ロシア映画は数本しか見ていなかったが、娯楽作が少ない印象だ。だが、そんな中でも、この作品はロシアの興行記録を塗り替えるヒットとなった。
驚いたのは、ロシア映画なのに、英語吹替でなく、流暢な英語を喋るロシア人俳優を揃えていて、最近のロシア映画もインターナショナルなんだなと関心し、それで世界でヒットしたのかと納得した。
ニック・ノルティそっくりな警部が出て来て、猟奇殺人事件を追う。
現代の吸血鬼映画にしては、やけに設定が現実的で、連続猟奇殺人事件から始まり、死体安置所の夜警のバイトを始めるユアン・マクレガー似の主人公が、前任者から説明を受けているシーンからなかなか意味深だ。
詰め所では、常にラジオを聴いていろとか、バットを持ってりゃ安心とか言い出す。解剖された遺体の標本室や、棺のようなモノが安置された、入っては行けない部屋がある。
死体置き場には、紐がぶら下がっており、生き返った奴が引っ張ると非常ベルが鳴るシステムとか、ここら辺りからホラーテイストがジワジワ入って来て、ワクワクしまくりだ!新しいラジオを買って、じぃさんに貰ったバットで武器も揃った。
きっと、この死体置き場は、ヴァンパイヤの餌場なのだ!さぁ、殺人犯は誰なのか?死体安置所に隠された秘密とは?いったいどこからヴァンパイヤが現れるのか?推理ドラマ形式なのも、ヴァンプ映画には新しい!!猟奇殺人事件から、闇の世界の扉が開く斬新なヴァンプ映画とは、凄げぇアイデアだ!ロシア映画恐るべし!!死体置き場には、紐がぶら下がっており、生き返った奴が引っ張ると非常ベルが鳴るシステムとか、ここら辺りからホラーテイストがジワジワ入って来て、ワクワクしまくりだ!新しいラジオを買って、じぃさんに貰ったバットで武器も揃った。
そして遂に非常ベルが鳴り、主人公は、死体が蘇って歩いた証拠を目撃!
ジョシュ・ブローリンに似たヤバイそうな友人も、血の気が多いがどこか無気力で、何か常人とは違う感性を持っているようだ。
事件の鍵を握る謎の娼婦も、虚ろな受け応えしかせず、吸血鬼の使い魔のように顔が青白い。
さぁ、闇の世界の扉はいつ開くんだ?焦らされながら期待に胸高鳴る中、『ダレン・シャン』を吸血鬼にした、ヴァンパイヤ師匠ジョン・C・ライリーにそっくりな警部補も登場し、いよいよヴァンプ映画らしくなって来たと高まった!
クライマックスが訪れ、主人公が追い詰められる!遂に棺が開かれた!いよいよ闇の世界の扉が開き、犯人がヴァンパイヤとしての正体を現すぞ!…と思いきや、最後まで闇の世界の扉は開かれず、事件は解決して終わった…。
あれ?闇の世界どこ…?
…そうか。シリーズものって言ってたもんな!きっと一作目は序章で、続編の『デイ・ウォッチ』で、この事件は実はヴァンパイヤに纏わる闇の世界の、ほんの一部でしかなかった!的な斬新なリアル→ファンタジーな構造なのか!
さすが、インターナショナル・ロシアン・ムービー!凄いじゃないか!!ロシア映画のネクスト・レベルを観たぜ!!
と、ロックが流れるエンドロールを、余韻に浸りながら眺めていると、
キャスト
ユアン・マクレガー
ニック・ノルティ
ジョシュ・ブローリン
パトリシア・アークエット
ジョン・C・ライリー
etc……
の名前を確認…。
え?全部、ご本人様なの?
えーっと、ロシア映画にハリウッドの俳優が総出演……???
いや、それはない…。
あっ
ここで賢明なオイラは気が付いたのである!
コレは、ひょっとすると、ハリウッドのよくあるサスペンス映画なのではないのかな?
サスペンス映画だった…。
そう、コレは、ロシアのヴァンプ映画『ナイト・ウォッチ』よりも以前の1997年に作られた、ハリウッドのサスペンス映画『ナイトウォッチ』という作品だったのだ。
死体安置所の夜警のバイトを始めた学生が、娼婦を狙った変質的な連続殺人事件に巻き込まれてゆく、ごく普通のサスペンス映画だったのだ。つまり、ハナからヴァンパイヤは出てこない。前半のホラー映画的演出に、オイラはまんまと騙されてしまったのだ…。
だが、ヴァンパイヤの登場にワクワク期待しながら観る、評価の低いサスペンス映画は、新感覚でとても楽しめた!
また新しい映画の見方をひとつ発見したと、今日も喜ぶ、まじさんなのであった。
それにしても…
『ナイトウォッチ』と『ナイト・ウォッチ』が違うとは…。
紛らわしいんだよ!