるでヴァンパイア種族を束ねる領主といった貫禄である。

また、裏社会の掃除屋もいい♡。呼べばどこでも現れ、金貨で死体を掃除してくれる。おそらく料金は1体につき金貨1枚数のようだ。

もうおわかりだろうが、この映画は現実世界の復讐を描いていながら、ファンタジーの構造を持っている。裏社会こそが異世界であり、金貨異世界への扉の鍵となり、奇妙な住人たちが、奇妙な仕事をして生きている。この世界では「殺しのスキル」こそが「魔法」であり、「ガン・フー」こそがフォースなのだ。実際、警察官死体が見えなくなる魔法をかけてたし。我々から見れば、裏社会は異世界であり、背中あわせの異世界を、表裏のある金貨にそれを暗示させているようにも見える。
{9BB779C4-1ECC-477B-B23D-C6BB04240643:01}
フィクションをリアルに魅せるのは、リアリズムではなくリアリティである。この作品では、ダーク・ファンタジーの要素を用いる事で「ガン・フー」をリアルな戦闘に見せる事に成功している。
現実世界のキアヌは、どことなく陰気だが、異世界ではそれがクールに見えるのが彼の魅力だ。

やはりキアヌには異世界がよく似合う。
{4C3D3259-7D96-454D-A300-3748397E893D:01}
想像以上に見事な映画だった。リアル路線ではなく、スパイは国紳士であるという原点に立ち返り、過去のスパイ映画にオマージュを捧げつつ、ワクワクするようなアクションが炸裂する。文字通り頭がブッ飛ぶような爽快感が得られる見事な作品であった。
『キック・アス』で実証済みの、いちいちカッコイイ音楽も抜群で、思わず熱くなる。英国の第二国歌と言われるエルガーの「威風堂々」は今後、耳にする度にこの映画を思い出してしまうだろう。
スパイグッズの活躍も見所だが、洗練されたデザインの英国ブランド品の数々も見逃せない。
そしてもう一つ、スパイ映画に欠かせないもの…それはである。


「スパイはマティーニか?」
「いやスコッチだ。12年物以上に限る」
と、彼は18年物のグレンリベットをグラスに注いだ。



これは、トニー・スコット監督のスパイの師弟関係を描いた『スパイ・ゲーム』の中に出てくる、ブラッド・ピットとロバート・レッドフォードの会話である。

スパイ映画には、マティーニがよく似合う。だが、マティーニだけではない。良い酒を知る事は、紳士の嗜みなのである。

映画007シリーズの中でジェームス・ボンドマティーニを好んで飲む事から、スパイ映画ではマティーニが出てくるようになった。だが、ボンドはマティーニだけではない。ボンドはスコッチの目利きもなかなかのものである。
彼は、差し出されたオリジナルのブレンドウィスキーをひと舐めして

ボウモアが多すぎる」

と一蹴した事がある。この短いセリフで、ブレンドウィスキーのキーモルトを見事に言い当てた上、その味わいを批評し、好みではないので、いらないと言っているのである。ボンドが、マスター・ブレンダー並みのである事がわかるシーンだ。
マティーニにもこだわりがある一流の男は、スコッチ・ウィスキーの好みにもうるさいのだ。

今回は、詳細なレビューは他の人に任せて、オイラは映画『キングスマン』の中で登場するを追ってみる事にしよう。


・スコッチ・ウィスキー
「ダルモア62」
{022EEC6C-8465-43BC-9D86-019A356FA7D2:01}

『キングスマン』は冒頭でスコッチ・ウィスキーが登場する。しかも、とんでもなく凄いヤツだ。62年物のダルモアである。ダルモアはスコットランドのハイランド地方の蒸留所で1839年に創業。良質な麦が穫れる産地で、鹿狩りの名所としても知られる北ハイランドの地にあり、特徴的な鹿の顔がデザインされた、ベル型のボトルが一般的である。バーボン樽とシェリー樽を主体に熟成した、独特のコクとバニラの様な甘味が特徴のウィスキーだ。少し加水すると、のような香りが立つと言われている。
映画に出てくる「ダルモア62」は、2006年にシンガポールのチャンギ空港で、12本のみが限定販売され、話題を呼んだ。正規販売品としては、世界最高額のスコッチ・ウィスキーである。
{4C485909-C2CD-4CF2-9F97-E5FEB0F34F7D:01}
最初の1本は、約650万円で販売され、その後、物価やレートの上昇とその希少性などから、2011年に最後の1本が売れた時には、なんと1500万円で売れたというとんでもない酒だ。ちなみにこの値段は免税店での販売価格なので、非課税であるというから恐ろしい。62という数字は、熟成年数で、1962年という意味ではない。(※追記参照)樽の中で62年間も眠っていたのだ。こぼしたら罪どころの話ではないシロモノだ。コレを飲ませて貰えると聞いたアーノルド博士が、一発で気が変わるのも頷ける話なのだ。

因みにハリーが愛飲していたウィスキーも、傍らにあったボトルの形から、ダルモアであると推察している。恐らくは18年物か21年物ではないだろうか?



・ワイン
「シャトー・ラフィット・ロートシルト 1945年」
{F030B09B-3524-4C5B-9604-75522B949857:01}

ハリーがヴァレンタインの私邸でワインを飲むシーンもあった。オイラはワインについては明るくないので、行きつけのBarのソムリエにご教示頂いた。

シャトー・ラフィット・ロートシルトは、ボルドーワインの最高級ブランドである。ロートシルトとは、かの大財閥ロスチャイルド家の事で、そこが所有するワイナリーである。
ボルドーはフランスのジロンドで作られたワインだけが名乗る事ができるブランドで、世界でも有数の産地として知られている。ラフィットは、その中でも取り分け品質の高いメドック地方にあり、葡萄の品種は、主にカベルネ・ソヴィニョンを中心に栽培している。ボルドーは12~15世紀まで英国領となった時期もあり、ボルドーワインは、古くから英国人に愛されてきた歴史がある。フランスの宮廷ではブルゴーニュワインが主流だったが、18世紀になって評価され、ヴェルサイユ宮殿でもボルドーが出されるようになりフランスでも脚光を浴びるようになった。中でもラフィットは「キングのワイン」と呼ばれた最高級ワインである。
{E877AB0D-028B-4EF4-B376-E84A3151968D:01}
ワインのラベル表記年数は葡萄を収穫した年で、この映画に出てくるボトルの1945年は終戦の年に当たる。ナチスドイツに占領されていたフランスが返還され、摂収されていたラフィットもロスチャイルド家に戻った年である。ナチスの占領下においてもラフィットは、ワインを作っていたのだそうだ。

そんなワインを劇中で、ビッ◯マックに合わせて飲んでいたと、そのソムリエに話してみたら「合うわけないだろ!ふざけんな!」と怒られた。ラフィット’45は、80~300万円くらいするらしい…。
ヴァレンタインハリーがデザートにいいと言った、甘口の白ワイン、シャトー・ディケム1937年トゥインキーの事を、ソムリエに聞くのは止めておいた…。

ちなみに劇中、このシーンの最後でハリーは、

Thank you for such a "Happy meal".
「“楽しい食事”をありがとう」

と、ジョークを交えた挨拶をする。
"Happy meal"とは、マクドナルド「ハッピー・セット」の事である。



・ブランデー
「ナポレオン 1815年」
{A1C31A24-FBD0-4461-99C9-ED66383EB5CB:01}

『キングスマン』ではメンバーに殉職者が出た時に、1815年のナポレオンで献杯する伝統がある。

ナポレオンとは銘柄ではなく、ブランデーの等級である。ウィスキーの原料が穀物であるのに対して、ブランデーは果実酒を蒸留して作られる。地域的なブランドとして、コニャックアルマニャックがあり、その他は、ただのブランデーである。
V.O.→V.S.O.P.→ナポレオン→X.O.の順で熟成度と品質が高くなる。コニャックの場合、V.S.O.P.は5~10年、ナポレオンは7~30年、X.O.は10~50年以上の最低熟成年数を経たものを使用してブレンドされる。残念ながらキングスマンのブランデーは、デキャンタに移し替えていたので、ブランデーの銘柄は特定はできなかったが、蒸留年が特定されているという事から、ブレンドしていない樽出しである事がわかる。

収穫した年によって葡萄の味が変わるように、樽にも個性があり、熟成の仕方に誤差が生じる。長期熟成となると更にその差は開く。そこで味の均一化を図る為、年数の違う複数の樽をブレンドするのが通常だ。熟成の年数も違い、樽の個性も違う酒を複数使って、毎年同じ味の酒を作るのは、マスター・ブレンダーの腕ならぬの見せ所である。
ウィスキーの場合、表記される熟成の年数は、ブレンドに使用したものの中で一番若い熟成年数となるが、ブランデーの場合は熟成の年数を表記せず、上記の等級で表す事になっている。しかし、中には奇跡的に素晴らしい味に仕上がった樽も出てくる訳で、そういう樽はブレンドせずにそのまま瓶詰めされる。その場合のみラベルに蒸留年が表記され、レアな限定ボトルとして出荷されるのである。
アーサーが、「1815年のナポレオン」と言ったのは、ヴィンテージと言うだけでなく、樽出しの貴重なブランデーだという意味だ。

1815年というのは、ワーテルローの戦いで、英国オランダ連合軍が、フランス皇帝ナポレオン1世の軍を打ち負かした年だ。確かに英霊を讃えるのに相応しい年号のブランデーである。

おそらく仕立て屋のキングスマンが創業した1849年に、開店記念で購入(多分ケース買い)したナポレオンで、スパイ稼業を始めた1914年以降に、最初の殉職者に捧げた事から、このブランデーで献杯する伝統が生まれたのであろう。ワーテルローから、30年前後の熟成を経たブランデーが、200年の時を経て、今なお伝統に従って飲まれている事は、実に感慨深い。


{2B60DF4C-231E-45CB-8638-0CAEF12532FF:01}
余談だが、仕立て屋の試着室が、スパイ組織に繋がる秘密の入り口になっているという設定は、1960年代に人気を博したアメリカのスパイ・ドラマ『ナポレオン・ソロ』へのオマージュである。また、飛出しナイフ付きの靴に「昔は電話も仕込まれていた」とのハリーのセリフは、やはり同年代のスパイ・コメディ『それゆけスマート』に登場する秘密道具を指している。

マシュー・ヴォーン監督のかつての親友、ガイ・リッチー『ナポレオン・ソロ』をリメイクした『コードネームU.N.C.L.E.』が、間もなく公開されるのも、非常に感慨深い




・カクテル
「マティーニ」
{C75FEC03-20E9-4F4D-B0E3-DA22A28A6097:01}

マティーニカクテルの王様と呼ばれており、その歴史は1910年、ニューヨークのニッカポッカー・ホテルのバーテンダー、マルティーニ氏が考案したとされている。ジンとベルモット4:1でステアし、オリーブを入れたグラスに注ぐ、シンプルなカクテルだ。しかし、シンプルなだけに奥が深く、ステアはただ混ぜている様に見えるが、氷が溶けすぎない様にコントロールする技術が求められる。また、ドライ・ジンをベースにベルモットを少なくしたドライ・マティーニというバリエーションなどもあり、ベースとなるジンの種類や副材によって、その味も大きく変わる。その為バーテンダーそれぞれに、こだわりのマティーニが存在する。バーテンダーの腕前が試されるカクテルと言われている。

マティーニ好きの客は、初めて入ったBarで、腕前を測りに来たと悟られぬよう、何杯目でマティーニをオーダーするかの駆け引きを楽しんだりするのである。

ジェームス・ボンドは、そのベースをジンではなくウォッカに変えたウォッカ・マティーニを注文する事で有名だ。

“Vodka Martini, Shaken, not stirred”
「ウォッカ・マティーニを。ステアではなくシェイクで」

有名なセリフである。
レシピを変えるだけでなく、作り方も変えた意表を突かれるマティーニに、誰もが驚き、瞬く間に映画の世界と酒呑みの間に広まった。
更にボンドは『カジノ・ロワイヤル』の中で、後にヴェスパー・マティーニと呼ばれるカクテルをオーダーする。

ジンウォッカを3:1、キナリレを1/2をよくシェイクして、シャンパングラスに注ぎ、レモンピールを入れてくれ」

と、細かな指定を入れている。
即興で思い付いたレシピを作らせ、味を確かめてから傍らの女性の名前をカクテルに付けるという、ボンド流口説きの高騰テクニックを披露する場面だ。

この時のバーテンダーの仕事に注目してみると、レモンの皮をただ入れるのではなく、綺麗なスクリューカットしたレモンの皮を、グラスに沈めて提供している。いい仕事だ。オーダーに応えつつ、空気を読んで客の期待のちょっと上行くデコレーションを施したのだ。
このように良いバーテンダーは、客の注文に応えながら、小さなサプライズを提供したりする。コレがBarの楽しみのひとつだったりする。

{C934A208-382B-4260-93AB-B81B07ED311B:01}
さて『キングスマン』では、敵のアジトに潜入したエグジーが、パーティ会場でマティーニを注文するのだが、このセリフは、ボンドの注文の仕方の韻を踏んでいるのが面白い。

“Martini, Gin, not Vodka,Obviously.”
「マティーニを。無論、ウォッカでなくジンで。」

と、言ってのけ、更に細かな好みを付け足す。

ベルモットは入れず、ボトルを10秒間、かすめ見ながらステアで」

と、さりげなくシェイクではないと念を押している。ボンドのウォッカ・マティーニを全否定し「マティーニはジンだろ!」と言うパフォーマンスを見せているのだ。
カッケー!

彼はその上で、かつての英国の首相チャーチルのマティーニにオマージュを捧げているのが面白い。チャーチルはドライなマティーニを好み、ベルモットの量を少なくして行き、遂にはボトルを横目でかすめ見ながら飲んでいたと言う。

エグジーもチャーチル同様、辛口のマティーニを好んだようだが、正確に言えばエグジーの方が上だ。チャーチル式は、ボトルをチラ見する「ベルモットの印象で飲むマティーニ」に対して、エグジー式はバーテンダーにチラ見させる「ベルモットの残留思念で飲むマティーニ」となり、チャーチル式に勝るドライなレシピを完成させているのだ。

英国人は、ウィスキーも好きだが、ジンも好きだ。ジンはオランダで生まれたが、英国でも作られるようになり、味をスッキリさせた度数の高いドライ・ジンが生まれた。
{5D5F42A0-51A1-4CDF-A797-5D7E8F5E1C74:01}
18世紀頃の英国は「狂気のジン時代」と呼ばれるほど、ジンが大量に愛飲された。

ウィンストン・チャーチルは大戦中の首相を務め、大英帝国で強いリーダーシップを発揮した指導者で、今でも偉大な英国人として讃えられている。そんな彼も、ドライ・ジンを好み、マティーニを愛した。ベルモットは入れず、ボトルのラベルを眺めなが飲んだと言う。直視すると甘すぎると、横目でかすめ見ながら飲んだと言われている。
だがコレは、当時の政治的背景をネタにしたジョークであったようだ。

チャーチルはイタリアの独裁者ムッソリーニに対し、同じ帝国主義者として共感しており、常に彼の功績を讃えていたが、1940年イタリアがナチスドイツと同盟を結び、英仏に対し宣戦布告。大英帝国はイタリアと交戦状態となってしまった。しかし、そんな中でさえチャーチルは「ムッソリーニが偉大な男である事は否定しない」と発言している。となっても、尊敬の念を持った紳士の発言である。チャーチルはどんな想いでイタリアと戦ったのであろうか。
{6E785D77-9C59-49D3-B6A8-CB78EEB74E22:01}
英国産のドライ・ジンを使ったマティーニを愛したチャーチルは、自分のグラスにイタリア産のベルモットは入れず、ボトルを直視する事をすら拒み、横目でかすめ見ながら飲んだとされるこの話は、チャーチルのムッソリーニに対する感情を表したひとつの伝説として、今も語り継がれているのである…。




・ビール
「ギネス・スタウト」
{D6A20CBD-9C9C-4265-82A3-3B538F61A5CD:01}

高級な酒ばかりでなく、英国の代表的なビールも出てくる。ギネスビールである。1759年からアイルランドのダブリンで生産が始まり、英国中で愛され、今では世界中で愛されるスタウト(黒ビール)の代名詞となっている。今では、世界中でライセンス生産されているが、日本では英国からの輸入品が販売されている。
{58541BE3-96C4-4705-A3AB-DA2741B1DD7B:01}
エグジーを釈放させた後、パブでハリーが飲んでいるのがこのギネスである。
仕返しに来たディーンの子分に囲まれた時のハリーのセリフは、とても紳士的ウィットに富んでいる。

「少年よ。今日はとても感情的な日だったので……(中略)……私がこの素敵なギネスを飲み終えるまで静かにしていてくれないか」

このセリフの最後に

“ … Lovely pint of Guinness”

というフレーズがでてくる。これは、ギネスの有名なキャッチコピー

“Lovely day for a Guinness”

からの引用であろう。
{3B5198C5-1B50-4005-BA0D-CF561A172DE6:01}
感情的な日でも、ギネスはラブリーなビールなのである。




このように、『キングスマン』では、スコッチ、ワイン、ブランデー、カクテル、ビールなど、多くのお酒が出てくるが、全てが英国にゆかりのある、こだわりのセレクトとなっているのだ。
ぜひ、酒を飲む時の話のネタにして頂きたい。だが、ラフィットの話は要注意だぞ!



今年も残り少なくなったが、まだまだ映画は面白い。『キングスマン』がオマージュを捧げた『ナポレオン・ソロ』のリメイク作『キングスマン』が揶揄した007の最新作『スペクター』が、相次いで公開される。今年の下半期は『ミッション・インポッシブル/ローグネイション』も良作だったし、
スパイ映画が目白押しだ!
{195CD0A1-8412-4F31-93B2-CB44F0AD1CEC:01}
このスパイ対決は見逃せない!!
ここは好きなを一杯やりながら、スパイたちの戦いを、観戦と洒落込もう。




乾杯!



謝辞
この記事を書くに辺り、はーにゃ☂さん(@Haanya_Rap)から、凸リプにも関わらす、セリフなどの情報を快く提供して頂きました。また、オイラの初期の考察の間違いに気付かせてくれるきっかけを与えてくれました。ここに感謝を捧げます。
そして、いつもおいしいお酒と素晴らしい時間を提供してくれる、中野のBarイリュージョンのソムリエに、ワインについての補足をして頂きました。重ねて感謝致します。



追記:2015/10/04
ダルモアについて、62年物ではなく1962年のダルモアではないかと指摘があった。
ヴァレンタインの部下は「62年物のダルモア」と言ったが、ランスロットは「1962年のダルモア」だと言っているからだ。確かに、62年間熟成された物と、1962年に熟成を始めた物は全く異なる物なので、どちらかが間違っている事になる。
ここはキングスマンであるランスロットが正しいと思いがちだが、それは違う。ダルモアの所有者はヴァレンタインであり、その部下が、間違う可能性は低い。(しかも彼は一度飲んで感動のあまり糞を漏す経験もしている。)
対してランスロットはノージング(匂いを嗅ぐ)だけで1962年だと主張した。ウィスキーの香りだけで種類や年数を特定するのは、ワインよりも遥かに難しい。ダルモアと言っただけでも大した物だ。

ここで正解ならば、スパイ映画のセオリーで「お見事ね」悪役(ガゼル)が登場し、正解の補足をする場面だ。「最後の晩酌にはステキでしょ♪」などと弔辞を述べて格闘シーンとなる筈だ。
しかし、ランスロットは敵の姿を見る事なく、問答無用で一刀両断された。
不正解だったのだ。
つまり中身は、62年物のダルモアで「そんな安酒じゃねぇよ」と一蹴されたのである。1962年が『007/ドクター・ノオ』の公開年を意味するのであれば、この一刀両断は「ボンドはお呼びじゃねぇんだよ!」と言う意味となる。いかにも監督らしいユーモアではないか!
よって、オイラは62年物のダルモア説を推す事にする。