『博士っ!?』
さやかが司令室の野中を呼んだ。
『あたしを海底へ行かせてください』
『さやかさん1人じゃ危ないわ。あたしも行くわ』
野中は拳を握ったままレーダーに映るダイアナンの点滅を見つめていた。
「今ダイアナンがいるのは海底180m付近だ。アフロダイもビューナスもその水圧に耐えられる保証はない・・・」
「そんな・・・」
「じゃあひかるを見殺しにするんですか?」
さやかとジュンが代わる代わるモニターに映る。
しばらくの沈黙のあと、ようやく野中が口を開いた。
「ひとつだけ方法がある・・・2人とも、早急に基地へ帰還するんだ」
『了解!』
アフロダイとビューナスは全速力でMA基地へ帰還した。
「博士、どうすれば・・・」
先に帰還したジュンが野中に訊いた。
「ジュン、急いで宇宙科学研究所へ行ってくれ。宇門博士には連絡してある」
ジュンがクイーンスターで飛び出したと同時にアフロダイが帰還した。
「博士、ジュンさんは・・・?」
「さやか、急いで地下の格納庫へ行け。ミネルバXの整備が終わって出撃の準備が整っている」
「ミネルバ・・・?改造が終了したんですか?」
「暫定的に、だ。まだ細かいテストをしていないから、十分とは言えないんだが・・・」
さやかは苦渋の表情を見せる野中に笑顔で言った。
「博士、大丈夫ですよ。あたし達は博士の腕を信じてますから」
野中はさやかの言葉に大きくうなずいた。
「よし、ミネルバX、出動!」
「はいっ!」
さやかはミネルバXに搭乗するとひかるとダイアナンを救助するため、出撃した。
『さやか、いくらミネルバがMAロボの中で最強と言っても、水中活動に優れたダイアナンがやられたんだ。ジュンもすぐ応援に行く。無理をするな』
「了解!」
一方宇宙科学研究所に着いたジュンは観測室へ急いだ。
「おお、ジュン君、準備はできている」
「宇門博士、準備って・・・?」
そこへ甲児が観測室に駆け込んできた。
「ジュンさん、行こうぜ」
「甲児くん?」
「時間がないんだ。説明はあとあと」
甲児はそう言うと観測室を駆け出した。ジュンも甲児の後に続いた。
「俺がジュンさんを送ってくぜ」
格納庫にジュンを案内した甲児は、かつてのひかるの愛機マリンスペイザーに乗り込み、その下にはクレーンでウルトラサブマリンが吊されていた。
マリンスペイザーは宇宙科学研究所を発進し、ウルトラサブマリンにはジュンが搭乗していた。
「ちょっと荒っぽい運転するけど勘弁してくれよな、ジュンさん」
『構わないわよ、最高速度で飛ばしてちょうだい』
“・・・ひかる、さやかさん、すぐに行くわ”
ジュンはさっきまで上空を旋回していた海面に近づくと、操縦桿を握る手に力を込めた。
『行くぞジュンさん、ダイビング、GO!!』
マリンスペイザーとウルトラサブマリンは海中に飛び込んだ。