礼節について【剣道用語】
リクエストがありましたので、今日は、剣道と礼節について書いてみようと思います。
全日本剣道連盟には、「剣道の理念」というものがありまして、剣道とはなにか、という根幹になっています。
曰く、
『剣道は、剣の理法の修錬による人間形成の道である』
つまり、剣道は、
剣道を修業することによって、自分の人間性を磨き、高めることを目的としています。
自分を高めるのであるのだから、
その修錬の場である道場に敬意を払う。
それを導く師にたいして礼を尽くす。
自分を高めるための道具である防具や竹刀を大切に扱う。
剣道は、人と相対し、打ち勝とうと工夫を重ねていくことで自分を磨いていくのだから、
稽古相手・試合相手は、自分を高めてくれる相手、として大切にする。
「勝ち」を求める気もちは、必要です。
創意工夫し、最善を尽くそうとすることにつながりますから。
また、同じように最善を尽くそうとしてくれている相手に真剣に向かいあうことになりますから。
そういう心構えであるので、結果にとらわれ、自分を高めてくれた相手に対して、
勝って、ガッツポーズをする。
負けて、竹刀で床を叩く。
などの行為は、大変失礼に当たるというのが、剣道の考え方です。
「上・下(かみ・しも)」というのも、なかなか剣道を始めたばかりの子どもたちには難しい概念なのですが、
「(年齢にかかわらず)自分がこれから修業している道を、先に歩んでいる先輩」
「自分より先の段階の修業をしているという意味で、級位や段位の高い人」
に、上位の位置関係である上座に行ってもらうようにするわけです。
他にも、稽古の時、厳しい先生の前の列から逃げる子がいたりして、並ぶ子がいなくなることがあったりしますが、これは、
『自分たちのために、先生が稽古をつけようとしてくれているのに、誰もお願いしない』
という、大変失礼な状態であるわけです。
特に、七段・八段の先生の前に誰も並んでいないなど、言語道断と言える状態です。
だから、レベルの高い稽古に行くほど、高段位の先生の列が長くなります。
自分たち同士で稽古して、先生になかなかかからない子がいますが、
これを剣道的に解釈すると、
「先生と稽古するより、自分たちで稽古している方が勉強になるんです」
と、言っているのと同じになります。本人がそう思っていなくても。
先生のお許しがあれば、列が長すぎる時などに、時間をむだにしないよう自分たちどうしでの稽古もありですが、その場合も、短く切りあげ、先生の列にすぐに並べるようにしておくのが心得です。
礼儀について書きだすと、話は尽きませんので、ちょっと長くなりました。
またどこかの項の中で、必然的に礼節には触れることになると思いますので、今回はこのへんで。