『ローン・レンジャー』感想。アウェイ感を味わった時代劇。 | まじさんの映画自由研究帳

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ディズニー映画におけるジョニー・デップの、変な役作りキャラにはもう飽きた。ジャック・スパロウしかり、帽子屋しかりである。すっかり色もの俳優になってしまった。あの頃のジョニー・デップはどこに行ったんだ?主役より目立っているのもなんだかひどいと思った。トントはサポートキャラなのに、完全に主役だった。

主役を食う演技とかではない。脚本が、まさしくそうなっているのだ。バディムービーではなく、共感しずらい変な奴の視点で描かれているため、アーミー・ハマーのキャラクターを殺してしまっているのだ。

唯一、注目すべきは、いつも線の細いインテリ役のウィリアム・フィクトナーが、骨太の悪役をこなしている所だ。やはり彼は才能ある俳優だと確信した。


しかしながら、このリメイクはひどい。誕生編が余りに長すぎて、ダレてしまった。

本来、ローン・レンジャーがバンバン撃ちまくる銀の銃弾は、自分が撃った事を示す大切な証なのだが、今作では大事に大事に作られた、たったの一発しか出て来ない。撃ちまくってこその西部劇ヒーローなのに、なんとこのローン・レンジャーは、銃はキライだとか抜かす!開拓時代の無法地帯に、銃を持たないなんてあり得ないでしょ。オイラは、そこで何を見に来たか、よくわからなくなったよ。

とにかく撃たない!撃たないローン・レンジャーに、ずっとモヤモヤした。最近のヒーローはみんな、銃がキライだとか抜かす腰抜け野郎ばかりだが、西部劇のヒーローはそうでは困る。現代の価値観をねじ込むリメイクなら、やらない方がマシだと思った。

トントに至ってた「キモサベ」を連呼するが、悪霊ハンターとか余計な設定が加わり、共感しにくいキャラになっていた。トントの名セリフ「インディアン嘘つかない」は言わないし…。


だが、最後のアクション・シーンだけは良かったと思う。軽快な「ウィリアム・テル序曲」に乗せて、テンポの良いブラッカイマーお得意のアクションが冴えていた。ここだけは気持ちが良かった。でも、前半のモヤモヤのおかげで、そこまでテンションは上がり切らなかった。


平日の昼間に鑑賞したので(?)高齢者が多くいらっしゃった。まさにローン・レンジャー世代!それまで、隣りで「トントが何だか変だわ」とかブツブツ呟いてたおばぁちゃんが、ラストの「ハイヨー、シルバー!」で、「わぁー♡」って、黄色い声を上げた!!そしてトントの「二度とやるな」で、“高齢者のみ”一斉に爆笑!


…コレには打ちのめされた。


あの世代にとって、ローン・レンジャーは特別な、ヒーローなのだ。

そう。アレは梅沢富美男であり、杉良太郎であり、里見浩太朗だったのだ!

原作から何十年も経って、新しい技術でカラー映画としてリメイクされただけで、高齢者の方たちにとっては嬉しい事。あの、とって付けたような「ハイヨー、シルバー!」でも嬉しいシーンなのだ。

…だけど、オイラにはソレがわからんのですよ。世代じゃないもん。

物凄いアウェイを感じた鑑賞だった…。