『ロボコップ』感想。オリジナルを対極に置いたリメイク。 | まじさんの映画自由研究帳

まじさんの映画自由研究帳

映画とお酒と手品が好きです。
このブログは、主観100%の映画レビューです。
時々、ネタバレあります。
Twitterやってます。☞@mazy_3
※コメント歓迎ですが、内容に一切触れないコピペコメントは、貼らないでください。

{78102A95-A71E-46E0-ABCB-AD88B450170B:01}

旧作のファンであったオイラは、このリメイク版は、とても不安だったので、恐る恐る鑑賞…。
オープニングでMGMのライオンが、プルプルプルプル…と吼えるのを見た時には、コメディ映画が始まるのかと思い、入る劇場を間違えたのではないか思って、本気で焦った!

…だが、思ってたよりも、ずっと良かった!!

新解釈のロボコップが誕生した。
旧作では機械の劣った判断力を補う目的で人間の脳が採用され、一度は死んだ者が、人間性を取り戻してゆく物語だった。だが今作では、既に完璧な判断力を持った機械が存在している。
{F0D5D5D0-D090-4364-ADF4-2DB7C2BED809:01}

ロボコップは機械アレルギーの有権者層に対する、広告塔として作られるのである。いかにも米企業らしい。過去の記憶も持っているのだが、今作では、完璧な機械へと近付ける為に、人間性を奪われていく様を描いている。
旧作に於いては『ロボコップ2』でも、人間性を奪われるという、似た状況が描かれているが、旧作では、人間性を失う事で弱くなるのに対して、今作では、人間性を失う事で強くなるのである。
人間より優れた機械が台頭する世界の中で、旧作とは逆のアプローチで、同じテーマを描いている。
{6FD49986-C1DF-4B40-A8F3-E6299CD1A099:01}

旧作でナンシー・アレンが演じた相棒ルイスを、今作では黒人男性に置き換えているのは、いささかインパクトに欠けるのだが、職場よりも家庭との関係性に焦点を当てている為、妥当な改変と言えるだろう。
現代的解釈を加え再構築し、原作を対極に置く事で、原作が持つテーマ=「機械との対比で人間のアイデンティティを問うテーマ」をよく活かしたリメイク作品だった。

ベテラン俳優陣の演技も見所で、特にゲイリー・オールドマンは、主演ではないかと思うほどの存在感を出していた。
{DDB702A4-E196-495D-9F01-55EADC9DCD66:01}

元バットマンのマイケル・キートンは、オムニコープ社を率いる最高責任者としての貫禄を出しており、改めて名優だなぁ~と感心した。
{83ED84C2-025F-4246-A1E7-7E6293D8AF0B:01}

主演にキャリアの浅い新人を起用したのは、リスク回避を目的としたお決まりのキャスティングが見え見えで気に入らないが、主演のヨエル・キナマンは、よく健闘していたと思う。

旧作へのオマージュも良いと思う。旧作でもTV番組の演出が出て来るが、今作では、TV番組のテーマ曲として、旧作の「ロボコップのテーマ」を使っていたのはたまらない。映画で最初に流れる曲が、この曲になるという仕掛けになっている。

旧作にも登場したED-209は、形こそリニューアルされて洗練されたデザインになっていたが、旧作と同じ声で喋っていた。
{C434B4E1-265E-4F73-95BF-0804A3639AE3:01}

また、要所要所に過去作の名セリフを散りばめているのも、ニヤリとさせられる。“Thank you for your cooperation.”は、子供の頃、よく真似したセリフの一つだw

だが、今作での疑問が一つある。それは、なぜ右手だけが生身なのかという点だ。ギターを弾く事が出来るマニピュレーターがあるのに、なぜ、わざわざ右手だけを残したのか?
{12A4E895-4430-463C-B339-49A434301437:01}

オイラが、密かにこの右手に期待していたのは、ガンロールである。旧作では、ガンの収納時に、右手で銃をくるくる回す、ガンロールをする「手グセ」が出て来る。本来はその「手グセ」を表現する為の、右手だったのではないかと思っている。だが、今回はガンロールは出てこない。脚本の改訂時になくなったのか、俳優にそれが出来なかったのかは定かではないが、ガンロールが出てこなかったのは残念である。

余談だが、主人公マーフィーは、旧作では銃撃戦で射殺されたのだが、今作では車の事故によって重体となる。コレは、兼ねてからロボコップの元ネタと指摘されている、我が国の漫画『エイトマン』と共通する。
{7CC6EEC4-00FB-4C2A-AEC2-3993992C07A0:01}

『エイトマン』は、優秀な刑事だった東八郎が、犯罪者によって殺され、軍事用ロボットを元にサイボーグ刑事=エイトマンとして復活し、犯罪組織と戦う物語である。東八郎の死因が原作では射殺、アニメ版では車で轢かれるという表現が『ロボコップ』の新旧に酷似しているという点を、ここに指摘しておく。