Dr.ヘルやミケーネ闇の帝王との激しい戦いが終了して約20年。世界には平和が訪れていた。弓さやかは兜甲児と、炎ジュンは剣鉄也と結婚し、平穏な暮らしを送っていた。しかし今再び邪悪な影が日本に迫っていたのである・・・
それを察知した甲児、鉄也、ジュンはNASAでそれぞれ研究をおこなっていた。甲児不在の光子力研究所はさやかが所長代行として運営していた。娘ユリカと二人で・・・
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「ただいま~」
光子力研究所のコントロールタワーにショートカットに制服姿の一人の少女が現れた。
「おかえり、ユリカ」
白衣姿の女性が応える。彼女の名は兜さやか。半年前からアメリカに単身赴任している兜甲児の妻であり、所長代行の要職にある旧姓・弓さやかである。39歳になった現在も以前と変わらず美しい。
「食事にしましょうか」
少女の名は兜ユリカ。甲児とさやかの一人娘である。16歳の彼女は高校2年生。母親譲りの美貌とスタイルのチャーミングな女の子だ。
「ちょっと話もあるしね・・・」
さやかは意味深にそう付け加えると、白衣を脱いでユリカとともに居住区に向かった。
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「えっ?お母様、それマジ?」
「ええ」
さやかが食事の後ユリカに話した内容は衝撃的であった。
謎の組織が世界を狙っていること。
父・甲児は半年前から剣鉄也、ジュン夫妻とともにアメリカでその対策本部に加わっていること。
甲児からの情報によると、1週間以内に謎の組織のロボットが日本を襲う確率が90%以上であること。
これに対抗するため、光子力研究所は密かに新しい戦闘用ロボットを開発済であること。
そして・・・
「そのロボットのパイロットはユリカ、あなたなのよ」
「!?」
母の思いもよらぬ一言。ユリカはどう応えていいかわからなかった。
「基本的な操縦方法はもうわかっているはずよ。ずっと睡眠学習してたわよね」
「???」
そういえば最近自分がロボットを操縦している夢をよく見ていた。
「あなたの好きなあのTVゲーム。あれも訓練の一部」
さつきは全国大会で優勝経験もある、人気ロボット格闘ゲームの達人だった。
「それに・・・小さいころからスポーツもいろいろと習ってきたでしょ?」
そう、幼い頃の水泳から始まって、体操、スケート、バレーボールなど・・・今はテニスに夢中だ。
「大丈夫。お父様と私の血を引いているあなたならきっとやれるわ」
父と母が昔ロボットに乗って悪と戦っていたという話は聞いていた。残念ながら写真やビデオなどは見たことはないが・・・
「さあ、さつき。あなたのパートナーに会いに行きましょう」
「・・・パートナー?」
「そう。その名はフレイアンA。あなたと共に悪と戦う美しい女神よ・・・」
さやかはそう言うと立ち上がり、ユリカを格納庫に連れて行った。
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光子力研究所格納庫。そこでさつきの目の前に現れたのは身長20mほどの巨大なロボットだった。
ピンクと白のコスチュームに栗色のショートカットの髪。スレンダーながらグラマラスなボディ。まさに巨大な女神だ。その表情はユリカによく似ている。
「・・・お母様・・・これが・・・戦闘用のロボットなの?」
「そう。これがあなたたのパートナー。フレイアンAよ」
「フレイアンA・・・すごくキレイ・・・」
巨大な女神を見上げるユリカ。その背後からさやかが肩をつつく。
「?」
振り向くユリカにさやかは包みを渡す。
「プレゼントよ。あけてごらんなさい」
包みの中から現れたのは、ピンクと白のミニのワンピース。
「かわいい・・・70’s調ね」
ワンピースを体に当てながら応えるユリカ。
「昔お母さんもロボットに乗って戦っていたのは知ってるわね?」
「ええ、なんとなく」
「これはその時お母さんが着てた戦闘服。同じデザインのレプリカだけどね」
「えーっ!お母様こんな格好して戦ってたの?」
光子力研究所所長代行とバリバリと激務をこなすキャリアウーマンの母がこんなミニスカート姿で戦っていたなんて・・・ユリカにはとても想像できなかった。
「なに?その顔。信じられないの?今度昔の写真見せてあげるわ。それに・・・」
「?」
「女の子はいつだってオシャレに気を使ってなきゃ♪」
いたずらっぽく笑うさやか。
「あなたもスタイルいいんだからきっとよく似合うわ。着てごらんなさい」
着替えるユリカ。サイズもピッタリだ。
「やっぱり!かっこいいわよ」
鏡に自分の姿を映すさつき。
「・・・お母様・・・」
「なに?」
「これ・・・ちょっとスカート長くない?」
「えーっ!?ずいぶんミニよ」
「ううん、私の制服より長いわ。ちょっとカワイくない。こうしたほうが・・・」
ただでさえ短い裾をさらに折り返すユリカ。
「うん、やっぱりこっちの方が全然いいわ」
ターンを決めてご満悦のさつき。裾からはちらちらとなにやら白いものが・・・
「ちょっと!見えてるわよ!」
無邪気な娘の振る舞いにはらはらするさやか。
「平気、平気。ビキニのスパッツだから♪」
スカートをまくりあげる。
「ねっ?」
いたずらっぽく笑うユリカ。
「・・・もう・・・」
まあ昔の自分も同じようなものだったわね・・・と苦笑するさやか。
「それに、袖もノースリーブのほうがカワイイわ」
「わかった。直しとくわ」
「ありがとう。お母様、ロボットの操縦訓練よろしくね」
「OK。ビシビシいくから覚悟しなさい!」
「あ~怖い怖い」
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こうして光子力研究所は再び戦いの渦の中に巻き込まれていくのであった・・・
【本編に続く】